事務局長、熱帯諸国の森林火災管理への支援強化を要請

2024年5月8日, 米国、ニューヨーク

サイドイベント「協調的ガバナンスによる統合的景観火災管理の原則と戦略」の演壇。写真:Soo Min Lee/ITTO

2024年5月8日、米国、ニューヨーク: シャーム・サックルITTO事務局長は、ニューヨークの国連本部で開催中の第19回国連森林フォーラム第19回会合のサイドイベントで、熱帯林をますます危機的状況に追い込む火災は、全世界の問題であり、総合的な火災管理のために資金的・政治的な支援が必要と語りました。

このサイドイベント、協調的ガバナンスによる統合的景観火災管理の原則と戦略(Principles and Strategies for Integrated Landscape Fire Management through Collaborative Governance)は、2024年5月6日(英語)に、ITTO、韓国林野庁、インド環境・森林・気候変動省、インド森林管理研究所、ポルトガル総合農村火災管理庁(AGIF)、国際連合食糧農業機関(FAO)が共同で開催したものです。

同イベントのモデレーターを務めたシャーム・サックルITTO事務局長は、「気候が変化し、火災の季節が長くなり、火災の危険性が高まっています。」「これは、熱帯地域でも、他の気候帯でも同じです。さらに、森林火災の多くは人為的なものであり、回避または最小化することが可能です。」と述べました。

サックル事務局長は、ガーナインドネシアペルー(それぞれ英語)における最近のITTOプロジェクトについて説明し、より多くの支援が必要であると述べました。

「リスクが高まる中で、景観を管理し、山火事を防ぐために、各国はさらなる努力を必要としています。」「多くの熱帯諸国では、国際的な支援と地域間での調整が不可欠です。」とサックル事務局長は述べました。

ITTOは30年以上にわたって統合火災管理を提唱しており、最近では日本政府の資金援助により、インドネシアとペルーでプロジェクトを実施し、両国の統合火災管理を強化しました。サックル事務局長は、1997年に発行された『熱帯森林の火災管理についてのITTOガイドライン』(英語)は、森林火災管理において画期的で、今でもさらに適切で重要であるとともに、現在の課題や状況の変化に合うように改訂されている最中であると紹介しました。

「国際レベルで開発されたITTOの『熱帯林における火災管理に関するITTOガイドライン』の改訂版は、各国において効果的な政策を立案するための重要なツールとなり、熱帯地域における森林火災管理において日々増大していく困難に対して価値ある貢献をするでしょう。」「また、近隣諸国間の火災管理アプローチの一貫性や相互理解も促進されるでしょう。」とサックル事務局長は述べました。

イベントでは、その他にも、森林火災に関する様々な議論が行われました。AGIF会長のティアゴ・オリヴェイラ氏は、2023年5月にポルトガルのポルトで開催された第8回国際森林火災会議の成果である景観火災管理枠組(Landscape Fire Governance Framework)について参加者に説明。ジテンドラ・クマール氏とラグー・プラサド氏は2023年10月にインドで開催された森林火災に関する国主導イニシアチブの成果について、韓国森林公社のキム・ジナ氏は最近発足した「統合リスク管理メカニズムによる森林の未来の保証」を含めた統合的な森林火災管理を実施するために同国が実施している取り組みの一部について、またFAO森林局長のウー・ジミン氏は、統合的な火災管理に向けた国際的な取り組みを促進するための新しいプラットフォームであるグローバル・ファイヤー・ハブについて、それぞれ発表しました。サイドイベントの参加者らは活発な質疑応答を行いました。

サックル事務局長は総括として、同イベントの素晴らしい登壇者らは、熱帯地域の国々に影響を及ぼすだけでなく、普遍的な問題に対処する上で考慮しなければならない重要なポイントの数々に光を当てたと述べました。ガイダンスを提供する取り組みは、予防、管理、復旧に重点を置き、早期警戒システムとモニタリングの詳細を考慮して適切に計画され、国家レベルでの意識向上と能力構築によって強化される必要があります。

関連するSDGs

森林火災は炭素を大気中に放出するため、統合的な火災管理は気候変動と闘う上で極めて重要です。
熱帯林は地球の健康にとって不可欠な生態系であり、統合的な火災管理は森林の保全と持続可能な利用に不可欠です。地域、国、地方の総合的な火災管理能力を強化することで、森林火災の発生を減らすことができます。
火災予防は社会全体のパートナーシップであるべきです。効果的な森林火災予防には、国際的な支援と地域の連携が不可欠です。