持続可能な熱帯木材は社会の脱炭素化に貢献する―ITTO事務局長、政策対話で語る
2024年3月29日
2024年3月29日:シャーム・サックルITTO事務局長は、国連食糧農業機関(FAO)と国際森林研究機関連合(IUFRO)が共催した国際イベントに参加し、社会全体でカーボンニュートラルを達成するための重要な手段である熱帯地域における持続可能な木材サプライチェーンをさらに発展させるために、様々な機会を通じて、各国と協力し続けると述べました。
サックル事務局長は、国際森林デーに合わせて2024年3月25日(月)にFAO本部で開催された国際的な政策対話「グローバル・ポリシー・ダイアログ:カーボンニュートラルで強靭な経済のための持続可能な木材政策と科学の推進」に、横浜のITTO本部からオンラインで参加し、講演を行いました。
「持続可能な森林経営を実施するためのセーフガードがしっかりと整備され、持続可能な供給源と合法性や責任ある生産が確保されていれば、熱帯木材は、環境にやさしくカーボンニュートラルな素材です。」「様々なロングライフデザインのために使用されている持続可能な方法で生産された木材は、二酸化炭素を吸収してきたカーボンシンクですし、建物は建築に木材を使用することでカーボンフットプリントを削減することができます。それは、同時に、熱帯林資源の価値を高め、中長期的に森林の寿命の延伸に貢献します。」とサックル事務局長は述べました。
このグローバル・ポリシー・ダイアログは、クライメイト・ニュートラルと気候変動に対するレジリエンスを達成するための政策の一環として、持続可能な木材の利用を加速させるための洞察と提言を得るために開催されたものです。
サックル事務局長は、バイオエネルギーを生産するために持続可能な木材を利用することが、地球規模の気候問題に対する自然ベースの解決策としてのもう一つの有望な道であり、様々な機会の中でも特に重要なものだと述べました。
「伐採残渣や木材加工の行程において出てくる廃棄物の回収を改善したり、荒廃地や空き地で樹木ベースのバイオエネルギープランテーションを運営したりすることで、バイオエネルギー生産への熱帯木材の貢献を持続的に増加させることができます。私たちは、特に遊休地での積極的なソリューションを生み出せるよう、考え方を広げる必要があります。」とサックル事務局長は述べました。「成功を納めるためには、政策、喫緊の投資、財政的・非財政的インセンティブの提供が不可欠です。」
サックル事務局長は、持続可能な木材利用を促進するためのITTOの活動について、日本政府の援助による南アジアと東南アジアの国内木材市場促進プロジェクトなどを挙げつつ、概説しました。
「これらのプロジェクトでは、各国が国内の木材政策を改善し、持続可能な生産と消費を育み、能力構築やコミュニティ林業企業の役割を強化するのを支援するとともに、消費者に対して木材製品を使用するメリットについての教育を行います。」「以上のことは、森林に関する協働パートナーシップ(Collaborative Partnership on Forests: CPF)のメンバーやその他のステークホルダー間のシナジーを引き出すことにより補完され、確実に、循環型経済と持続可能な開発目標の達成に貢献しつつ、集団的な努力を強化するでしょう。」
サックル事務局長はまた、ラウンドテーブル「A Call for Action(行動の呼びかけ)」の司会も務め、循環型バイオエコノミーへの持続可能な木材の貢献を加速させるために関係者が取るべき当面の行動について議論を行いました。
事務局長によるプレゼンテーションの資料(英語)は、以下よりダウンロードできます。