新条約発効が理事会での重要議題に

理事会で演説するダニエル・ビルヒマイヤー議長. 写真: K. Sato

新たな管理条約の発効についての検討が主要議題となる第46回国際熱帯木材理事会が12月13日より横浜で始まりました。
 
国際熱帯木材機関(ITTO)の管理機関である理事会は、少なくとも年1回開催され、持続可能な森林経営と熱帯木材取引を促進するための広範な議題について協議を行います。
 
理事会の期間中、生物多様性の保全や熱帯林についてのITTOのさらなる活動強化、熱帯林に関する気候変動問題交渉の進展などを重要議題として取り上げます。ITTO事務局長のエマニュエル・ゼ・メカ氏は、生物多様性条約事務局と他機関との共同事業について強調し、国際生物多様性年である本年のITTOが行ってきた活動について理事会で報告しました。
 
ITTO事務局長はまた、理事会メンバーに対し、2006年の国際熱帯木材協定(ITTA)を批准し、ITTOがさらに組織を強化し、管理・戦略的諸活動ができるよう適切な資金協力への支援を呼びかけました。議長のダニエル・ビルヒマイヤー氏もこの新しいITTA批准の重要性を強調し、熱帯林が直面する新たな諸課題と取り組む2011年は、国際森林年とITTO設立25周年に当たることからも、新協定が2011年に発効するために各国の批准を願っていると述べました。
 
開会挨拶では、林野庁長官の皆川芳嗣氏が生物多様性保全など環境サービスを含む熱帯林の重要性を説き、未加盟国に2006年のITTA協定への加盟プロセスを進めることを求めました。横浜市の林文子市長は横浜市とITTOとの過去25年に及ぶ強固な協力関係について述べ、今後も同市がITTOを支援していくことを固く約束しました。
 
エルヴィス・ノレノレ氏(カメルーン、森林・野生生物担当相)、ヘンリ・ジョンボ氏(コンゴ共和国、持続可能な開発・森林経済と環境担当相)、マーティン・マバラ氏(ガボン、水・森林・環境・持続的発展担当相)も開会挨拶で、ITTOの事業と活動が確実な資金源を確保できるよう理事会に訴えました。ノレノレ大臣は、カメルーンに対する支援、とりわけ森林法の施行改善に対する援助を歓迎しました。ジョンボ大臣はコンゴ共和国が提出した理事会仮決定事項である、主要な熱帯森林流域での首脳会議を開催することについて言及し、積極的に考慮するよう求めました。ガボンのマバラ大臣はITTOの支援も含めて同国における持続可能な森林管理を促進させるイニシアティブについて強調しました。経済発展における森林セクターの重要な役割は、森林による炭素吸収と生物多様性に関連する国の政策を強化することにあります。
 
第46回理事会においては、他にもいくつかの重要議題が扱われます。第44回理事会でパイロット形式として承認された5つのITTOテーマ別プログラムの実施状況がレビューされます。理事会では、熱帯森林経営と絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES)に記載された熱帯樹種の経営改善に向けた共同活動に関する中間報告も行われます。また、理事会は世界の木材状況についての年次評価に着手するとともに、取引諮問グループが主導する「木材関連産業における革新と技術」をテーマとした年1回のマーケットディスカッションを行います。理事会開催期間中、いくつかのサイドイベントも予定されており、ブラジルとペルーにおける世界市場で法律遵守要件を満たす森林備蓄と利権に関する会合やコンゴ流域の森林認証と森林経営に基づくコミュニティでのジェンダーに関する会合などが行われます。(後者は理事会の市民団体アドバイザリーグループにより開催されます)

  
Earth Negotiations Bulletin (ENB)に基づく第46回国際熱帯木材理事会速報(英語のみ)