G7首脳が持続可能なサプライチェーンに関するITTOへの協力をプレッジ

2021年7月27日

ITTOの研修を受けたコートジボワールの小企業。ITTOは職人工芸企業を正規の木材セクターに統合し、この企業のように多数の国々、労働者、森林が恩恵を受けるよう取組んでいる。写真撮影:T. Yanuariadi/ITTO

横浜、2021727日:2021年5月に公表したコミュニケにて、G7気候・環境大臣は、ITTOへの協力を通じ、農業生産活動による森林の減少・劣化を引き起こさない持続可能なサプライチェーン に向け積極的に支援を増やしていく意図を明確に示しました。

G7はカナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国から成るハイレベルの政府間フォーラムです。5月20日から21日にかけてオンライン開催された会合後、G7諸国の気候・環境大臣及び欧州連合(EU)の気候行動と環境コミッショナーはコミュニケ(英語)を公表しました。

このコミュニケの中で、G7 気候・環境大臣は、森林劣化や生態系の転換が世界の気候、生物多様性、食料安全保障、暮らしを脅かしていること、またこれは農業、鉱業、伐採、インフラ事業の拡大によって引き起こされていることを認識しました。

「自然資源の持続可能で合法的な利用への移行(”Transition to sustainable and legal use of natural resources”)」に関する部分で、G7気候・環境大臣は、農業生産活動によって森林が減少・劣化することのない持続可能なサプライチェーン に対する支援を拡大し、森林やその他の生態系の保全、持続可能な経営、再生、保護を実現すると約束しました。

コミュニケの中で「…消費国と生産国の対話への参加や、国際熱帯木材機関の活動を通じたものを含め、開発と貿易を促進しながらこれを行う(”…while promoting development and trade, including through participating in the dialogue between consumer and producer countries ... and through work by the International Tropical Timber Organisation”)」と述べられています。

さらに、G7気候・環境大臣が「森林減少・劣化とは無縁の商品の消費にインセンティブを与えるために、民間部門や生産国、非政府組織(NGO)、及び先住民及び地域社会等のパートナーと協力する(“…will also work with other partners in the private sector and producer countries, non-governmental organizations, indigenous peoples and local communities to incentivize the consumption of commodities not associated with deforestation and forest degradation”)。」ことも盛り込まれています。

その他、コミュニケでは、気候変動と生物多様性の損失という 「2 つの危機(“twin crisis”)」への対処を目的として、相互に関連する幅広い課題が取上げられました。

ITTOは、持続可能なサプライチェーンの促進や持続可能な森林経営を奨励する様々なイニシアティブを実施中です。一例として、ITTOの生産加盟国による有効な奨励策の実施に向けた支援を視野に入れた熱帯地域における持続可能な森林経営(SFM)に向けた財政・非財政奨励策の分析報告書(英語)を発行しました。また、熱帯木材及び熱帯木材製品の合法かつ持続可能なサプライチェーン に関するオンライン学習講座(英語)を開講しました。

ITTOは、熱帯林の生物多様性保全のためのITTO/CBD共同イニシアティブ(ITTO/CBD Collaborative Initiative for Tropical Forest Biodiversity)を通じ、生物多様性条約(Convention on Biological Diversity:CBD)と長年の協力関係にあります。このイニシアティブの下、森林に依存する人口を多く抱えながら森林地域での生物多様性の消失や劣化が起こっている熱帯23カ国で16のプロジェクト(今日まで)を実施しています。最新のプロジェクト技術評価では、予算が限られる中、地域住民の暮らしと森林経営の改善、劣化した森林景観の再生、生物多様性の保全で大きな成果が見られたことが報告されています。

スティーブン・ジョンソンITTO事務局長代理は、ITTOが使命に掲げる熱帯林の持続可能な経営と保全、及び持続可能な経営下にある森林で合法的に収穫された熱帯木材の国際貿易の拡大と多角化の促進は、前述のG7コミュニケに盛り込まれた目標の達成に寄与し得る点に留意しました。

「ITTOは、合法で無駄のない自然資源の利用を図る上で、G7と連携し、熱帯林が有す力を存分に引き出し、持続性を保ちつつ収穫される熱帯木材の積極的な利用を実現する用意があります。」とジョンソン氏は話しました。

G7気候・環境大臣コミュニケ(英語原文)を読む