熱帯林は "世界的な問題の渦中"にある―理事会開会式で議長が発言

国際熱帯木材理事会第59回会合の開会式に出席したモハメド・ヌルディーン・イドリス議長。写真:Nonthaphat Saetan/ITTO

 

 

2023年11月13日、タイ、パタヤ:モハメド・ヌルディーン・イドリス国際熱帯木材理事会議長は、今週実施される第59回会合の開幕にあたり、「熱帯林は世界的な問題の渦中にあり、持続可能な経営のための資金不足が大きな懸念となっている」と述べました。

今年は、新型コロナウイルス感染症の大流行による壊滅的な影響から世界が完全に立ち直る前にもかかわらず、記録的な暑さと森林火災、暴風雨、洪水、その他の悪天候に次々と見舞われた一年である、とイドリス博士は述べました。気候変動は何十億もの人々の生活に影響を与え、生物多様性を脅かしています。その上、国家間には敵対関係が生じています。

これらの要因が「2030年までに持続可能な開発目標(SDGs)を達成する見通しを曇らせている」とイドリス博士は述べました。「森林、特に熱帯林は、この世界的な問題の渦中にあります。しかし、地球規模の課題に対する有効な解決策としての森林の重要性が明確に認識されているにもかかわらず、持続可能な森林経営のための資金は不足し続けています。」

熱帯林の持続可能な経営のための資金調達に関する懸念は、シャーム・サックルITTO事務局長も同日の別のセッションでの声明で指摘しました。サックル事務局長はITTO加盟国に対し、持続可能な熱帯林経営、および、合法的かつ持続可能なかたちで生産された木材製品の貿易の多様化というITTOの "2本柱 "の使命に対し、さらなる支援を求めました。

「ITTOは熱帯林に特化した唯一の国際機関です。」とサックル事務局長は述べました。「しかし、ITTOでは、プロジェクト資金のための自発的な拠出が不足しています。

ITTOは、熱帯林、ひいては気候変動交渉、生物多様性枠組、持続可能な開発のための2030アジェンダ、国連生態系回復の10年など、多くの世界的なプロセスに大きく関係しており、資源の動員においてさらに多くの課題がある、とサックル事務局長は述べました。


サックル事務局長は、熱帯林に関する現場での専門知識や経験が不足していることの多い大規模な国際機関やプロセスへのITTOの参加を、加盟国から働きかけるよう促しました。ITTOには、過去35年間に開発された膨大なプロジェクト・ポートフォリオに基づく、専門知識や経験があります。

サックル事務局長は声明の中で、最近亡くなった2人の元ITTO事務局職員、ジョン・リー氏とヒラス・シダブタル博士に敬意を表しました。「両氏は退職後も、ITTOの旗手として、プロジェクトを通してITTOを支援し続けました。」

また、ITTO事務局を退職する2人の職員、スティーブン・ジョンソン博士とマ・ファンオク博士についても、それぞれの34年および27年にわたるITTOへの貢献を称えました。代表団は、2人に対してスタンディング・オベーションを行いました。

理事会の開会式では、イドリス博士とサックル事務局長のほかにも要人がスピーチを行いました。

チョンブリ県のタワチャイ・スリトン知事は、代表団を歓迎しました。

「協力関係を強化し、世界の熱帯木材資源の経営についてより良いソリューションを模索するこの重要な会合の開催地となることを光栄に思います。」とスリトン知事は述べました。

パタヤ市のポラメット・ガンピチェット市長は、代表団のパタヤ市への訪問を歓迎しました。

ロベルト・セミナリオ・ポルトカレロ駐日ペルー大使は、ペルーは1986年にITTOに加盟して以来、50を超えるITTOプロジェクトを実施し、それらは持続可能な森林経営に貴重な貢献をしてきたと述べました。

タイ天然資源環境省(Thailand’s Ministry of Natural Resources and Environment)のチャヤナン・パクディージット副事務次官は、持続可能な森林経営と合法的な木材貿易に関する科学と政策の連携を改善するため、科学的知見の交換を促進し、強化する必要性を指摘しました。また、持続可能な森林経営、保全、回復、持続可能な木材利用を通じて、気候変動の緩和、適応、レジリエンスを支援することもITTOにとって重要だと述べました。

パクディージット副事務次官のスピーチは、タイ王室森林局(Thailand’s Royal Forest Department)のスラチャイ・アジャラブーン局長によるスピーチで補完されました。

