ITTO、イノベーションが熱帯林業による世界の持続可能な開発への貢献を高めると発言

2024年6月24日

2024年IUFRO世界大会2日目のイノベーション・ステージで講演するラモン・カリーオ ITTO広報担当オフィサー。写真:T. Yanuariadi/ITTO

2024年6月26日、スウェーデン、ストックホルム:木材追跡から政策策定までの幅広い分野におけるイノベーションは、熱帯地域における持続可能な林業の中心に存在するものであり、同セクターによる持続可能な開発への貢献を拡大させます。

上記は、今週スウェーデンのストックホルムで開催されている2024年国際森林研究機関連合(IUFRO)世界大会の発表の場の一つであるイノベーション・ステージでのITTOのプレゼンテーションで発信されたメッセージです。

ラモン・カリーオ ITTO広報担当オフィサーは、シャーム・サックルITTO事務局長に代わり、大会2日目に「持続可能な開発への熱帯林の貢献を最大化するイノベーション(Innovations to Maximize the Contributions of Tropical Forests to Sustainable Development)」と題したプレゼンテーションを行いました。

プレゼンテーションでは、森林がどのように国家の経済と推定16億人の人々の生計に貢献しているかが説明されました。持続的に生産される木材は、より持続可能で循環型のバイオエコノミーへの移行に不可欠な素材です。持続可能なかたちで経営された熱帯林は、炭素の吸収、生物多様性の強化、安全な水の提供など、多くの生態系サービスを与えます。

しかし熱帯林は、土地利用をめぐる紛争や農業セクターの拡大、気候変動や山火事など、さまざまな脅威にさらされています。熱帯地域の多くの場所で、森林減少と土地の劣化が続いています。

急速に進化する森林セクターのイノベーションは、希望をもたらします。新たな技術の進歩、森林経営の改善を支援する制度的取り決めや政策、森林景観再生の拡大、増え続ける多種多様な林産物の持続可能な利用などが、その例として挙げられます。

このような背景のもと、ITTOは加盟国や多くのパートナー組織と協力し、持続可能な熱帯林業における新しいアプローチとイノベーションの先駆けとなってきました。

グアテマラ(英語)とパナマ(英語)では、ITTOのプロジェクトが、バーコードとスマートフォンアプリを使って、切り株から市場まで木材を追跡するシステムを開発しました。マダガスカル(英語/仏語)では、木材の識別に関するITTOプロジェクトが、ローズウッドやその他の貴重な木材種のレファレンスコレクションを作り、また世界中で同様のコレクションを構築するためのプロトコルを確立しました。ブラジル(英語)では、近赤外分光法を使ったマホガニー材の識別技術の実地試験に成功しました。

またブラジル(英語)の別のプロジェクトでは、森林経営計画を加速し改善するためのソフトウェアを開発しました。BOManejoと呼ばれるこのソフトウェア・パッケージにより、森林管理者は伐採のための樹木の選択プロセスや、伐採される木材量の見積もりを改善することができます。

インドネシアでは、ITTOの支援により開発されたアプリが2022年に運用を開始し、山火事の予防と鎮圧に関する消防業務を支援します。この火災予防のためのシステム監視・報告技術(SMART)パトロール情報システムは、山火事の予防、発見、早期鎮圧をよりよく可能にするため、88のパラメーターに基づいて、火災予防パトロールの行動をリアルタイムで記録・報告するものです。このアプリは、インドネシア環境林業省の森林・土地火災管理情報システムに統合されています。

グアテマラのITTOプロジェクトでは、丸太の量を計測するアプリを開発しました。CUBIFORと呼ばれる同アプリの使用に必要なものは、丸太(またはその他の木材製品)を積み重ねた写真と、体積を推定するための基本的な測定値のみです。同アプリは林業関連会社のインベントリ管理能力を強化し、木材量の定量化を必要とする活動の効率を上げ、同国の持続可能な森林経営を全般的に進めました。

ITTOは、さまざまな革新的な政策シリーズを通じて、森林ガバナンスを強化し、組織開発を進めています。例えば、ITTOは次のようなガイドラインを策定してきました:熱帯生産林における生物多様性保全、熱帯林における統合的森林火災管理、持続可能な森林経営へのジェンダー平等と女性のエンパワーメントの導入、森林景観再生などに関するガイドラインなど。ITTOはまた、持続可能な森林経営のための基準と指標の開発における先駆者でもあります。

幸いなことに、森林セクターでは創意工夫に事欠くことはありませんが、持続可能な開発に対する熱帯林の貢献を最大化するためには、このようなイノベーションがさらに必要です。世界中で何百万人もの森林関係者が、熱帯林の保全、持続可能な経営、持続可能な利用を可能にするソリューションを研究し、明らかにし続けています。

「ITTOのような国際機関の役割は、利害関係者の取り組みを支援し、世界中の地域社会のために最良のイノベーションを広めることです。」とカリーオ氏は述べました。「私たちは、パートナーやメンバーとの緊密な協力のもと、これからもそれらの活動を継続していきます。」

ITTOのプレゼンテーション(英語)は以下からダウンロードできます。

関連するSDGs

ITTOの政策とフィールドワークは、熱帯地域における持続可能な林業を推進する協調的アプローチとイノベーションの先駆者となるものです。

 ITTOの政策とフィールドワークは、パートナーシップ、能力開発、適切な政策枠組みの開発を通じてイノベーションを生み出します。