理事会で熱帯林管理状況報告を発表

2006年6月2日, メリダ (メキシコ)

写真: ITTO

今週開催されている第40回国際熱帯木材理事会(ITTC) の報告発表によると、ITTOは自らが目指す持続可能な森林経営に向けての進展が続いていることが分かった。

同理事会は国際熱帯木材機関(ITTO)の運営団体であり、持続可能な森林経営を促進する様々な議題を審議するほか、持続的に生産された熱帯材の取引について定期的な会合を行っている。

ITTOが発行する2005年熱帯林管理状況によると、世界では今、最低でも2520万ヘクタールの永久生産林及び1120万ヘクタールの永久保安林が持続可能な管理下にあると発表した。これは1988年にITTOが初めて行なった調査で得られたゼロという数値に比べると大きな進歩と言える。しかし、このような進歩が見られるものの熱帯地方に存在する全永久森林財産のうち持続可能な管理を受けている割合はわずか5%弱程度であることが理事会で分かった。

また、理事会ではDr. Duncan Poore, Dr. Jurgen Blaser, Dr B.C.Y. Freezailah及びDr. Steven Johnsonなど、熱帯林の専門家によって構成されたパネルと出席者による調査結果や熱帯国・国際社会への影響に関する質疑応答の時間が設けられた。ITTOに加盟している33の生産国に関する詳しいプロフィールを含む報告書全文をご希望の方はwww.itto.or.jpをご覧ください。

理事会は持続可能な熱帯林管理に貢献・促進するべく、期中にいくつかの新たなプロジェクトに対する融資を行なった。一つのプロジェクトはメキシコのユカタン半島やベラクルス州の植林地の害虫問題に取り組み、また別のプロジェクトはベラクルス州の中央海岸平野に立つマングローブやflood forestの管理に取り組んでいる。ガイアナのIwokrama Forestは持続的な森林経営を促進するプロジェクトの融資を受け、フィリピンは森林情報システム導入の援助を受けることになっている。また、インドネシアのプロジェクトでは利権森林経営のモニタリングを援助しており、中央アフリカの森林エコシステムの持続的な森林経営に関っているアフリカ地域議会会議も融資を受ける予定である。

本会議で配分された資金の総額はUS$390万である。大口献金者は日本及び米国政府であり、 その他にも一次産品共通基金、Iwokrama友の会、及びノルウェー、フィンランド、フランス、オーストラリアそして韓国政府からの寄付もあった。本会議で融資を受けたプロジェクトの概要は数週間以内にwww.itto.or.jpに掲載されます。

ITTOの年に一度の市場に関するディスカッションは消費者国における熱帯材の調達政策に関する会議中に行なわれた。ディスカッションでは、英国に拠点を置く熱帯林取引アナリストであるRupert Oliverがヨーロッパの公的調達政策が木材の合法性及び持続可能性に関する証拠提示に関する条項を新たに設ける方向に急ピッチで進みつつあることを述べるほか、異なる関係当局や国による政策の不調和によって市場の効率性が大きな打撃を受ける可能性があるという懸念を示した。また、討議ではデンマーク、フランス、及び米国の公共及び商業調達規定に関するプレゼンテーションも行なわれた。

会議中にはいくつかのサイドイベントも開催された。そのうちの一つでは理事会の市民社会諮問グループが編成したメキシコ、グアテマラ、ニカラグア及びパナマのコミュニティリーダーによるパネルが設けられ、各リーダーはそれぞれの地域の森林事業に立ちはだかる課題について語った。またAssociation of Forest Communities of the Peten(グアテマラ)からのMarcedonio Cortaveは認証による国際木材市場へのアクセスは同氏のコミュニティーにとって大きな利点をもたらしたことを報告した。その他にも事業の資金不足について発言し、その問題へ取り組むよう国際社会に呼びかける者もいた。

また、非政府組織Forest TrendsはITTOに融資を受けた調査に関する結果を発表した。この調査では地域の森林事業につながる保有権や森林に関する政策を立てている国が比較的少ないことが分かった。

別のサイドイベントでは世界貿易機関(WTO)のDoha Roundの貿易に関する交渉やそれらが林産品貿易にもたらす影響に関する説明が行なわれた。カナダ政府のSandra Ribeyはいくつかの政府が提案した非農産市場アクセスでの部門別イニシアチブや木製品の交渉に関する情報を公開し、米国に拠点を置くコンサルタントAl Goetzlは木製品の関税引き下げの影響を予測した調査の結果を発表した。

三つ目のサイドイベントではヨーロッパの民間セクターが変化する木製品に対する消費者デマンドに関する回答を集約した。本プレゼンテーションでは民間セクターが以前に増して率先的に認証などの機能を通じて変化する消費者デマンドに対応しているという説明が特徴的だった。

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