900万米ドルの新資金が熱帯林へ

2012年11月10日

閉会挨拶を行うITTC議長の堀江正彦氏. 写真: K.Sato/ITTO

第48回国際熱帯木材理事会(ITTC)の閉会挨拶で、持続可能な熱帯林経営と熱帯林資源の貿易に関して900万米ドルの追加資金を発表しました。そのうち、360万米ドルが2013年~2014年の新規事業プログラムの活動資金へ充てられます。今回の追加資金提供には600万米ドルの新規資金と、2012年初めにすでに発表されたものとが含まれています。
 
国際熱帯木材機関(ITTO)の管理機関である理事会は、少なくとも年一回開催され、持続可能な森林経営と熱帯木材貿易を促進するための広範な議題について協議を行います。今回の理事会は、2011年12月に発効した「2006年の国際熱帯木材協定」の下で開催された初めての理事会となり、堀江正彦地球環境問題担当大使(日本、外務省)が議長を務めました。そこで、新しいITTO戦略的行動計画(2013年~2018年)や新規の財政規則、理事会が監督する事務局運営に関する新規則の制定、2006年の国際熱帯木材協定の下で行われるテーマ別プログラムの運営方法の採択など,新たなITTOの活動開始に向けた議論が行われました。
 
今回発表された新規資金の半分近くは熱帯地域での新たな9件のプロジェクトに割り当てられ、追加資金については現在進行中の3件のプロジェクトに対して使われます。新規に支援を受けるプロジェクトには、ペルーのアマゾン地域での森林コンセッション及び先住民コミュニティーにより生産された木材のトレーサビリティ、マレーシア、サラワク州の国立公園の周辺地域の管理と地域住民の管理への参加、そしてベナンにおける国家森林統計システムの構築等の活動が含まれます。
 
また、ITTOのテーマ別プログラムである森林法施行(450万米ドル)、森林の減少及び劣化による温室効果ガスの排出の削減と環境サービスの向上(30万米ドル)、貿易と市場の透明性(42万米ドル)の各プログラムの実施にも資金提供を受けます。ITTOの実施中プログラムである絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES)リストに掲載されている熱帯木材種要件実施には次の2年間の活動資金として、新たにかなりのサポートを受けることになります。2012年のITTO-CITESプログラムからはEUが主導するドナー各国からの200万米ドル以上が供与され、2015年までに総額で1000万米ドルの提供が見込まれています。追加事業はこれらのプログラムを通して、2013年より熱帯地域で開始します。
 
ITTOの2013年~2014年の2年間におけるプログラムへ充てられる資金においては、持続可能な熱帯林経営についてのITTOガイドラインの改訂や、持続可能な森林経営の基準と指標に関する事業の強化、統計に基づく能力開発の支援、コンゴ盆地森林パートナーシップとの共同会合を含む関連国際会議へのITTOの参加実現、木材産品のライフサイクル分析への支援、普及活動とファンドレイジングの強化、森林景観再生のための学習ネットワークの構築への許可、等の活動を促進していきます。フリーザイラー奨学基金も30万米ドルの資金が理事会により承認され、この貴重なプログラムが引き続き奨学金をその値する候補者に提供できることになりました。
 
理事会における資金提供国は日本、EU、スイス、米国、ドイツ、オランダ、オーストラリア、フィンランド、韓国とスウェーデンです。またITTOの非特定資金(nonearmarked funds)、プログラム支援基金といくつかの民間企業なども含まれます。すべての新規資金提供を受けたプロジェクトと活動のリストについてはITTOのホームページに掲載予定です。
 
第49回理事会は,2013年11月25日から30日にガボンのリブルヴィルにおいて開催されます。