理事会会期の初日に、いくつかの議題についての話し合いが行われました。そのひとつは、ITTOの活動基盤であり、ITTOの使命の基となる2006年国際熱帯木材協定(International Tropical Timber Agreement: ITTA)の再交渉または更なる延長の必要性についてです。この問題に関する会期間作業部会の共同議長であるキーラン・アンドゥラスコ氏(オーストラリア)が作業部会の報告書を提出し、本会議での議論となりました。この議題項目は、会期中にさらに議論される予定です。

議題項目1、3、4、5、6、7、8に関する議論は完了しました。財務・管理委員会と貿易と林産業に関する合同委員会も本日招集されました。

国際熱帯木材理事会は、熱帯林の持続可能な経営と持続可能な方法で生産された熱帯木材の貿易を促進することを目的とした幅広い議題について議論するため、少なくとも年に1度は開催されています。

IISDレポートサービスによる会期中の日報は以下より確認できます:

https://enb.iisd.org/ittc59-international-tropical-timber-council

第59回国際熱帯木材理事会に参加する代表団を歓迎するタイ・チョンブリ県のタワチャイ・スリトン知事。写真:Nonthaphat Saetan/ITTO
第59回国際熱帯木材理事会の開会式でスピーチするタイ・パタヤ市のポラメット・ガンピチェット市長。写真:Nonthaphat Saetan/ITTO
第59回国際熱帯木材理事会の開会式で挨拶するロベルト・セミナリオ・ポルトカレロ駐日ペルー大使。写真:Nonthaphat Saetan/ITTO
第59回国際熱帯木材理事会の開会式でスピーチするタイ王室森林局のスラチャイ・アジャラブーン局長。 写真:Nonthaphat Saetan/ITTO
第59回国際熱帯木材理事会の開会式でスピーチをするタイ天然資源環境省のチャヤナン・パクディージット副事務次官。写真:Nonthaphat Saetan/ITTO
第59回国際熱帯木材理事会の開会式でスピーチするアナ・マリア・プリエト・アバド駐タイ・コロンビア大使。写真:Nonthaphat Saetan/ITTO
第59回国際熱帯木材理事会で開会の辞を述べるシャーム・サックルITTO事務局長。写真:Nonthaphat Saetan/ITTO
第59回国際熱帯木材理事会初日に披露された伝統舞踊のパフォーマンス。写真:Nonthaphat Saetan/ITTO
第59回国際熱帯木材理事会初日の受付デスク。写真:Nonthaphat Saetan/ITTO
第59回国際熱帯木材理事会初日のヨーロッパ代表団。写真:Nonthaphat Saetan/ITTO
第59回国際熱帯木材理事会初日のカンボジア代表団。写真:Nonthaphat Saetan/ITTO
第59回国際熱帯木材理事会初日の中国代表団。写真:Nonthaphat Saetan/ITTO
第59回国際熱帯木材理事会初日のニュージーランド代表団。写真:Nonthaphat Saetan/ITTO
第59回国際熱帯木材理事会初日のタイ代表団。写真:Nonthaphat Saetan/ITTO
第59回国際熱帯木材理事会の初日に、理事長(右から2人目)を含む要人らが展示ブースを訪問。写真:Nonthaphat Saetan/ITTO
第59回国際熱帯木材理事会初日のタイ王立森林局の職員。写真:Nonthaphat Saetan/ITTO
第59回国際熱帯木材理事会初日の通訳ブース。写真:Nonthaphat Saetan/ITTO
第59回国際熱帯木材理事会初日における、ホルヘ・マリオ・ロドリゲス氏(コスタリカ)とITTOのマ・ファンオク氏。写真:Nonthaphat Saetan/ITTO
タイ王立森林局とシャーム・サックルITTO事務局長主催のレセプションの様子。写真:Nonthaphat Saetan/ITTO
タイ王立森林局とシャーム・サックルITTO事務局長主催のレセプションの様子。写真:Nonthaphat Saetan/ITTO
タイ王立森林局とシャーム・サックルITTO事務局長主催のレセプションの様子。写真:Nonthaphat Saetan/ITTO
タイ王立森林局とシャーム・サックルITTO事務局長主催のレセプションの様子。写真:Nonthaphat Saetan/ITTO
タイ王立森林局とシャーム・サックルITTO事務局長主催のレセプションの様子。写真:Nonthaphat Saetan/ITTO