国際木材市場の需要は依然低調 ―世界木材指標(GTI)最新レポート

2023年6月16日

インドネシアの貯木池にある合板生産用のメランティ丸太。インドネシアのGTIは5月に5.7%ポイント低下。写真:ボゴール農科大学林業学部

2023年6月16日、横浜: 最新の世界木材指標(GTI)レポートでは、5月の熱帯木材市場は回復の兆しが見られず、一部の国ではより低迷していることが明らかになりました。GTIは、ブラジル、中国、コンゴ、ガボン、インドネシア、マレーシア、メキシコの7カ国のパイロット参加国で50%を下回り、このセクターがマイナス成長であることを示しています。

GTIレポートによると、4月には基準値である50%を超えていたインドネシアのGTIは、5月に5.7ポイント低下して44.9%となり、同国の木材産業の回復基盤が依然として弱いことを示唆しました。コンゴでは、GTIが9.4ポイント上昇して35.7%となり、同セクターの縮小率が緩和されたことが示されました。中国(35.3%)、マレーシア(28.0%)、ブラジル(32.9%)、ガボン(33.8%)、メキシコ(44.5%)ではGTIが50%を大きく割り込み、回復の兆しが見られません。

中国の木材・木材製品(特に国内向け)の新規受注は5月に減少し、それに伴い原材料や完成品の在庫が増加しました。

GTIに参加している企業が5月の調査で報告した主な課題は、市場受注の減少、燃料などのコスト上昇、原木価格の下落に関するものでした。ブラジルの企業は、センダン科のトーナノキ(Toona ciliata)やカヤ(Khaya grandifoliola)といった貴重な樹種の市場での認知度向上に期待を示しました。インドネシアの企業は、資金調達、輸出関税、国際協力などにおいて、政府からのより一層のサポートを求めました。

GTIパイロット参加国は、EUによる森林減少防⽌に関する規則(European Union Deforestation Regulation: EUDR)を注視しています。例えば、ブラジルの家具産業は、提案された法律がもたらすリスクを懸念しています。サラワク森林産業協会は、木質パネルや家具などの高付加価値製品を生産するために、人工林の木材を最大限に利用することを提案しました。

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