持続可能な森林利用は森林減少を食い止めるために必要な手段-ITTO事務局長

2023年12月11日

ドバイで開催されたCOP28の森林に関する協調パートナーシップ(CPF)ハイレベル対話で発言するシャーム・サックルITTO事務局長(右から2人目)。写真:S. Kawaguchi/ITTO

2023年12月11日、アラブ首長国連邦、ドバイ: 2030年までに森林減少を食い止め、逆転させるために必要なメカニズムとして、持続可能な森林経営、持続可能で合法的な熱帯木材サプライチェーン、そしてこれらに対するインセンティブを挙げることができる、とシャーム・サックルITTO事務局長は昨日、国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)期間中に開催されたイベントで語りました。

この森林に関する協調パートナーシップ(Collaborative Partnership on Forests: CPF)のハイレベル対話は、国連機関およびその他のCPFメンバーのリーダーが、2030年までに森林減少を食い止め、逆転させる取り組みを加速させるのに必要な展望と行動を共有するために開催されました。CPFは、森林に関する主要なプログラムを持つ16の国際機関で構成されています。

「世界は、持続可能な木材伐採は森林破壊ではないことを認識する必要があります。」「木材は最も環境に優しい素材のひとつであり、私たちは持続可能な森林伐採の方法を知っています。」とサックル事務局長は語りました。

サックル事務局長は、持続可能な木材伐採は、森林所有者に森林を維持する経済的インセンティブを与えると述べました。しかし、そのためには、市場に出回る木材製品の合法性と持続可能性に関する確かで検証可能な情報が必要です。

「このような情報があれば、消費者は合法的かつ持続可能な森林経営を行っている木材サプライヤーの取り組みを支援することができます。」「持続可能な林業にはコストがかかり、消費者は、合法的で持続可能な木材に報いることが、豊かな生物多様性をはじめとする森林の価値とともに、森林を維持するために不可欠であると知る必要があります。」とサックル事務局長は指摘しました。

サックル事務局長は、持続可能な林業と合法的で持続可能な木材サプライチェーンは、競合する土地利用への補助金を削減することによって、財政的に支援されなければならないと述べました。

「競合する土地利用セクターにインセンティブを与えることで林業を阻害すれば、最終的な損失から逃れられなくなるでしょう。」とサックル事務局長は語りました。

サックル事務局長は、熱帯林の持続可能な経営への投資を増加させるための他の施策として、カーボンファイナンス、生態系サービスへの支払い、非木材林産物の持続可能なビジネスモデルの開発などを挙げました。

サックル事務局長は、ITTO戦略的行動計画に示されたITTOの優先分野の概要を説明しました。それらは、ガバナンスと投資、経済と熱帯木材貿易、レジリエンス、修復と保全、統計と情報です。また、CPFのイニシアチブである「持続可能な世界のための持続可能な木材(Sustainable Wood for a Sustainable World)」を含め、木材と持続可能な森林利用に対する一般の認識を改善するためにITTOが行っている活動についても語りました。さらに、ITTOには合法的で持続可能な熱帯木材サプライチェーンに特化したプログラムラインがあり、熱帯木材貿易の透明性を高めるために様々な方面で活動していると述べました。ITTOはまた、森林景観の回復や森林教育など、さまざまな面で活動を推進しています。

イベントには、ジュリエット・ビャオ国連森林フォーラム(UNFF)事務局長、アレクサンダー・バック国際森林研究機関連合(IUFRO)常務理事、デイビッド・クーパー生物多様性条約(CBD)事務局長代行など、他のCPFメンバーからもスピーカーが参加しました。その他の参加者は、 世界銀行環境天然資源・ブルーエコノミー担当グローバルディレクターのヴァレリー・ヒッキー氏、国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)事務局長のサイモン・スティエル氏、国際林業研究センター・国際アグロフォレストリー・センター最高経営責任者のエリアン・ウバリホロ氏、FAO林業部部長のジミン・ウー氏などです。

また12月10日(日)には、ITTOのマ・ファンオク博士が、インドネシアのパビリオンで開催されたイベント、「熱帯天然林の持続可能な経営(Sustainable Management of Natural Tropical Forests)」で講演し、ITTOのフィールドと政策活動から生まれた森林ガバナンスのベストプラクティスを紹介しました。

ドバイのCOP28で開催されたCPFハイレベル対話のパネルに質問を投げかける参加者。写真 S. Kawaguchi/ITTO