持続可能な森林経営と大気の清浄化の繋がり

2023年9月7日

自然の浄化装置である熱帯林。写真:K. Sato/ITTO

2023年9月7日、横浜: 熱帯林は自然の浄化装置として知られていますが、世界的な森林火災やその他のストレス要因の増加により、脅威にさらされています。青空のためのきれいな空気の国際デー(英語)であるこの日を機に、私たちは、きれいな空気を維持するためには熱帯における持続可能な森林経営が重要であると強調します。

熱帯林は自然のエアフィルターとして機能し、汚染物質を吸収して、生命を維持する酸素を放出します。しかし、この重要な役割を維持するためには、森林を持続可能なかたちで経営する必要があります。

「健全な熱帯林は、大気を清浄に保ち、気候変動を緩和するなど、多様で不可欠な生態系サービスを提供していますが、森林が失われたり劣化したりすると、これらのサービスは低下します。」とシャーム・サックルITTO事務局長は語りました。

「熱帯林はまた、産業を支え、生計を立て、持続可能性のある素材を生産しています。これらすべての理由および他の様々な理由から、ITTOは持続可能な森林経営を奨励し、それによって熱帯林のすべての貴重な財とサービスを維持できるようにするため、プロジェクトや政策開発に懸命に取り組んでいます。」

きれいな空気に対するITTOの大きな貢献のひとつに、熱帯林の火災管理に関する広範な活動があります。インドネシアガーナペルー(すべて英語)における最近の火災管理プロジェクトは、山火事の発生を減らすことを目的とした総合的な火災管理アプローチの開発に寄与しています。

これらのプロジェクトの設計と実施は、熱帯林における火災管理に関するITTOガイドライン(英語)で確立された原則に基づいており、山火事の予防と対応における地方および国家当局の能力強化において極めて重要な役割を担っています。

ITTOの熱帯地域における森林景観再生のためのガイドライン(英語)は、大気質へのさらなる重要な貢献と言うことができます。なぜなら、森林景観修復は、森林が汚染物質を捕捉し、ろ過する能力を高め、最終的に空気の質を改善するからです。ITTOは一連の地域ワークショップを通じて、政策立案者や現場の実務者に、世界中の森林関係者や機関の意見を取り入れて作成したガイドラインを紹介しています。

持続可能な森林経営を促進するという使命のもと、ITTOは清浄な空気に貢献する多様なプロジェクトに取り組んでいます。現在進行中のプロジェクトには、コスタリカの商業目的の再植林を増やすプロジェクト(PD 849/17 Rev.2(F))、カンボジアのコミュニティ林業を強化するプロジェクト(PD 836/17 Rev.2(F))、ベナンの地域の農業従事者の能力を開発し、地域の森林を持続的に経営・利用するプロジェクト(PPD 201/21 Rev.2(F))などがあります。これらのイニシアティブは、持続可能な林業を推進するだけでなく、地域コミュニティが天然資源の保護に積極的な役割を果たすようエンパワーするものです。

国連によると、大気汚染は人間の健康に深刻な影響を及ぼします。世界における脳卒中や慢性呼吸器疾患、肺がんなどによる死亡の約3分の1、心臓発作による死亡の4分の1が、大気中の微粒子が肺や血流などの体内に入り込むことから起こるとされています。また、太陽光に含まれる汚染物質の相互作用によって生成される地上のオゾンも、喘息や慢性呼吸器疾患の原因となっています。

「このことは、世界の森林に持続可能な森林経営を緊急に適用するための新たなインセンティブとなります。」とサックル事務局長は述べました。「各国政府、国際社会、ドナーに対して、持続可能な熱帯林経営への支援を強化し、それによって人間の健康、そして地球の健康が依存するサービスを維持するよう求めます。」

関連するSDGs

ITTOプロジェクトは、森林に依存するコミュニティの持続可能な生活を支援します。

ITTOプロジェクトは、熱帯林の経営を改善し、その持続可能な利用を促進することで、持続可能な生産と消費を促し、気候変動を緩和するとともに、大気の質の維持にも貢献しています。

 ITTOのプロジェクトは、熱帯林の経営を改善し、持続可能な利用を促進することにより、持続可能な生産と消費を奨励し、気候変動を緩和するとともに、大気の質の維持にも貢献しています。

総合的な森林火災管理は、持続可能な森林経営の不可欠な要素です。生物多様性の保全、森林減少の阻止、土地の劣化の軽減、土地の回復の促進に加え、大気の質の維持・改善にも役立ちます。