ITTOが支援する丸太計量アプリ、国連の森林関係の旗艦報告書に掲載

2024年7月24日

CUBIFORアプリは、スマートフォンの画像に基づいて丸太の量を推定する。写真:A. Tabata/林野庁

2024年7月24日、イタリア、ローマ: ITTOの支援のもとで開発された、写真から丸太の量を推定し、木材追跡の効率を向上させるスマートフォン用アプリが、森林セクターの持続可能性を促すイノベーションについてまとめた国連の有名な報告書に掲載されました。

グアテマラのITTOプロジェクト(英語)によって開発されたこのアプリは、 国連食糧農業機関(FAO)の森林関係の旗艦報告書である『世界森林白書2024:より持続可能な未来に向けた森林セクターのイノベーション』(The State of the World’s Forests 2024: Forest-sector innovations towards a more sustainable future)(英語)で、18のケーススタディのひとつとして紹介されています。

2年に1度発行される同報告書の最新版は、イタリアのローマにあるFAO本部で開催されている第27回林業委員会の初日、7月22日に発表されました。

グアテマラ国立森林研究所(INAB)の国際協力担当部門の長であるシリア・ミラン氏は、「このアプリは、デジタル技術がいかに木材追跡システムを効率化し、持続可能なサプライチェーンの範囲を拡大できるかを示す一例です」と述べました。 「これは、政府と企業の双方による熱帯林の保護、および、経済発展と環境保護への長期的な支援を支えます。」

ケーススタディで説明されているように、輸送中の丸太の量を正確に推定することは、持続可能な森林経営と貿易にとって重要です。しかし、従来の測定方法は時間がかかり、効率が悪く、高額な運用コストがかかります。例えば、丸太の材積を測定するには通常、スタッキングファクター(積み上げられた丸太の総体積と無垢材の体積の比率)を計算するために、輸送のために積みあげられた状態の丸太の目に見える全ての面を測定する必要があります。

INABは、政策枠組み、統計、木材追跡システムの改善を通じて、合法的で持続可能な森林バリューチェーンを支援し、持続可能な森林経営を推進するために活動しています。このような取り組みの一部から、輸送中の丸太やその他の木材製品の量をより迅速かつ正確に評価する方法が優先的に必要であることがわかりました。

その後、ITTOのプロジェクトでは、グアテマラの森林生産チェーンにおけるトレーサビリティを改善するための様々なメカニズムを開発、実施しました。木が最適な等級で伐採されるようにするための丸太計測マニュアルの開発や、写真といくつかの簡単な測定だけで丸太の量を計算するアプリの開発などが挙げられます。

アプリは、林産物の計量を意味する"Cubicación de Productos Forestales (CUBIFOR[1])"と呼ばれ、トラック上または工場ヤードなどで積み上げられた丸太(またはその他の木材製品)の一まとまりの写真と、積み上げられた丸太の平均的な幅と長さの見積もりだけを必要としており、簡単に使うことができます。アプリはそれぞれの丸太の面を認識し、平均直径とスタッキングファクターを計算します。そして、計量結果のレポートが作成され、ExcelやPDF形式でダウンロードすることもできます。このアプリでは、製材、角材、丸材、おがくず、チップ、燃料材、木片、木炭などの製品用に丸太を計量することも可能です。

同アプリは森林経営を促進し、林業会社の在庫管理能力を強化し、木材量の定量化を必要とするすべての活動の効率を向上させています。また、合法的で持続可能な森林サプライチェーンが促進され、政府当局からの認可取得にかかる時間とコストが削減されることで競争力が高まるという利点もあります。森林に関する確認を行う担当者らにとっては、輸送中の木材に添付された船荷証券やその他の輸送書類の詳細を効率的かつ費用対効果の高い方法で確認することができるとともに、合法性やその他の行政関連の要件を確認する際に役立ちます。

CUBIFORを使用している工場は、木材出荷の管理、追跡、計量に役立っていると報告しています。INABは、今でもCUBIFORの更なる現場での使用を進めていますが、同アプリは確実に、INABや他の当局が森林に関する作業を監視・管理し、違法伐採や違法木材取引と闘う一助となる可能性があります。

CUBIFORやグアテマラで開発された木材追跡システム(スペイン語)は、熱帯地域の他の国でも同様に導入可能なものです。


[1] CUBIFOR は無料のアンドロイド・アプリで、Playストアからダウンロードできます(スペイン語のみ)。