ITTO、エクアドル木材業界向けウェビナーで世界の木材事情について発表

2023年11月1日

木製家具の主要輸出国である中国、北京の家具店。写真:Tan Xifueng

 

2023年11月1日:ITTOは、エクアドル・チーク・熱帯木材生産者協会(Ecuadorian Association of Teak and Tropical Timber Producers: ASOTECA)主催のウェビナーで、国際市場における熱帯木材の需要と供給の力学について貴重な洞察を共有しました。

ASOTECAは、エクアドルにおける木材生産効率の改善、植林地の拡大、持続可能な森林経営に関する研究開発の促進、植林による熱帯木材の国内および国際的な消費の促進を目的とする組織です。

ITTOのプレゼンテーションは10月下旬に、統計を専門とするジャン・クリストフ・クラウドン氏によって行われましたが、エクアドルの木材業界関係者に、世界の熱帯木材の需要と供給の状況について、詳細な観点を提供しました。クラウドン氏がプレゼンテーションで指摘した主なポイントは以下の通りです。

  • 世界の木材生産量の約50%はエネルギーとして消費され、残りの50%は産業用に使用されている。この配分は国によって大きく異なり、熱帯の発展途上国では生産した木材の多くをエネルギーに使う傾向がある。
     
  • 熱帯木材の最大の消費者は、熱帯諸国自身である(主にエネルギー用)。
     
  • アジア太平洋地域は、木材需要を満たすために、かなり他の地域に依存している。アフリカとラテンアメリカ、カリブ海諸国は、より自給自足的である。
     
  • 世界的に見ると、工業用丸太材の主な生産国は、EU、米国、ロシアであり、これらを合わせると、世界の工業用丸太材の半分になる。中国もまた主要な生産国である。
     
  • EUと米国は木材製品の主要輸入国であり、一次産品の52%を占めているが(丸太換算)、そのほとんどはEU諸国間かカナダから米国への貿易である。中国は世界第3位の一次産品輸入国であるとともに、世界の熱帯木材の一次産品輸入の42%を占める世界最大の輸入国でもある。
     
  • 工業用木材製品の需要を左右する主な要因は、経済発展と住宅事情である。
     
  • 日本では、木材需要の80%が建築に関連している。しかし、経済成長の鈍化により、日本の住宅建設は減少し、熱帯木材の需要も減少している。日本は1990年代には熱帯丸太の最大の輸入国であったが、この30年間で輸入量が99%減少した。
     
  • 米国の木材需要も住宅と密接な関係がある。2008年から2009年にかけての世界金融危機では、米国の住宅市場は急落し、それに伴って製材の輸入も急減した。
     
  • 最近の中国経済の減速は、熱帯木材の需要を押し下げている。中国の熱帯丸太輸入は2014年から2022年の間に50%減少した。
     
  • 対照的に、木製家具の輸出は、中国では1990年以来800倍、ベトナムでは2010年から2022年の間に18倍に増加しており、この2カ国の木材消費を押し上げている。
     
  • 工業用丸太材の需要は、今後30年間力強く伸び続け、2050年には28億立法メートルに達することが予想される(2022年の約20億立法メートルから増加)。しかし、木材エネルギーの需要は減少すると予想される。
     
  • 中国は、自国の木材需要を満たすために、引き続き世界の他の地域に依存していくと予想され、北半球が木材供給において重要な役割を果たす。


世界の木材状況に関する詳しい情報は、ITTOの世界の木材状況に関する隔年評価報告書2021-2022(Biennial Review and Assessment of the World Timber Situation 2021-2022)で入手できます。この報告書では、一次産品(工業用丸太、製材、単板、合板)の生産、貿易、価格、二次加工された木材製品の貿易と価格、主要な熱帯木材の取引樹種、一次産品の貿易の方向性を分析しています。報告書に掲載されているデータ(1990年から2022年)が含まれているITTOのオンライン統計データベースは、熱帯木材と一次産品の貿易の変遷と長期的傾向、木材生産と加工における重要なシフトを分析するための強力なツールです。

ITTOのプレゼンテーションをダウンロードする。