新型コロナウイルス感染症拡大により熱帯木材貿易は大打撃を受けている

2020年11月13日(金)の主な協議内容

2020年11月14日(土):新型コロナウイルス感染症の拡大は熱帯木材貿易に大きな影響を及ぼしました。第56回国際熱帯木材理事会(ITTC)の最終日第5日目にITTO事務局が発表した報告書の予備的結果によると、2019年比で丸太の輸出量は28パーセント、製材品は16パーセント、熱帯合板は8パーセント落ち込んでいます。

ITTOの世界の木材状況に関する隔年評価報告書(Biennial Review and Assessment of the World Timber Situation)には、ITTO加盟国における熱帯林産物の生産・貿易についてのデータや熱帯林の現状、そして同じくITTO加盟国での全木材製品を対象とした生産・貿易統計の概要が掲載されています。2020年版は現在準備中ですが、慣例上、来年半ばの最終報告書の公表に先立ち事務局からITTC参加者に早期結果が発表されました。

ITTO事務局のジャン・クリストフ・クロウドン氏の報告によると、2020年は新型コロナウイルス感染症の拡大により、丸太や製材品といった一次木材製品の減少に加え、ベトナムを除いて全ての主な熱帯二次加工木材製品輸出国で2桁の減少(価格)が見込まれています。ベトナムは二次加工木材製品の熱帯地域最大の輸出国で、ここ10年で輸出量を3倍近く伸ばしています。ベトナムの2020年の輸出額は新型コロナウイルス感染症の影響を受ける中、さらに7パーセント増加する見込みです。中国と米国との間の貿易摩擦、またその結果として中国で営業している加工業者が米国の関税を避け生産にかかる費用を抑えようとして対外投資に転じる傾向がベトナムの木材セクターに有利に働いた形です。

クラウドン氏の発表資料はこちら

市民社会諮問グループが現状報告書最新版を要望

ITTC第5日目に発表した声明の中で、市民社会諮問グループ(Civil Society Advisory Group:CSAG)のチェン・ヒン・ケオンコーディネーターは、持続可能な森林経営(sustainable forest management:SFM)の実施が遂行されていないITTO加盟生産国があることを懸念していると述べました。

ケオン氏は、「ITTCのメンバーは全て数々のワークショップに参加し、SFMが直面する課題や問題が森林経営の技術的な部分に関連するものではないと示す報告書を読んでいます。」と話しました。CSAGは、ITTOが最後に発表した2011年版の熱帯林経営の現状についての報告書の新版を提案しました。

ケオン氏は、「CSAGは、ITTO加盟国、理事会、援助機関による客観的で開かれた透明性のある方法での現状評価の実施に積極的に協力する用意があります。」と述べました。またCSAGはITTOの新規プログラム・アプローチを評価する旨を伝えました。

ITTOの活動に対して400万ドル超がプレッジされる

ITTCメンバーは、ITTOの活動を支える任意拠出金として総額414万ドルが2020年にプレッジされたことを発表しました(複数期に渡る資金も含む)。内訳は次のとおりです:日本約300万ドル、米国48万ドル、オランダ22.7万ドル、中国10万ドル、スウェーデン2万ドル、国連食糧農業機関(FAO)14.8万ドル、創価学会9.3万ドル。プレッジされた資金は、カンボジア、ガーナ、インドネシア、ペルーでの現地プロジェクト、合法かつ持続可能なサプライチェーンに関する活動、ワシントン条約(CITES)木材種プログラムにおけるITTOの担当活動の遂行、合法かつ持続可能なサプライチェーンと市場アクセスに関する教育カリキュラム開発、熱帯地域の森林景観再生に関するITTOの新規ガイドラインの普及、森林教育に関する地球規模プロジェクト、ITTOフェローシップ・プログラムなどに活用されます。任意拠出金を授与した全活動の一覧(英語)はこちらで閲覧できます。

第5日目には5つのITTC決議が採択されました。その内1件は、ITTCが8件のプロジェクトならびに2件の事前プロジェクトを新規に承認するものです。その他の決議は、2020年~2021年二カ年事業計画(Biennial Work Programme)、ITTO戦略的行動計画(Strategic Action Plan)の延長、ITTOの新規資金協力構造実施フェーズ2、事務局長の募集・選出・任期に関するものです。事務局長に関する決議では、今次ITTCの非公開会合での関連課題に関する議論を受け、即時に事務局長職の空席を案内するよう事務局に対して要請がなされています。

ディタレ事務局長による閉会挨拶

第56回ITTCの閉会挨拶にて、ディタレ事務局長は、試験的プログラム・アプローチおよび新規資金協力構造に対するITTCの支援が確認されたことを嬉しく思うと述べました。さらに、新アプローチが全面的に運用可能となるにはさらなる作業と検証が必要であるものの、プログラムラインが現在と将来の課題に向けた対策の優れた土台となると確信していると話しました。

「私の願いはこのプロセスを引き続き主導して行くことでしたが、新しいリーダーとともに前進しようとする理事会の意向を理解します。」とディタレ博士は述べました。

ディタレ博士は在任中の事務局職員のサポートおよび日本国政府と横浜市の厚遇に感謝の意を表しました。

「本当のところ、私の40年間のキャリア、その内30年間は熱帯諸国や国際開発に重点を置きましたが、その中で学んだことをお返しできるよう懸命に努力しました。」ディタレ博士はこのように語りました。

「気候変動、地球規模の生物多様性の危機、新型コロナウイルス感染症の拡大といった問題は私たち全てに関わるものです。ですから、私たちは皆、同じ目標に向かって力を尽くしているのだと心から思っています。」

そして、ディタレ博士は移行が円滑に進むこと、ITTOにとっての「素晴らしい未来(great future)」を祈願し、閉会挨拶を締めくくりました。

次回のITTCは2021年11月2日から7日まで横浜にて開催される予定です。Kheiruddin Rani氏(マレーシア)とJesse Mahoney(オーストラリア)がそれぞれ議長ならびに副議長として選出されました。

ITTCは毎年開催され(同年に複数回開催される場合もあります)、持続可能な熱帯林経営の促進と持続可能な方法で生産された熱帯木材の貿易の促進を目指して幅広い事項が議論されます。

国際持続可能研究所(International Institute for Sustainable Development:IISD)リポーティングサービスによるITTCの報告(毎日更新、英語)は以下のウェブサイトにて閲覧できます:
https://enb.iisd.org/forestry/itto/ittc56/

ビョルン・マルケルITTC議長とゲァハート・ディタレITTO事務局長が第56回国際熱帯木材理事会(ITTC)の決議採択に対して拍手を送る
ITTO事務局職員が第56回ITTCの決議採択に対して拍手を送る
第56回ITTCの第5日目、ITTO事務局のジャン・クリストフ・クロウドン氏がITTOの世界の木材状況に関する隔年評価報告書(Biennial Review and Assessment of the World Timber Situation)についての発表に対する意見を聞いている
第56回ITTCの第5日目、市民社会諮問グループ(Civil Society Advisory Group:CSAG)のチェン・ヒン・ケオンコーディネーターが声明を発表
第56回ITTCの第5日目、インドネシア代表の Teguh Rahardja 氏が発言
第56回ITTCの第5日目、日本国代表の Yoshiko Motoyama 氏が発言
第56回ITTCの第5日目、財務と管理に関する委員会(Committee on Finance and Administration)のKatharina Kuehmayer議長が同委員会の報告書を発表
第56回ITTCの第5日目、消費国代表の Luke Thompson 氏が発言
第56回ITTCの第5日目、生産国代表の Jorge Malleux 氏が発言