ITTOと国連砂漠化対処条約が熱帯林に関する協力を強化

2024年2月20日

シャーム・サックルITTO事務局長とイブラヒム・ティヤゥUNCCD事務局長。写真:C. Christophersen/UNU

2024年2月20日、東京:ITTOと国連砂漠化対処条約(UN Convention to Combat Desertification: UNCCD)事務局は本日、シャーム・サックルITTO事務局長とイブラヒム・ティヤゥUNCCD事務局長が署名した覚書(MOU)に基づき、熱帯地域の森林景観の持続可能な経営に関する共同事業をさらに4年間実施することとなりました。

本覚書は、両事務局間の協力を2028年末まで延長するもの。このような合意は、2011年の調印に次いで、2度目となりました。

新しい覚書の包括的な目的は、ITTO加盟国とUNCCD締約国による熱帯林の景観の回復・維持、そして、木材やその他の製品、生態系サービスの持続可能な生産の促進を支援することです。

サックル事務局長は、本覚書は、 森林に関する協調パートナーシップ(Collaborative Partnership on Forests:CPF)のメンバーである両事務局間の協力を強化し、相乗効果を高めるための重要な手段であると述べました。

「ITTOとUNCCD事務局の取り組みには、強い補完性があります。私たちはともに、環境価値を維持・強化しながら経済的進歩を可能にするというミッションを持っており、私たちの専門知識やリソースを組み合わせれば相乗効果が発揮され、成果が向上し、ITTO加盟国やUNCCD締約国に恩恵をもたらすでしょう。」とサックル事務局長は語りました。

「脆弱な人々や生態系のレジリエンスを向上させるためのITTOとの協力は、砂漠化、土地劣化、干ばつに取り組むUNCCD締約国を支援する上で重要です。」とティヤゥUNCCD事務局長は述べました。「これらの問題は、2024年12月2日から13日までサウジアラビアで開催される次回のUNCCD締約国会議(COP16)の最重要課題となるでしょう。私たちは、リヤドまでの道のり、そしてその先も共に取り組んでいくことを期待しています。」

ITTOとUNCCD事務局が本覚書のもとで協力し、取り組む活動は以下のとおり。:

  • 熱帯林の回復と持続可能な経営のため、また干ばつ、洪水、山火事に対する森林と関連コミュニティのレジリエンスを高めるために、適切な共同事業を特定、開発、実施する。
  • 熱帯地域における持続可能な森林経営、土地・水資源の持続可能な管理、生態系の回復・再生、総合的な土地利用計画の実施を推進し、土地の劣化の中立性(Land Degradation Neutrality: LDN)の達成を支援するため、ITTO生産加盟国における能力開発を促進し、各国間の情報交換を促進する。
  • 熱帯における森林景観回復のためのITTOガイドライン(英語)、その他の関連するITTOの決議、国際的に認められたガイドライン、UNCCD締約国会議の関連する決議を実施するため、各国の能力構築を支援する。
  • 持続可能な開発のための2030アジェンダおよびSDGsに貢献しながら、世界森林目標および国連森林戦略計画2017-2030を含む世界森林目標を実施する能力を強化するため、国際機関およびパートナーとのさらなる協力を強化する。
 

協力の可能性がある分野は以下の通り:

  • 持続可能な生活、生物多様性、土壌と水の保全、気候変動の緩和と適応を支えるため、熱帯地域における適切な文化的・環境的・社会的な保護措置に支えられた革新的な森林景観の回復を促進する。
  • 生物多様性と人々のウェルビーイングが調和しつつ維持・強化されるような、総合的かつ包括的な土地利用計画と熱帯の森林景観における天然資源の持続可能な経営を支援するため、他のイニシアティブとの協力活動を模索する。
  • 熱帯地域における森林減少と森林劣化を削減するための適切な経済的インセンティブの開発に関する指針を提供する。
  • 熱帯林地の持続可能な経営を支援するため、責任ある包括的な森林ガバナンスを推進する。
  • 熱帯林の劣化、森林減少、生物多様性の損失、炭素排出について評価し、モニタリングする。
  • 変革的なプロジェクトを共同で開発し、各国が実施に必要な資源を動員できるよう支援する。
  • 地域協力と北南協力、南南協力、三角協力を支援する。
  • 青少年、市民社会組織、メディア、民間セクターに対する啓発活動をはじめとした、熱帯林における持続可能な森林経営と土地利用に関する情報の普及と経験の共有のための共同取り組みを開発する。
     

ITTOの詳細については、https://www.itto.int/ja/をご参照ください。
UNCCDの詳細については、www.unccd.int(英語)をご参照ください。

関連するSDGs

本覚書の下での活動は、熱帯林における適切な文化的、環境的、社会的な保護措置に支えられた熱帯林の革新的な森林景観の回復と持続可能な生計を促進します。

本覚書は、熱帯地域における森林減少と森林劣化を削減するための適切な経済的インセンティブの開発に関するガイダンスを提供します。

本覚書は、熱帯における森林景観の回復活動を促進することにより、森林の炭素蓄積量を増加させ、気候変動の緩和と適応に貢献します。

共同事業によって、熱帯の森林景観における総合的かつ包括的な土地利用計画と天然資源の持続可能な管理を支援し、生物多様性と人間のウェルビーイングが調和しつつ維持・向上されるようになります。

本覚書は、両組織間の相乗効果をさらに高め、天然資源の持続可能な利用に向けた集団的な取り組みを促進する。