国際市場の低迷が続く中、改善を模索する木材企業
2024年8月20日

メキシコの製材工場で積み上げられた製材。写真:メキシコ国家森林委員会(CONAFOR)
2024年8月20日:国際木材市場の全体的な動向は、7月、依然として比較的低迷していると言えます。不況が続く中で、多くの国の企業が、生き残り、成長する方法を模索していると、本日発表された世界木材指標(GTI)レポートの最新版は述べています。
ITTOが支援するGTIは、世界9カ国のパイロット国における木材セクターを追跡調査しています。7月にガーナがパイロット国に加わったことをはじめ、近々更に参加国が増える予定です。
GTI値は、2024年7月に、すべての参加国で基準値である50%を下回っており、木材セクターの全体的な低迷を示しています。最も成績の良かった3カ国(低迷中ではあるが)は、タイ(48.4%)、コンゴ(48.1%)、ガーナ(46.8%)で、インドネシアおよびガボン(ともに46.4%)、中国(43.5%)、ブラジル(39.2%)、メキシコ(37.0%)、マレーシア(25.7%)が続きます。
全体的なパフォーマンスの低下にもかかわらず、木材生産と貿易はいくつかの国で明るい兆しを見せました。インドネシアとガボンでは伐採量が前月より増加し、タイの木材セクターでは既存の注文が増え続け、コンゴの生産と新規受注は堅調に推移し、マレーシアとメキシコでは輸出注文の減少傾向が緩和されました。
木材生産に特化した指数であるGTI-プロデューサーズ(GTI-Producers)指数は41.2%、木質パネルに特化した指数であるGTI-木質パネル指数(GTI-Wood-based Panel: GTI-WBP)は42.0%となり、これらのサブセクターは引き続き低下していることも報告されています。
GTI参加企業は、生産と操業のプレッシャーに直面する中で、自国の課題に取り組むための様々な提案を行いました。例えば、マレーシアの企業は港湾の混雑を緩和するための政府支援に期待を表明し、メキシコの企業は政府が輸入製品に関税を課し、国内製品への影響を軽減することを提案し、ガーナの企業は政府が原材料の供給を確保するための政策を導入することを望み、ガボンの企業は鉄道運営会社であるSETRAGが、資格を持つ特定の林業会社に、より多くの車両を提供することを提案し、中国の企業は輸出の割合を増やし国内市場から東南アジア市場へシフトすることについて模索しました。インドネシアでは、企業は持続可能な森林経営や、認証や合法性が確認された木材製品に対するインセンティブを求めています。さらに、天然林からの丸太の価格が低く、これらの丸太のすべてが国内の木材加工産業に吸収されていないことから、企業は市場拡大のための努力を強化したいと考えていました。
GTIレポートで報告された他の7月のニュースとして、第27回FAO林業委員会がローマのFAO本部で開催されたこと、また特にFAOがその機会に「世界森林白書2024―より持続可能な未来に向けた森林セクターのイノベーション(The State of the World’s Forests 2024 – Forest-sector innovations towards a more sustainable future)」を発表したことが挙げられます。同報告書によると、世界の木材生産量は年間約40億立法メートル(m3)と記録的な水準にあるとのことです。
国際森林研究機関連合(IUFRO)の第26回世界大会は、「2050年に向けた森林と社会」をテーマにスウェーデンのストックホルムで開催されました。同大会で発表された声明は、森林のレジリエンスと気候変動への適応力を強化し、持続可能な社会のために森林の社会的価値を維持・向上させるという観点を持って、世界の科学コミュニティが保有する知識を最大限に活用するよう、林業実務者に促すものでした。
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