ITTOとUNCCD、砂漠化および干ばつと闘う世界デーに、土地の回復のために団結
2024年6月17日

ペルー南部の修復された景観。写真:Nils Perez
2024年6月17日:ITTOは、砂漠化および干ばつと闘う世界デーのこの日に、国連砂漠化対処条約(UNCCD)、および、生態系の健全性と地域住民、コミュニティ、国家のウェルビーイングを確保する手段として荒廃した景観の再生と熱帯林の持続可能な経営に取り組むすべての政府、ステークホルダーと連携していくことを表明します。
砂漠化および干ばつと闘う世界デーは、砂漠化と干ばつが世界にもたらす重大な課題に対する認識を高めるために、毎年実施されています。「United for Land. Our Legacy. Our Future(土地のために団結しよう。私たちの遺産。私たちの未来。)」という今年のテーマは、将来の世代のために土地の健全性を回復し、維持するための協力的な取り組みが喫緊に必要であることを強調しています。
この目標に向けた一歩として、ITTOとUNCCDは2024年2月に覚書に調印しました。その目的は、ITTO加盟国やUNCCD締約国による熱帯林の景観再生・維持の取り組みを支援する上で、両組織間の相乗効果を高めることです。
また、ITTOとUNCCDの協力体制において、木材やその他の林産物の持続可能な生産を促進するとともに、干ばつ、洪水、山火事などの災害に直面する森林と森林に依存するコミュニティのレジリエンスを高めるために不可欠な生態系サービスを促進することも狙いとしています。
ITTOとUNCCDのパートナーシップの重要性について、シャーム・サックルITTO事務局長は、「UNCCD との新たな提携は、熱帯林を再生させるという私たちのミッションにおいて極めて重要なものです。私たちの専門知識とリソースを組み合わせることで、環境と、これらの重要な生態系に依存するコミュニティの生計の両方に、継続的なインパクトを与えることができます。」と述べました。
ITTOはパートナーらと、2020年に熱帯地域における森林景観再生のためのガイドライン(英語)を発表しました。熱帯地域における18のケーススタディを含むこのガイドラインは、効果的な森林景観再生(FLR)と生計改善を通じて、土地の砂漠化と劣化と闘う実践的なアプローチを提供しています。
ITTOが各現場で実施するプロジェクトからは、熱帯地域における森林再生へのITTOの積極的なコミットメントと、FLRガイドラインが広く適用されている様子を見ることができます。例えば、ペルー南部では、ITTOが資金を提供する2つの重要なプロジェクト ―最近完最近完了したものと現在実施中のもの(いずれも英語)― が、劣化した沿岸地域の復旧・復興を支援しています。この取り組みは、高価な木材種の再生を支援するだけでなく、持続可能な生計を提供し、気候変動の緩和と適応にも貢献しています。
パプアニューギニア(英語)では、ITTOプロジェクトは、森林資源に関する意思決定能力を強化することで、慣習的土地所有者をエンパワーしています。この取り組みは、コミュニティベースの土地利用計画と森林資源評価のモデルシステムを確立しており、引いては、4つのパイロット地域で生態系サービスへの支払いにつながる可能性があります。
コートジボワール(英語)では2018年に、同国西部のドゥエクェ(Duékoué)とシオ(Scio)の保護林周辺の劣化した森林の再生に重点が置かれたプロジェクトが完了しました。同プロジェクトは、地元のコミュニティや避難民、難民を巻き込み、在来種や外来種の高品質な種子や苗木で自然林を豊かにしています。また、持続可能なタウンヤ(taungya)方式のアグロフォレストリーシステムの導入により、代替生計手段も提供しました。
これらのプロジェクトは、FLRガイドラインとともに、熱帯地域全体で拡大・再現できる可能性を秘めています。このような成功モデルを拡大するためには、さらなる資金と投資が不可欠と言えるでしょう。
世界が砂漠化と干ばつと闘う世界デーを迎えるにあたり、ITTOは土地、私たちの遺産、私たちの未来のために団結しようというグローバルな呼びかけに賛同します。土地の回復は経済的、社会的、環境的な理由から不可欠です。政策とフィールドワークを効果的なものにして、持続可能な成功を確実にするためには、これらの要素を取り入れなければなりません。
「熱帯林の再生は単なる自然の保護に留まるものではありません。森林に依存するコミュニティや地球全体の持続可能な未来を確保するということです。」とサックル事務局長は述べました。「ITTOは、砂漠化と干ばつとの闘いにおいて、世界的なパートナーやステークホルダーと団結し、このビジョンを推進することを約束します。」