GTIパイロット国の木材市場、6月に改善
2024年7月19日:本日公開の世界木材指標(GTI)レポートの最新版では、GTIパイロット国の木材市場が2024年6月、持続的な課題を乗り越え、明るい兆しを見せたと報告されています。ITTOが支援するGTIは、パイロット8カ国の木材セクターの動向を追跡しています。
6月にはすべてのパイロット国でGTI値が上昇しましたが、タイ(GTI 値は、5月の43.1%から上昇し、59.5%)とインドネシア(42.1%から上昇し、51.5%)が最も大きく好転しています。50%以上のGTI値は、木材セクターの全体的な成長を示します。タイとインドネシアでは、6月の伐採、生産、受注の全てがプラス圏でした。
メキシコ(47.2%)、ブラジル(46.5%)、コンゴ(43.2%)、ガボン(41.2%)、マレーシア(33.3%)では、6月のGTI値は全て50%を下回っており、各国の木材市場は比較的低迷していると示されています。とはいえ、6月のGTI値はすべて5月と比較して上昇しており、それぞれの木材セクターの下落傾向が緩和されたことを示しています。メキシコではGTI参加企業の新規受注量が増加、ブラジルではGTI参加企業の生産量が増加し、その他の3カ国では木材生産量と受注量が減少しているにもかかわらず、景気の後退が緩和しました。
中国のGTI指数は、42.2%から46.7%に上昇したものの、依然として基準値を下回っています。有効需要の鈍化と輸送コストの高騰が、同国の木材企業に大きな影響を与えています。
その他のニュースとしては、木材生産に特化した指数であるGTI-Producers指数が6月に48.0%(39.2%から)に、木質系パネルに特化した指数であるGTI-WBP指数も46.3%(42.6%から)に上昇しており、2つのサブセクターの縮小が緩和されたと言えることが挙げられます。
6月、GTIパイロット国では、持続可能な森林経営において好ましい進捗が見られました。EUによる森林減少に関する規制(EUDR)に合わせるため、インドネシアは土地インベントリの測定方法の調整を検討しており、マレーシアのサバ州林業省は、サバ木材合法性保証システム(TLAS: Sabah Timber Legality Assurance System)を最新の状態にするため、EUとのパートナーシップを正式に開始しました。ガボンでは、水・森林省が森林レンジャーのフィールドワークを支援するため、車両を増強しました。この増強は、違法伐採と闘い、動植物を保護するのに役立つと同時に、同省が認証取得に向けて企業をよりよく支援できるようにするものです。
6月に木材セクターの新たな発展の機会が訪れた国もあります。メキシコで新たに選出されたクラウディア・シェインバウム大統領は、政府が全国に10カ所の「ウェルビーイング・ディベロップメント・ハブ」を追加開発すると発表しました。これらのハブは、10カ所の新しい産業回廊と統合され、中でも湾岸回廊(ベラクルス、タバスコ、チアパス、カンペチェをカバー)は、木材産業などの産業を優先することになります。ブラジル議会は、造林プロジェクトの環境許可の発行に環境アセスメント(EIA)と環境評価報告書(RIMA)を不要とする新法を承認しました。 EIA/RIMA プロセスは、環境ライセンスプロセスの中で費用と時間がかかる部分でした。
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