グリーン木材サプライチェーンに関する国際ワークショップが中国で開催

2018年6月22日

林産品のグローバルグリーン木材サプライチェーンに関する国際ワークショップにおいて講演するゲアハート・ディタレITTO事務局長。写真提供: R. Carrillo/ITTO

中国の北京で6月21日から22日にかけて、林産品のグローバルグリーン木材サプライチェーンに関する国際ワークショップとダイアログが開催されました。この会議では中国の大手木材企業とともにグリーン木材サプライチェーンの構築と促進を目的としました。

ゲアハート・ディタレITTO事務局長は開会の挨拶で次のように述べました。今回のワークショップは国際的な熱帯木材貿易を法的かつ持続可能な資源から供給することを目指すITTOのマンデートの中核をなすものだと述べました。そして、木材製品を供給する中国メーカーは、生産から加工、国際市場での完成品のマーケティングに至まで熱帯木材サプライチェーンの中心に位置していますと続けました。それゆえに中国は様々な課題に直面しているものの、グリーンサプライチェーンを通じて持続可能な森林経営を推進できるとの期待が持たれます。

主要な木材市場では中国やその他諸外国から輸入される熱帯木材製品が熱帯林の犠牲の上で供給されたものではないということを明確に証明することが求められています。そして市場には合法性と持続可能性を文書で証明することが求められる、とディタレ事務局長は述べました。

ディタレ博士は次の通り、グリーンサプライチェーンの確立に向けた5つの官民投資分野について概説しました。
1.大規模な森林再生と新しい森林プランテーションの設立による熱帯林の復元。
2.持続可能な森林経営と木材生産を改善。
3.収穫済み木材の効率的な使用と廃棄物の削減。
4.加工・流通過程の管理を通じた木材の原産地証明と良好な森林経営。
5.森林の樹木から完成品が最終消費者の手に渡るまで、サプライチェーン全体を通した研修、能力育成および情報交換。

また、グリーンサプライチェーンの成功には、インセンティブを含む健全な枠組みに基づいた健全な民間セクターが必要であると述べ、 公正な税制; 明確なルール;腐敗や違法行為のないこと;土地所有権と権利の明確化;地域住民と小規模住民の参加などを具体例として挙げました。このような理由から、民間部門、政府および国際機関はそれぞれの努力を結集する必要があり、ITTOもまた、全加盟国と協力して取り組んで行く準備ができていると締めくくりました。

開会式で講演した中国政府高官は次の通りです。国際林産物取引センター所長(CINF / NFGA)Wang Dengju氏、国家林業と草地管理(NFGA)の国際協力局長Wu Zhimi氏、商務省国際協力部(MOFCOM)副局長Liang Hong氏、中国税関総局(GAC)統計局データ局副局長Jin Hongman氏。そして皆、経済発展だけでなく持続可能な開発目標を達成するためにグリーンサプライチェーンを確立することの重要性を認識していました。また、グリーンサプライチェーンは互いの認識を確実にするために、生産者、加工業者、消費国の人々に至るまで皆が共有して理解すべき優れたコンセプトであり、公正で公平なルールをこのサプライチェーンに関わるすべてのアクターに適用されるべきだとの見解を示しました。

ワークショップの初日には120名以上の参加者が以下の4つのトピックについて議論を交わしました。1)中央アフリカ、マレーシア、パプアニューギニア、ペルーの講演者によるプレゼンテーションで熱帯木材資源の現状と動向、2)ITTO、欧州木材貿易連盟、コンサルティング会社South Star Australia Groupの講演者によるプレゼンテーションで、世界の木材市場の需要と課題、 3)中国木材流通協会、中国林産品公司、Startforest ArtFlooring Co. Ltdおよび国家林業・草地管理局のプレゼンテーションで、中国におけるグリーンサプライチェーンの構築に関する展望、4)対外経済貿易大学(中国)、サラワク木材協会、中国税関総局のプレゼンテーションによるサプライチェーンの構築を成功させるための概念と経験。

ワークショップ2日目には中国の大手木材企業とのグリーンサプライチェーンメカニズムの確立に関するダイアログも継続して行われました。