「持続可能な森林経営、再造林、森林再生がグリーン経済成長を握る鍵となる」とITTO事務局長

2018年3月27日

中国、広西チワン族自治区の育苗の様子。グリーン経済成長を握る鍵は持続可能な森林経営(SFM)、再造林、そして森林再生であるとITTO事務局長。写真提供:G. Dieterle / ITTO

中国、北京で開催のアジア太平洋地域における森林復旧会議の一環として実施のハイレベルフォーラムにおいて、ゲアハート・ディタレITTO事務局長は次のように述べました。2050年までに毎年、数十億立方メートルに膨れ上がる木材や伐採木材製品に対する需給ギャップを効率的にカバーするために、そしてグリーン経済成長のためにも持続可能な森林経営(SFM)、再造林、森林再生に対する大規模投資が熱帯地方で必要とされています。

「SFM、効率的な木材生産、そして透明性のある公平な木材取引がグリーン経済成長や世界に残存する熱帯林の保全と公共財とサービスを継続的に提供するために鍵となります。さらに、林業への投資は他の分野におけるグリーン経済成長と産業化の機会を与えることになるでしょう」とディタレ事務局長は述べました。

フォーラム参加者に向けて同氏はまた、熱帯木材生産国には国際的な木材市場における地位を維持することとグリーン経済成長の実現に向けて、ガバナンス、合法性、そして持続可能性を維持、拡大する必要があると指摘しました。そして、森林が適切に評価されるようにするためには、熱帯林と森林破壊ゼロのサプライチェーンにおける合法的で持続可能な国内外の木材貿易が重要で、消費者市場がこうしたことを推進する役目を果たすことになると述べました。さらに、森林以外にも目を向けて、他の分野の不都合なインセンティブや「良い」林業プレイヤーの競争力を高める政策環境にも着目する必要性を説きました。

ディタレ博士はまた、熱帯地域における温室効果ガス排出量の69%を占める森林劣化により注意を払い、そしてこの問題に対処するための適切な政策を策定するよう国際社会に呼びかけました。

さらに、適切な政策枠組み、木材追跡、SFMの基準と指標の開発、木材調達政策、木材の需給バランス、ガバナンスと「グリーン」な木材サプライチェーンの能力構築などによって、持続可能な開発目標を達成するという森林のもつ可能性を実現するために、ITTOの持つ専門知識を提供する用意があることも述べました。

また、熱帯林業に対する投資促進の条件が整えば、森林は年間最大8ギガトンの二酸化炭素の隔離ができると示しました。

「熱帯諸国のグリーン開発は、雇用の創出と安定化をもたらし、生物多様性を保全して、さらには気候変動を緩和し、貧困と人の移動を軽減できることから消費国の利益にもつながるのです」とディタレ博士は締めくくりました。