西アフリカにおける小規模森林景観回復と地方開発がワークショップで議論される

2019年11月27日, ロメ(トーゴ)

2019年11月27日にトーゴのロメで開催された「西アフリカにおける小規模森林景観回復に関する地域ワークショップ」の参加者。写真撮影:Mélanie Feurer

わずかな投資を行い技術的な支援を得るための資金が小規模森林所有者にあれば、植林や植林地は「木の銀行」として安定的に利子をもたらし独自の「年金基金」となり得ます。
 
これは2019年11月27日にトーゴの首都ロメの Hotel Ecole de Béninにて開催された「西アフリカにおける小規模森林景観回復に関する地域ワークショップ」で上った議題の1つです。本ワークショップはITTOがトーゴ森林開発・利用室(Office of Forest Development and Exploitation:ODEF)およびトーゴ環境・持続可能な開発・自然保護省(Ministry of Environment, Sustainable Development and Nature Protection)の協力を受けて主催し、ドイツ連邦食糧・農業省(BMEL)が資金協力するITTOの合法かつ持続可能なサプライチェーン(Legal and Sustainable Supply Chains:LSSC)プログラム下で行われたものです。
 
アフリカ地域のITTO加盟国であるベニン、カメルーン、中央アフリカ共和国、コートジボワール、コンゴ民主共和国、コンゴ共和国、ガボン、ガーナ、リベリア、マリ、マダガスカル、モザンビーク、トーゴの政府、民間セクター、市民社会からおよそ50名が本ワークショップに出席しました。二国間・多国間パートナーの代表者も参加しました。
 
トーゴ森林開発・利用室(Office of Forest Development and Exploitation:ODEF)事務局長のピョアバロ・アラバ氏が開会挨拶を行い、森林景観再生(forest landscape restoration:FLR)は、気候変動対策、生物多様性保全および陸上の生命の持続可能性を確保するために不可欠であると述べました。さらに、トーゴ政府はボン・チャレンジのイニシアティブ下でFLRに積極的な取組を実施していると発言し、本ワークショップへのITTOの支援に感謝しました。
 
次週に第55回を迎える国際熱帯木材理事会(International Tropical Timber Council)議長のジョン・リー氏は次のように話しました。FLRに関して、国際社会はボン・チャレンジ枠組で2020年までに1億5,000万ヘクタール、森林に関するニューヨーク宣言(New York Declaration on Forests)では2030年までに3億5,000万ヘクタールを再生するという野心的な目標を掲げています。さらに、国連総会では2021年~2030年を「生態系回復の10年(2021–2030 the UN Decade on Ecosystem Restoration)」と宣言しました。
 
ITTOが2002年に発行した森林再生に関するガイドラインの実施から得られた教訓に基づき、ユルゲン・ブレイザー教授とセサル・サボガル博士が作成した新たなFLRガイドライン(案)が翌週の理事会で発表されます。
 
一度損なわれた景観を必要な規模で修復するには相当な努力が必要でしょう、とリー氏は述べました。
 
「1つにとどまらないFLRの価値は今まで以上に認識されなければならず、良好なプランテーションの設置・経営や持続可能なバリューチェーンの構築が必要であり、地域住民や事業者が権限や手段を持ち、市場機会が拡大しなければならず、投資も増えなければなりません。」
 
スイスにあるベルン応用科学大学のブレイザー教授は西アフリカでは土地利用が非常に動的で、ここ数年間に陸地の90パーセント以上の所有形態や利用形態が変わっていると述べました
 
「西アフリカでは小規模森林所有者が持続可能なFLR開発の推進力として大きな役割を果たすことができます。」
 
トーゴ環境・持続可能な開発・自然保護省(Ministry of Environment, Sustainable Development and Nature Protection)コフィ・アウフォ・ディミゾウ事務総長は同省を代表し次にように開会の辞を述べました。トーゴのFLR戦略では、森林から市場までのサプライチェーンおよびバリューチェーン全体を網羅しつつ、民間企業とコミュニティによる主導を基本とした小規模生産者間の連携体制が奨励されています。ディミゾウ事務総長は、西アフリカ諸国は、各国独自の努力の他に二国間・多国間協力による支援を必要としている点を強調しました。本ワークショップは西アフリカ地域の森林景観の活性化と健全性を目指して利害関係者がベスト・プラクティスを相互共有する場となるとし、ITTOがこの機会を設けたことを歓迎しました。
 
本ワークショップのバックグラウンドペーパーはこちらから閲覧できます(英語および フランス語)。