グリーン成長、景観修復、気候変動緩和策を連携させることが重要とディタレ事務局長
2017年12月22日
ドイツのボンで開催されたグローバル景観フォーラムで、ディタレ事務局長は森林景観の修復を促すためにはグリーン経済成長が必要であり、それによって雇用の創出や炭素の貯蔵、持続可能な木材の供給を可能にしつつ、生物多様性の保全に役立つと述べました。持続的に生産される木材は、化石製品の代替品として利用できるために、炭素貯蔵に加えて気候変動緩和がもたらす恩恵を享受できます。そして「このような代替品、つまり持続可能な木材などがもたらすメリットは、ゆくゆくは他の様々な森林関連で取られる対策をすべて合わせたそれよりも大きいものとなるでしょう」と述べました。
新しい研究では、人口増加につれて木材や林産物の需要が世界的に増加しているとディタレ博士は指摘しています。多くの場合、需要は供給を超えるので二つのシナリオが考えられます。一つはさらなる森林減少と森林景観の劣化が進むこと。もう一つはよりポジティブに捉えて、グリーン経済成長を促進し、気候変動を緩和する生産林が増加するというものです。
「我々は森林製品を考えるときに食料と同じように考えるべきです。つまり、生産して使う以外に方法はないのですから」とディタレ博士。森林製品に対する急激に高まる需要が持続的に満たされなければ、森林破壊や景観の劣化が生じる、あるいは再生不可能な森林にとって代わる代替品が出てくることになります。そしてこれらの両方が「現在の気候変動への取り組みと持続可能な開発促進を強く阻害する可能性が出てくるでしょう」と述べました。
またディタレ博士は、森林景観は人口増加の基本的なニーズを満たすために不可欠であり、地方、国家および世界的に重要な財やサービスの提供にとっても非常に重要であると述べました。 したがって、森林景観は、開発、グリーン成長、気候変動の緩和と適応に不可欠であり、その修復と生産的な利用を行えばこれら3つの取り組みは成功するでしょう。
ディタレ博士によると、森林を保護することで森林製品の需要を削減することは答えではないといいます。景観再生の努力を行うには経済的に実行可能な生産林をグリーン経済に貢献できるようにすることに注力すべきだとの考えで、同博士は取るべきアプローチとして次の5つのステップを提案しました。
- 国家および世界の公共財のために必須の生物多様性の高い森林を保護する。
- 生産性の向上と経済的に有効なベネフィットのために劣化した多目的林の景観を修復する。
- 大量生産(木材、パルプ、エネルギーなど)向けに生産性の高い森林に投資する。
- 既存の森林を持続的かつ効率的に管理し、使用する。
- 緑化、森林破壊のないサプライチェーン、国内外の市場での取引を推進する。
そしてディタレ博士は、ITTOでは熱帯生産林と森林景観の修復をサポートする役割を担う準備ができていると語りました。