日本政府がタイ・カンボジア越境地帯の保全プロジェクトに資金供与

2010年10月28日

BDとITTO共同イニシアティブにおけるタイ・カンボジアTBCAプロジェクトについての調印式。(左から右)H.E. Dr. Y. Kimsean, Secretary of State of the Ministry of Environment (カンボジア)、H.E.Mr.S.Khunkitti (Minister of Natural Resources and Environment、タイ)、Mr.E.ZeMeka (ITTO事務局長)、伴野氏(日本国外務副大臣)、近藤氏(日本国環境副大臣)、Mr. A. Djoglaf (CBD事務局長)

日本政府と国際熱帯木材機関(ITTO)は、カンボジア王国とタイ王国に、両国の‘メコン森林保護地域の越境生物多様性保全計画’に資金援助を行うことで、覚書を交わしました。(外務省報道資料) 

1.覚書交換は、カンボジア・タイ越境地帯のメコン森林保護地域の生物多様性を保護するため、最大1億7400万円の資金援助を行うものです。外務副大臣伴野豊氏とITTO事務局長エマニュエル・ゼ・メカ氏によって10月28日名古屋にて行われました。 
 
2. この協力の背景は以下の通りです:
(1)カンボジア・タイ両国の越境森林保護地域は生物多様性に富んでいます。一方、違法な伐採や農地への転換などによって、移動型野生生物の生息圏が分断された他、2000年までにこの地域の原生林の3分の2が失われたと見られています。 
 
(2)生態系の損失や森林減少は、森林からの恵みに依存して生活する地域住民の活動によって引き起こされています。このため、同地域の管理強化だけでなく、周辺地域の貧困削減が、森林保護地域の生物多様性保全には不可欠です。 
 
3. このプロジェクトは、カンボジアとタイ越境地域の森林保護地域において活動実績のあるITTOと協同して行われます。援助の詳細は以下の通りです:
(1)生物の生息域に配慮した管理計画の改善
(2)生物多様性保護と国境警察を含む紛争解決能力を持つための管理本部設置 
(3) 収益農産物を作るための施設の改善、地場産観賞植物の管理収穫など、地域住民の生活向上を目指した諸活動。 
 
4. このプロジェクトは、日本がホストとなって名古屋で10月18日から29日まで開かれたCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)の重要計画の1つである新たな戦略的目標を達成するためのものです。日本はCOP10の議長国として、ITTOとCBD(生物多様性条約)事務局との協同事業の1つである生態系システム保護に支援を行います。 
 
5. このプロジェクトはまた‘グリーンメコンに向けた10年’計画にも寄与するもので、これは日本とメコン近隣諸国の首脳が2009年に初会合を開いたときに宣言されました。このプロジェクトはまた開発途上国が2012年までに気候変動に取り組むための援助の一環でもあり、日本はカンボジアとタイとともに気候変動への対処に協力を続け、経済先進国との公平で効果的な国際的枠組みと合意を築くことを目指します。
  
6. このプロジェクトによって、(1)36万ヘクタールの森林保護地域におけるにインドシナトラ等の広域移動型野生生物を含む生態系の保全が促進され、(2)地域住民(人口3000-4000人)の生活が、自然資源の活用による新たな収入源を獲得することで、向上します。 
  
日本政府によって提供された本プロジェクト資金は国際協力機構 (JICA) を通してITTOへ供給されます。ITTOとJICAは共通目標の達成のため、最近覚書を交わしました。JICAによる本資金運用を容易にするための書簡の交換が11月2日に行われました。
 
日本、スイス両政府からの共同資金によって行われてきたプロジェクトを通して、ITTOは数年に渡りエメラルド・トライアングル地域での森林保護と持続可能なコミュニティー開発に関して資金提供を行っています。 
 
(参照)
  1. ITTOは「1983年の国際熱帯木材協定」に基づき1986年に設立されました(本部:横浜)。現在は33の生産国、27の消費国を合わせた60カ国が加盟し、EUもメンバーになっています。ITTO加盟国は世界の熱帯林の約80%、熱帯木材貿易総量の約90%を代表しています。 
     
  2. 詳細については添付関連資料をご覧ください。
連絡先:

Hwan Ok Ma (ITTO)
Reforestation and Forest Management
ma@itto.int
Tel: 045-223-1110

Takuo Sato (ext. 5614)
外務省国際協力局地球環境課
Tel: 03-5501-8000

本件に関する外務省ウエブサイト資料はこちら (英語、日本語): http://www.mofa.go.jp/announce/announce/2010/10/1028_02.html