第5回世界チーク会議:ITTO、チーク産業の発展に向け協力と小規模所有者支援を呼びかけ
2025年9月18日, コチ

2025年9月17日、インド・ケララ州で開催された第5回世界チーク会議の開会式において挨拶するシャーム・サックルITTO事務局長。© Kerala Forest Research Institute
国際熱帯木材機関(ITTO)は、ステークホルダーが集まる第5回世界チーク会議(5th World Teak Conference)において、持続可能なチークセクターの発展に向け、知識の一層の交流と強固なパートナーシップの構築を呼びかけ、主要生産国であるインドの事例を紹介しました。
同会議は2025年9月17日から20日まで、インド・ケララ州の都市コチで開催されています。ITTOが共催する同イベントは、ケララ森林研究所(Kerala Forest Research Institute)が主催し、インドの国際チーク情報ネットワーク(International Teak Information Network (TEAKNET) India)がコーディネートを担当するものです。
「世界のチークセクターの持続可能な発展―未来の市場と環境への適応」をテーマに掲げ、会議では市場動向、合法的なサプライチェーン、チーク遺伝学、経営モデル、森林景観の回復などに関するセッションが行われています。
会議にはチーク生産者、取引業者、研究者、政策立案者、開発パートナーなどの熱帯域内外41か国からの代表者らが参加しています。
ITTOは、世界の最も価値ある木材種の一つであるチークの持続可能な生産を推進するために、遺伝的改良や造林から加工や市場の透明性に至るまでの幅広いプロジェクトを長年支援してきたという実績があります。
開会式での挨拶において、サックル事務局長は、世界最古のチークの人工林が存在するケララ州ニランブールに近い場所での会議開催、および、世界最大のチーク消費国・輸入国であるインドでの開催の象徴的意義を指摘しました。
チークはインドの文化遺産、建築、工芸に深く根付いていると同時に、イノベーションと起業精神の象徴でもあります。
「チークは単なる樹木ではありません。それは人々、繁栄、そして環境をつなぐ架け橋です。」「この卓越した樹種が今後も生態学的、経済的、社会文化的な恩恵をすべての人々にもたらし続けるよう、共に取り組んでいきましょう。」とサックル事務局長は述べました。
さらに、チークは数百万人の生計改善の機会を提供し、炭素貯留と気候変動へのレジリエンスに寄与し、生物多様性を豊かにし、持続可能な開発目標(SDGs)および地球規模の気候目標の達成に直接貢献していると述べました。
同時に、チークセクターは気候変動、高品質の植栽素材の必要性、持続不可能な慣行、農業従事者の認識、市場や資金へのアクセスにおける障壁といった数多くの課題に直面しています。
「ITTOは、これらの課題は科学、責任ある取引、協力を通じて機会へと転換できると確信しています。」とサックル事務局長は述べ、ITTOがドイツ政府の支援を得て5か国で長期的に実施している小規模チーク生産者の能力強化プログラムを例に挙げました。
さらにサックル事務局長は、次のように呼びかけました。「今後数日間、私たち一人ひとりが、アイディアを交換し、パートナーシップを構築し、小規模所有者への支援を強化し、合法で透明性のある取引を確実にし、気候変動の中でチークセクターが直面する課題に備える方法を探ろうと努力しましょう。歴史、専門知識、そしてリーダーシップを有するインドは、この分野を持続可能かつ繁栄した未来へと導く上で、他にない立場にあるのです。」