熱帯林への資金拠出、新たに1330万USドル

2009年11月13日, 横浜

新理事会長 
Daniel Birchmeier (スイス)(左) 

旧会長 
Michael Maue大使 (パプアニューギニア)(右) 
写真:K. Sato/ITTO

テーマ別プログラムに対する追加資金の獲得 / 9の新規プロジェクトの開始 / 事業計画の採択

国際熱帯木材理事会は、最近承認されたテーマ別プログラムに対する、350万USドルの資金拠出を、本日発表しました。このうち200万USドルは、地域コミュニティーに根ざした森林事業に関するプログラム、及び、森林資源の取引と市場の透明化を目指すプログラムに対する最初の資金となります。また、同理事会は、熱帯森林資源の保護、及び、持続可能な森林経営・使用・取引に関する新規プロジェクト・活動に対する、580万USドルの追加資金も発表しました。スイスが発表したITTO信託基金(今後のプロジェクト・活動に対する資金として使われます)に対する400万USドルの資金補充とあわせ、今回の会合で確約された資金は合計で1330万USドルに達しました。

国際熱帯木材理事会(ITTC)は国際熱帯木材機関(ITTO)の運営組織です。会合は一年に一度以上開催され、持続可能な熱帯林経営と、持続可能な方法で産出された熱帯木材の取引を促進する目的で、広範な議題について討論を行います。今週第45回会合において確約された資金と、上半期に注入された220万USドルをあわせると、2009年に確約された資金は合計で1550万USドルに達しました。

同理事会会合は、9のプロジェクトと1の前段階プロジェクトに、合計350万USドルの資金拠出を決定しました。対象となったプロジェクトには、パプアニューギニアにおけるプロジェクト(伝統的地主を支援し、草地を森林に戻すために価値の高い樹種の植樹を進める)の他、ミャンマーにおけるプロジェクト(暴風でダメージを受けたマングローブ林について、森林経営の評価と設計を行う)、ブラジルにおけるプロジェクト(持続可能な木製床材の製造業を促進する)、ガーナにおけるプロジェクト(価値の高いアフリカン・マホガニー林の森林経営のため、森林施業の道具一式を林業者及び地域コミュニティーに提供する)、さらに、インドネシアにおけるプロジェクト(持続可能なゴムの木の利用を促進する)などがあります。

同理事会は、今回の会合で、さらに、ITTOの2010-11年向けの2年事業計画を採択し、この事業計画に含まれる活動に対する新規または追加の資金として、230万USドルを承認しました。子供たちに対する環境教育の推進、国境をまたがる生物多様性保全地域に関する国際会議の開催、さらに、ITTOのプロジェクトの下で開発された林業テクノロジーの展示指導などの活動の他には、持続可能な森林経営について、ITTOの定める基準・指標による評価で目覚しい進歩が認められる国々の支援や、また、最近編み直された生物多様性の保全に関するITTOガイドライン施行の促進に、この資金は使われます。また、加盟国が、ワシントン条約のリストにある熱帯木材種の取引規制を適切に実施できるよう支援するITTOの進行中のプログラムについては、追加資金が確約されました。同理事会は、さらに、フリーザイラーフェローシップ基金にも改めて資金を注入し、この貴重なプログラムを通じて引き続きフェローシップ授与者を選出し本プログラムを助成することができます。

今回の会合でテーマ別プログラムに対する拠出が確約された資金のうち、92万3千USドルは森林法の施行、森林管理、及び木材取引に関するプログラム(TFLET)への追加資金に、また57万5千USドルは熱帯林における森林伐採と森林劣化の削減、及び環境サービスの強化に関するプログラム(REDDES)への追加資金に、割り当てが決定されています。これで、両プログラムに対する総資金額は、順に、600万USドルと440万USドル近くに達しました。地域コミュニティーに根ざした森林経営と森林事業に関するプログラム、及び、森林資源の取引と市場の透明化を目指すプログラムについては、最初の資金としてそれぞれ100万USドルの拠出が確約されたので、この資金を元にすぐにも活動を開始することができます。テーマ別プログラムに関する情報(提案のお願いや、該当するプログラムから資金を得ている活動に関する情報提供のお願いも含まれます)は、ITTOのウェブサイト上で定期的に更新されています。

同理事会は、また、今回会合で、2006年国際熱帯木材協定(ITTA)の加盟国による批准状況を再審査しました。ITTOの現行の運営協定 である1994年ITTAを引き継ぐはずのこの協定は、加盟国の批准ペースが遅いため、発効が遅れています。この新たな協定に加盟するのに必要な手順をこれまでに済ませたのは現60の加盟国のうち25に過ぎませんが、同理事会は、複数の加盟国で批准と加入の過程に大きな進歩が認められることに特に言及し、また、1994年ITTAの延長と、来年の理事会会合でも本件を再審査することに同意しました。

今回の会合における出資国は、日本、スイス、英国、米国、ノルウェー、フィンランド、韓国、及びスウェーデンです。日本木材輸入協会や、その他の日本の民間団体からの資金提供も行われました。

同理事会の次回会合は、日本の横浜で、2010年12月13日~18日に開催される予定です(日程については確認待ち)。同理事会は、2011年の会合はグアテマラのグアテマラ・シティにて開催することを決定し、2012年の会議も熱帯木材生産国のいづれかで行う方向で検討しています。 

新たに資金が提供されたプロジェクト及び活動に関する説明は、ITTOのTropical Forest Updateの次号に掲載されます。

地球交渉会報(ENB)による第45回国際熱帯木材理事会会合の日報はこちら