国際原野火災会議に先立ち、マチュピチュの防火をテーマにしたドキュメンタリーを公開
2023年5月12日
2023年5月12日、横浜:世界中で森林火災の被害が拡大しています。インカの城塞都市であるマチュピチュも例外ではありません。ポルトガルのポルトで来週開催される第8回国際原野火災会議(英語)のITTO主催ワークショップに先立ち、本日、このマチュピチュという素晴らしい遺跡の近くで実施されている火災防止の取り組みに関する調査の様子を、新しいドキュメンタリーとして発表します。これは、ITTOから奨学金を授与されたタリア・ロスタナウ氏によるものです。
ITTOと世界火災モニタリングセンター(Global Fire Monitoring Center: GFMC)は、政策関連業務に加えて、ガーナ、インドネシア、ペルーでの広範なプロジェクトでの取り組みに基づいて、熱帯林における統合的な火災管理のためのベストプラクティスを紹介するためにワークショップ(英語)を開催します。ワークショップは、関係者間の知識交換を促進し、熱帯林の火災予防と管理のための効果的な戦略を見出すことを目的とし、5月16日に開催されます。また、熱帯林の火災管理に関するITTOガイドラインに関する基調講演が行われる予定です。
森林火災は、2021年にペルーで19万ヘクタール以上の森林と牧草地を劣化させました。ペルーの森林局は、同国の森林火災の95%は農家が農業目的の行為が原因で起きたと推定しています。
ロスタナウ氏の美しく説得力のあるビデオ「Los Guardianes de Machupicchu(マチュピチュの守護者たち)」(英語字幕あり)は、ペルー・アンデスのマチュピチュ歴史地区における火災管理の改善への取り組みを調査しています。ビデオでは、森林消防士のユスティニアニ・カンディア氏が森林火災への対処だけでなく、保護区の内外で重要な火災予防活動にも取り組んでいる様子が伝えられています。また、カンディア氏の同僚であるジェシカ・モロン氏の仕事も紹介されています。モロン氏は、保護区内の火災を高度な技術で検知し、迅速な消火活動を可能にしています。
ロスタナウ氏は、環境問題をテーマにしたオーディオ・ビジュアル作品を制作しているペルーの森林学者です。ITTOフェローシップ・プログラムの授与者でもあり、その成果の一つとして、同ビデオを制作しました。
「マチュピチュでは、火は非常に複雑な問題です。」とロスタナウ氏は述べました。「農業従事者たちは昔、土地を整地し、新しい作物を作るために火入れをしていました。パンデミックによって、多くの人々が都市部から田舎に戻り、近年使っていなかった農地を焼くようになりました。これに、乾季をますます激しくする気候変動が加わり、森林火災の発生を助長しているのです。」
ロスタナウ氏は、2019年にカリフォルニア大学でジャーナリズムの短期コースを受講するため、そして2021年にこのドキュメンタリーを制作するために、ITTOから二度奨学金を提供されています。彼女は、この二度のフェローシップのおかげで、環境ジャーナリストになるという夢を実現することができたと言います。
このドキュメンタリーは、特に先住民族や地域コミュニティの間で、増加する森林火災の課題への認識を高め、予防の重要性に対する理解を広めることを目的としています。ロスタナウ氏は、ペルー国立自然保護区管理事務局(Peruvian National Service of Natural Protected Areas : SERNANP)をはじめとするさまざまな組織と提携し、火災の危険が高まる乾季を迎える前に、各コミュニティでビデオを上映する予定です。
「このビデオを見ることで、農業従事者がより自信を持ってパークレンジャーや森林消防士に支援を要請できるようになることを期待しています。」とロスタナウ氏は語りました。
シャーム・サックルITTO事務局長は、このビデオが感動的かつ美しく制作されていると賞賛しました。
「ITTOフェローシップ・プログラムは、若手や中堅の才能を伸ばすことを目的としており、このビデオはまさにその成果です。」とサックル事務局長は述べました。「このビデオによって、マチュピチュ近郊の農業従事者が火災管理のスキルを向上させ、世界中の若い専門家がITTOフェローシップ・プログラムを通じてキャリア開発の機会を追求するようになることを願っています。」
ITTO/GFMCワークショップ「総合的な火災管理のための熱帯林火災予防: ガイドラインからベストプラクティスへ」の詳細はこちらです。