「小さな額が富を導く」- ITTOプロジェクトが大きな効果を発揮
2021年12月3日(金):ITTOが資金協力した比較的低予算のプロジェクトが他の援助機関の資金協力を呼び、受益国にさらなる裨益をもたらす道筋を開くこともあります - 今週オンライン開催されている第57回国際熱帯木材理事会(ITTC)の第4日目はこのような事例が聞かれました。
ITTO事務局のシャーム・サックル氏は他機関との協力や連携についてのペーパーを発表しました。このような協力や連携の触媒効果を研究し熱帯地域で得られた4つの事例を紹介しているものです。
ITTOが約43.7万USドルの資金協力を行ったプロジェクトでは、ペルー北部の熱帯乾燥林における持続可能な林業に向けた能力強化が行われました。AIDER(Asociación para la Investigación y Desarrollo Integral:Partnership for Integrated Research and Development)(スペイン語)を実施機関とした本プロジェクトを通じて、現地の専門家は規模を拡大したプロジェクトのプロポーザルを地球環境ファシリティ(Global Environment Facility:GEF)に提出しました。結果、このプロジェクトに対してGEFは760万USドルの資金協力を、ペルー政府が5,350万USドルの共同出資を行いました。
同ITTOプロジェクトは、AIDERとフランスのエネルギー企業の自然を主体とする解決策を担当する部署との戦略的提携も実現させました。本提携を通じて、ペルー北西部の生物圏保護区でREDDプラスを促進し在来種を利用した人工林を植林する長期プロジェクトが策定されました。この新規プロジェクトは2022年の開始を予定しており、ペルー国立森林野生動物局(National Forest and Wildlife Service:SERFOR)や現地の住民組織が関与します。プロジェクト期間およそ20年間、協力額は5,000万USドルの予定です。
ITTOが約15万USドルの資金協力を行ったコートジボワールのプロジェクトは、女性グループMALEBIがアフア保全林(Ahua Forest Reserve)にある劣化した土地を再生し、木炭事業を持続可能なものにする支援を行いました。この成果により、MALEBIグループは世界銀行の森林投資プログラム(Forest Investment Program )によるおよそ40万USドルの資金協力を受け、森林景観再生活動を拡大することとなりました。
パプアニューギニアでは、ITTOが73.9万USドルの資金協力を行ったプロジェクトが、森林ガバナンスの向上に役立てられ、同国の木材合法性基準(timber legality standard:TLS)第一案の策定につながりました。本プロジェクト終了後、オーストラリア政府、欧州連合(EU)、国連食糧農業機関(UN Food and Agriculture Organization:FAO)がTLS策定継続のための追加的な資金援助を行いました。現在、このTLSは発効前の段階にあります。
アマゾン地域では、アマゾン協力条約機構(Amazon Cooperation Treaty Organization :ACTO)が実施するプロジェクトがITTOによる112万USドルの支援を受けて8か国(ボリビア、ブラジル、コロンビア、エクアドル、ガイアナ、ペルー、スリナム及びベネズエラ)を対象として行われました。2013年、ブラジル国立経済社会開発銀行(National Bank for Economic and Social Development:BNDES)がACTOによる5年間のフォローアッププロジェクトに対して1,200万USドルを承認しました。ITTOのプロジェクトとして始まった事業が拡大し、同プロジェクト期間に整備されたインフラがそのまま活用されました。
サックル氏の発表後、日本の本山佳子氏は、リスク抑制の手段として他機関が実施したパイロット事業の規模拡大に注目する国際機関が増えており、このような事例は非常に有益ですと述べました。
パプア・ニューギニアのダンビス・カイプ氏からは、同国ではITTO事務局が挙げた事例の他にも、成果共有を希望するパートナー機関が関心を寄せる事業があります、との発言がありました。
「ITTOのプロジェクトは、他の援助機関の将来の支援を招くフロントランナーであり、重要です。」とカイプ氏は述べました。
ITTO事務局長代行のスティーブン・ジョンソン博士は、ITTOのプロジェクトが触媒効果としても大きな働きをしているという意見に賛同しました。
「小さな額が富を導きます。」ジョンソン博士はこのように述べました。
第4日目のその他の協議事項
ジョンソン博士から、現在パイロットフェーズで実施されているITTOの新規資金構造について発表が行われました。パイロットフェーズにてコンセプトノートの初回募集が2020年12月に開始し、2021年4月に終了しました。12件のコンセプトノートがITTCの要件を満たしITTOウェブサイトにて公表されています。これまでに、1件(ベトナムにおける持続可能な森林製品消費促進)からプロジェクト要請書が作成され、日本政府の資金協力を受けて現在実施中です。また、米国がインドネシア政府と協力して別のコンセプトノートを基に2件目のプロジェクトを立ち上げているところです。
同日午後、議長の自由ドラフティンググループが招集され、特に2022年~2026年期のITTO戦略的行動計画(Strategic Action Plan)の採択に関連する決議案について作業が行われました。
また、ITTCは、事務局長選出に関する議題の検討を進めました。
ITTCは毎年開催され、持続可能な熱帯林経営の促進と持続可能な方法で生産された熱帯木材の貿易の促進を目指して幅広い事項が議論されます。
国際持続可能性開発研究所(International Institute for Sustainable Development:IISD)リポーティングサービスによるITTCの報告(毎日更新、英語)は以下のウェブサイトにて閲覧できます:
https://enb.iisd.org/ITTC57-International-Tropical-Timber-Council