報告書:天然資源を保護するためには、森林教育の充実が必要

2022年10月4日

野外実習で身近な環境について学ぶガイアナ・ルプヌニのクリーク・セカンダリー・スクールの生徒たち。写真:FAO

2022年10月4日、イタリア、ローマ:教育は、森林を含む天然資源を保護するために不可欠です。これは、国連食糧農業機関(FAO)、国際森林研究機関連合(IUFRO)、ITTOが第26回FAO林業委員会で発表した新しい包括的な共同報告書「森林教育に関するグローバル・アセスメント」(英語)の主要メッセージの一つです。

森林や樹木が、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた各国の取り組みにおいて果たす役割は広く認識されていますが、SDGsに対する森林の貢献を最大化するためには、十分に訓練を受けた森林セクターの労働者や起業家、実務家、研究者、専門家や政策立案者、そして、市民社会が十分に情報を提供されていることが必要です。

「森林教育は、教育分野の中では小さなセクターかもしれませんが、より大きな役割を果たす可能性を秘めています。森林関連のステークホルダーの理解と連携が深まれば、SDGsの達成にポジティブな影響を及ぼすでしょう。」とIUFROのアレクサンダー・バック常務理事は述べています。

しかし、地域社会や変化の激しい労働市場のニーズに森林教育が合わないことがしばしばある、森林や森林の管理者および政策立案者の重要性が低く評価されているといった懸念点もあります。

FAOのヘラルド・セグラ・ワーンホルツ シニア林業オフィサーは、「この報告書が、森林教育を強化して森林と木に恩恵をもたらし、森林に関わる人々や地球社会、および地球のウェルビーイングに貢献する今後の行動につながることを期待しています。」と述べました。

この評価では、森林教育の現状を調査し、必要なアクションを特定しています。調査では、森林、森林外の樹木、その他の森林地帯に関連する教育と訓練について取り上げるとともに、初等、中等、技術教育と職業訓練、大学、カレッジなど、あらゆるレベルの正規教育を対象としています。また、森林教育プログラムと労働力において、デジタル格差、言葉の壁、ジェンダーや人種・民族のバランスを考慮した、地域に基づいた適切かつ包括的な解決策が緊急に必要であると明らかにしています。主要な改善点の一つは、あらゆるレベルの学生が森林や野外での実践経験を積む場によりアクセスしやすくすることです。

シャーム・サックルITTO事務局長は、「先住民族や伝統的な森林関連の知識も含めた、高品質で広く利用できる森林教育は、森林や樹木が多くの社会的、環境的機能を果たすために不可欠であり、森林セクターにおける『目的適合性』のための重要な要素です。」と述べています。

この報告書は、世界森林教育調査2020の結果に基づいており、ドイツ連邦食糧農業省(BMEL)の資金援助を受けた「森林教育に関するグローバル・プラットフォームの構築と森林に関する協調パートナーシップの下での共同イニシアティブの立ち上げ」プロジェクトの下で実施された、森林教育に関する6つの地域評価報告書の調査結果により補足されています。

 

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関連するSDGs

森林の持続可能性と生産性を確保するためには、森林経営に関する教育と訓練が不可欠です。

将来の世代に包括的で持続可能な解決策を提供するために、森林に関する教育と訓練においてジェンダー、人種、民族のバランスを確保する必要があります。

森林教育が改善されれば、農村部の雇用創出につながり、森林に関わるコミュニティの生計向上を可能にし、循環型のバイオエコノミーを支えます。

若い林業従事者への投資は、社会のニーズに応えるイノベーションを引き出す鍵になります。

森林教育の改善によって、合法的かつ持続可能な供給源からの木製品の消費が増えれば多くの経済的、社会的、環境的利益をもたらすという認識を高めることができます。

森林は、気候変動と闘う努力の中心的存在として認識されています。森林教育により、国、地域、世界レベルでの気候変動緩和の取り組みにおける森林の役割を強化することができます。

森林や樹木は健康な地球のために不可欠である。森林教育が改善されれば、このことが十分に理解され、将来の世代に受け継がれるようになると見られます。

FAO、IUFRO、ITTOの共同作業のような森林教育強化のためのパートナーシップは、健全な環境と持続可能な開発目標の達成に対して、森林と樹木が十分に貢献できるよう支援します。