化石由来のプラスチックの需要を削減し、循環経済に貢献する熱帯木材

2023年6月5日

熱帯木材製品は、プラスチックの代替品として様々な用途で使用することができます。写真:ITTO

2023年6月5日、横浜: 木材、特に熱帯木材は、プラスチックの代替品として日常的に使用されることで、プラスチックによる環境フットプリント(環境への負荷)を削減できる可能性が高い、とシャーム・サックルITTO事務局長は、世界環境デーに述べました。

2023年の世界環境デーは、プラスチック汚染の削減と循環経済への移行に向けた行動を加速させることに焦点を当てています。熱帯木材の需要と供給の将来に関するITTOの調査(英語)によると、現在生産されているプラスチックの90%以上は化石燃料のバージン原料に由来しており、炭素の影響が大きく、需要が増え続ければさらに増加すると報告されています。

国連(英語)によると、海洋にあるすべてのプラスチック廃棄物を回収した場合、500万個の輸送用コンテナが一杯になると考えられています。現在生産されているプラスチックのほとんどは生分解されず、時間の経過とともにどんどん小さな破片になっていきます。人の健康や環境にとって、このようなマイクロプラスチックは差し迫った危険であると言えます。

「2050年までにプラスチックの生産量は3倍以上になると予測されており、環境への影響を制限し、縮小するために何かしなければならないことは明らかです。」とサックル事務局長は述べました。

そのための一つが、プラスチックの生産を化石燃料から木材などのバイオマテリアルに切り替えることです。ITTOの調査(英語)によると、世界の紙パルプ産業はこの分野の研究開発に投資しており、「2050年までに、セルロース由来の競争力のあるプラスチック代替品が市場に出回るようになると考えるのが妥当。」と考えられます。

サックル事務局長は「バイオプラスチックの生産は、森林セクターにとって大きな成長の機会になり得るものです。」と同意を示すとともに、「しかし、プラスチック汚染の問題を軽減するための、より良い、より直接的な方法は、プラスチックの代わりに木製品を使用することです。」と述べました。

熱帯木材を含む木材は、屋外家具から梱包材まで、多くの用途で、プラスチックの代用品として使用することができます。持続可能な方法で生産された木材製品は、環境への負荷が低く、リサイクルや再利用も容易です。

木材やその他のバイオマテリアルは、最終的には持続可能な経済の基盤を形成するものでなければならないとサックル事務局長は語りました。

「循環経済の3大要素は、廃棄物と汚染をなくし、製品や素材をできるだけ長く使い続け、自然システムを再生させることです。木材、そして持続可能な森林経営は、この3つのすべてを提供します。」

国連によると、世界が循環経済へシフトすれば、2040年までに海洋に流入するプラスチック量の80%以上が削減され、バージンプラスチック生産の55%が削減され、各国政府が2040年までに700億米ドル節約することとなり、温室効果ガス排出の25%が削減され、主に南半球で70万人の追加雇用が創出されることになります。

プラスチックの代替品として熱帯木材の使用が増加すれば、プラスチック汚染という地球規模の問題を軽減するだけでなく、地域社会を含む様々な方面に恩恵をもたらすでしょう。

「熱帯木材の持続可能な伐採は、森林を保護しながら価値を高め、地域社会には生計を、国には必要な収入をもたらします」とサックル事務局長は述べました。「消費者はできる限り、プラスチックよりも持続可能な方法で生産された木材を選ぶべきでしょう。」

膨大なITTOプロジェクトのポートフォリオには、持続可能な森林経営、持続可能な木材生産、地域主導の林業などを奨励するプロジェクトが数多く含まれています。