国際生物多様性の日: ITTOは「計画の一部」である

2024年5月22日

生物多様性保全のために共に。ITTOのフィールドワークは、今年のテーマ"be part of the plan"(計画の一部になる)に合致するものです。写真: ベナン国家森林・自然資源総局

2024年5月22日: 国際生物多様性の日を迎えるにあたり、ITTOは、種と生態系の宝庫でもある世界の熱帯林の持続可能な経営を支援することで、憂慮すべき自然の喪失を食い止め、減らしていくことができるよう引き続き取り組んでいくと約束します。

「熱帯林で進化してきた生命の量と多様性の、その美しさと人類にとっての計り知れない価値は、驚くべきものです。」とシャーム・サックルITTO事務局長は述べました。「かけがえのない貴重な恩恵を人々が享受し続けられるよう熱帯林を保護することは、ITTOのミッションの中核をなすものです。」

世界の生物多様性の損失はめまぐるしいスピードで続いており、地球の健康と世界の人々のウェルビーイングに脅威をもたらしています。このリスクを認識し、国際社会は2022年に昆明-モントリオール生物多様性枠組(Kunming–Montreal Global Biodiversity Framework)に合意しました。

熱帯林の重要なバイオームには、地球上の陸生動植物種の半分以上が存在しているため、熱帯林の減少を食い止め、その持続可能な経営を確保することは、このソリューションにとって不可欠と言えます。

今年の国際生物多様性の日(International Day for Biological Diversity)のテーマに合わせて、ITTOは、世界の熱帯林の運命に関わるすべての人々に対し、世界の天然資源を保護し、回復し、持続的に利用するための 「計画の一部になる」よう強く呼びかけます。

「ITTOのような組織や、森林に依存するコミュニティや政府組織、研究者、木材会社などの利害関係者による広範なイニシアティブは、熱帯林の減少を食い止め、地球を持続可能な軌道に乗せることへの願いを表すものであるとともに、そのための様々なツールが利用可能であることを示しています。」とサックル事務局長は述べました。

また「しかし、それを現実のものにするためには、各国内および国際的な協力の強化と、投資の大幅かつ持続的な増加が不可欠です。」と付け加えました。

ITTOは、持続可能な熱帯林経営が生物多様性の保全に貢献すると同時に、経済機会を創出し、持続可能な開発を促進する可能性を認識しています。

その可能性を実現するため、ITTOは生物多様性条約(Convention on Biological Diversity: CBD)事務局と長年にわたり提携しています。

2011年以来、ITTOは熱帯林の生物多様性のためのITTO/CBD共同イニシアティブ(ITTO–CBD Collaborative Initiative for Tropical Forest Biodiversity)の下で、以下のような幅広いプロジェクトを実施してきました:

  • 熱帯林の持続可能な経営、利用、回復に貢献する生態学的、生物学的データの収集と利用を通じて、各国が森林景観の価値を十分に認識し、強化するよう支援する;
  • 森林景観における熱帯の生物多様性と生態系サービスの維持・強化を目的とした、革新的なアプローチや実践、技術、技術スキルの強化を推進する;
  • 熱帯生産林における生物多様性の保全と持続可能な利用のためのITTO/IUCNガイドライン(ITTO/IUCN Guidelines for the Conservation and Sustainable Use of Biodiversity in Tropical Production Forests)、およびその他の関連ガイドラインとCBD決定を実施するための各国の能力構築を支援する;
  • 絶滅の危機に瀕している熱帯樹種の保全と持続可能な利用をはじめとした、国際機関やパートナーとの生物多様性のグローバルな目標を実施する能力強化のための協力を強化する

現在、同イニシアティブの一環として、インドネシアのギアム・シアック・ケチル・ブキット・バトゥ生物圏保護区の経営強化、トーゴの女性グループによる森林景観再生の支援、コロンビアとマレーシアの先住民族の人々と地域コミュニティによる森林経営実践の改善など、8つの多岐にわたるプロジェクトが進行中です。

同イニシアティブで現在実施されているプロジェクト、および、将来のプロジェクトは、生物多様性の新たな枠組みで合意された目標やターゲット(goals and targets)の多くに貢献するものです。

プロジェクトには、生物多様性保護区や脆弱な生態系の持続可能な経営、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)の附属書に記載されている貴重な木材種の保全、先住民族や森林に依存するコミュニティおよび女性の関わり、気候変動の緩和と適応などが含まれています。

また、ITTOの活動では、森林景観の回復ジェンダー平等と女性の地位向上天然熱帯林の持続可能な経営熱帯木材生産林における生物多様性の保全と持続可能な利用火災管理などのテーマを扱う、新しい生物多様性の枠組みに沿った政策ガイドライン(それぞれ英語)も作成してきました。

「ITTOは、組織の活動、特にCBDとの実りあるコラボレーションを通じて、気候、生物多様性、持続可能な開発など、人類がグローバルな目標を達成するのを支援することを約束し続けます。」とサックル事務局長は述べました。