グアテマラの木材追跡に関する新調査

2017年3月8日

グアテマラ国立森林研究所(INAB)が行った木材追跡に関する調査は、グアテマラの最も重要な木材生産地3地域における木材流通の理解をさらに深めることに貢献しました。グアテマラ県、チマルテナンゴ県、サン・アグスティン・アカサグアストラン自治体を合わせると、この3地域だけでグアテマラの木材の材積の45パーセントを占めています。その中には、製材、木材チップ、合板、パーティクルボードなどの加工品も含まれます。この木材追跡調査は、ITTOのプロジェクトTFL-PPD 040/13 Rev.2 (M)の成果であり、原材料の供給源と加工品の到達地を明らかにしています。
 
本調査、 グアテマラにおける森林製品の市場及びトレーサビリティの調査(Estudio de mercado y trazabilidad de productos forestales in Guatemala) の目的は、グアテマラの国内木材市場の特徴に関する情報を集め、広めることです。その情報には、木材と木材製品の流通、木材の樹種と材積、木材の輸送ルート、木材供給チェーンに関わる当事者、木材追跡、法施行などが含まれているため、市場の透明性を増すことができます。
 
本調査は、ITTOの別のプロジェクト(TMT PD 004/11 Rev.2 (M))の成果である、林業関連会社の電子情報システム(Sistema Electrónico de Información de Empresas Forestales –SEINEF)の情報に基づいて行われました。SEINEFは2014年初めに稼働したシステムで、合法的に設立された上、INABに登録されている会社を通して、森林製品の流通を登録,モニター,管理することを目的に作られたものです。
 
グアテマラにおける森林製品の市場及びトレーサビリティの調査(Estudio de mercado y trazabilidad de productos forestales in Guatemala) の主な調査結果は以下の通りです。
  • グアテマラ県は県内で原材料の供給を賄えており、第一次木材加工品、特に製材、の輸出の主要な拠点である。
  • チマルテナンゴ県の木材製品は、通常、加工は最小限にとどめられており、国内で販売されている。
  • サン・アグスティン・アカサグアストラン自治体は、加工木材製品の最大のシェアーを占めているだけでなく、未登録の会社が最も少ないので、さらに製品の加工を促す上でも、木材追跡を通して今後モニターを行う上でも重要な地域となる。
  • 今回調査した3地域で登録されている主な木材の樹種は、Pinus species, Cupressus lusitanica, Tectona grandis, Hevea brasilensis, Swietenia macrophylla, Gmelina arborea and Chamaecyparis lawsoniana だった。
 
ITTOのプロジェクト森林の生産チェーンに関わっているコミュニティの脆弱性分析(Análisis de vulnerabilidad de comunidades vinculadas a las cadenas productivas forestales)の下で行われた相補的な調査では、森林製品チェーンが村落へ与えるポジティブな影響とネガティブな影響を分析しています。この調査結果によると、森林の小規模所有者(年間の丸太の伐採量が62 m3以下)が法的手続きを行う際の費用が高額で、経済的な魅力がないので、手続きにかかる費用を減らし、合法性を奨励するためには、状況に応じた報奨金や森林生産を縦割りに統合する何らかの手段が必要です。この調査では、森林のガバナンスを強化するためには、森林小規模所有者と木材加工業者間の仲介者をモニターする必要があることが推奨されました。
 
以上2つの調査の結果は、グアテマラの関係当局がグアテマラの森林ガバナンスを向上させる際に役立つことが期待されます。
 
本プロジェクトの成果は、ITTOプロジェクト検索機能にプロジェクトコード(TFL-PPD040/13 Rev.2 (M)) を入れるとご覧いただけます。