アフリカでの森林経営には多様なアプローチが求められる

2019年9月11日, 横浜

TICAD7でITTOが実施したサイドイベントでは中田博博士が多様なアフリカにおけるSFMについて発表した。写真撮影:K. Sato/ITTO

中田博・国際協力機構(JICA)国際協力専門員によると、極めて多様なアフリカのランドスケープ、人々および市場の需要に応えるには、この多様性に合わせて持続可能な森林経営(sustainable forest management: SFM)を整備する必要があり、景観再生や合法かつ持続可能なサプライチェーンの構築はSFM実現に向けた取組において不可欠であろうとのことです。

中田氏は8月、TICAD7でのITTOのサイドイベントにて発表を行いました。本サイドイベントは2019年8月28日にITTO、日本国林野庁および国際協力機構(Japan International Cooperation Agency:JICA)が共催し、日本国外務省、横浜市および神奈川県による後援を受けて行われました。
 
中田氏は、JICA事業としてアフリカで実施された様々なSFM手法を紹介しました。SFM手法は林相に合わせ、ギニア湾岸では熱帯降雨生態系から半乾燥生態系への移行地帯の森林保全、半乾燥地域では気候変動緩和・適応、生物多様性保全、貧困削減および淡水供給への貢献も目指した森林外で生育する樹木の管理、サヘルでは砂漠化対策としてのSFMの展開、南部アフリカでは多用途森林の経営といったように、異なるものが用いられました。
 
発表の中で中田氏はITTOとJICAがアフリカでのSFMの促進において果たしている役割はSDGsの内1(「貧困をなくそう」)、7(「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」)、13(「気候変動に具体的な対策を」)および15(「陸の豊かさも守ろう」)といった複数の目標の達成にも寄与するとして強調しました。
 
中田氏はSFM推進において鍵となるアプローチは合法かつ持続可能な森林製品を流通させるための透明な市場の整備です、と述べました。景観再生も参加型であることと適切な土地利用政策が伴えばアフリカにとっては好機となります、話しました。
 
アフリカ開発会議(Tokyo International Conference on African Development:TICAD)は日本政府が主導し、国連、国連開発計画(United Nations Development Programme:UNDP)、アフリカ連合委員会(African Union Commission:AUC)および世界銀行が共催する国際会議です。第7回(TICAD7)は2019年8月28日から30日にかけて開催され、およそ4,500名が参加しました。

中田氏のインタビュー(英語)を視聴する