インドネシア、ITTOの開発支援による新しい森林火災対策アプリを公開

2022年7月13日

インドネシア・南スマトラ州バニュアシン地区での消防団による早期消火。写真:Zuhardi

2022年7月13日、横浜:インドネシアで、消防団による森林火災の予防と消火をサポートするためにITTOの支援で開発された新しいアプリが公開されました。インドネシアには、森林火災が人々の安全やインフラ、そして生態系に対する大きな脅威となっている地域が多くあります。本アプリは、消防団がリアルタイムな情報を入手しやすくすることで、火災の消火を助けるものです。

インドネシア教育基金は、ボゴール農科大学(IPB大学)およびインドネシア環境林業省(MOEF)と共同で、日本政府の国際緊急援助による資金提供を受けたITTOの火災管理に関するイニシアティブの一環として、6月29~30日開催のハイブリッドイベントで「火災予防のためのシステム監視・報告技術(SMART)パトロール情報」を公開しました。

SMARTパトロール情報システムは、森林火災の予防、発見、早期消火を促進するため、火災予防パトロールの行動を79のパラメータに基づいてリアルタイムで記録・報告します。このシステムは、主にウェブサイト、データベース、モバイルアプリの3つの要素から構成されています。ウェブサイトとデータベースは、火災管理に関する政策立案や意思決定を支援し、当初は火災管理担当官のみが利用できるものとされていたモバイルアプリは、消防団による火災の報告を可能にします。収集されたデータは分析され、地域のコミュニティを含むすべての関係者に提供されます。

アプリの公開に際し、MOEF気候変動総局のラクシミ・デワンティ総局長が、このシステムの開発を可能にした共同事業について歓迎の意を表し、「コミュニティと政府を巻き込んだ関係者同士の共同作業こそが、森林火災や土地火災の制御への迅速な対応をより効果的なものとし、火災を予防します。」と述べました。

「ITTOとMOEFのプロジェクトは、南・中央カリマンタンと南スマトラで、統合的な火災管理を体系的に運用するための地域の能力強化に重要な役割を果たしています。」とマ・ファンオクITTO森林経営部門プロジェクトマネージャーは述べました。「このアプリの開発と公開は、インドネシアにおける総合的な火災管理の知識と能力を高めるためのさらなるステップです。」

SMARTパトロール情報システムの発表に続いて、森林と土地の火災予防に関する全国セミナーが開催され、約150人が参加しました。このセミナーでは、火災予防に関する経験やアプローチが共有され、またインドネシアでは人為的な活動によって多くの火災が発生していることを踏まえ、その社会的側面について考察がなされました。IPB大学の火災専門家であり、セミナーのスピーカーでもあるレイラン・シャウフィナ教授は、今後の火災管理は社会的側面、景観管理、マルチステークホルダー・パートナーシップを考慮する必要があると述べました。

このほか、火災予防のためのリモートセンシング(遠隔計測)技術、火災管理の政策とフェーズ、火災管理への参加型アプローチなど、さまざまなトピックが検討されました。

セミナーの録画(英語)はこちらからご覧ください: https://youtu.be/KKjW6xvLKEE.

ドイツのヨハン・ゴールダマー教授とインドネシアのバンバン・ヘロ・サハージョ教授の多大な貢献により1997年に出版された「熱帯林における火災管理に関するITTOガイドライン(ITTO Guidelines on Fire Management in Tropical Forests)」(英語)は、統合的な火災管理計画と社会経済的配慮の重要性を強調しています。

関連するSDGs

熱帯林は地球の健康にとって重要な生態系であり、統合的な火災管理は森林の保全と持続可能な利用に不可欠なものです。
森林火災は大気中に炭素を放出する。したがって、統合的な火災管理は、気候変動との戦いにとって極めて重要です。

火災予防は社会全体のパートナーシップとともにあるべきで、特に森林コミュニティ、産業界、政府、国際社会が関与し、統合的な火災管理を実現する必要があります。