持続可能な森林経営と木材貿易の鍵を握る「南南協力」

2023年9月12日

ITTOプロジェクトは、木材追跡に関する南南協力を促進しています。写真:グアテマラ国立森林研究所(INAB)

2023年9月12日:地球の南側の国々が連帯し、国のウェルビーイングと持続可能な開発目標を相互に助け合いながら追及することを祝う国連南南協力デー(International Day for South-South Cooperation)に寄せて、シャーム・サックルITTO事務局長は、ITTOの活動にとって極めて重要な側面の一つが生産加盟国間の協力の促進であると語りました。

サックル事務局長は、「私は、相互学習を通じて能力を開発し、開発途上国の自立を強化する南南協力の力を強く信じています。」と述べました。

ITTOの使命は、持続可能な方法で経営された森林から合法的に伐採された熱帯木材の国際取引および熱帯林の持続可能な経営に関する国際協力と政策立案を促進することです。ITTOの加盟国は、先進国を中心とする消費加盟国と、南半球を中心とする生産加盟国の2つのカテゴリーに分けられており、それぞれの議決権は平等です。

「ITTOは、加盟国間の協力、特に南南交流の重要性を常に強調してきました。私たちは、それこそが、持続可能な森林経営と強力で持続可能な木材貿易を支援するための取り組みにおいて、不可欠であると考えています。」とサックル事務局長は述べました。

ITTOは、すべての加盟国、特に生産加盟国に対し、ITTOプロジェクト(英語)で得られた経験やベストプラクティスなどを共有することを奨励しています。熱帯林経営を改善し、持続可能な方法で生産された合法的な熱帯木材の国際貿易を拡大することを目的として、ITTOは、現場で得られた経験に基づくガイドラインや政策文書(日・英他)の作成等を通じて、このような交流を促進しています。

現在進行中のさまざまなITTOイニシアチブは南南協力を促進しています。例えば、世界木材指標(英語)は、ブラジル、中国、コンゴ、ガボン、インドネシア、マレーシア、メキシコのパイロット7カ国と、南半球の多数の民間企業が参加する先駆的な取り組みです。この指標は、木材取引に関する重要な情報とデータの交換を促進し、SDGs 9、12、17に貢献するものです。市場の透明性を高め、熱帯木材貿易における国や関係者間の協力を促進しています。

コンゴ盆地では、ITTOは合法的で持続可能な木材サプライチェーンのための学習モジュール(仏語)を開発しました。これは、持続可能な開発と気候変動緩和への林業の貢献を強化しながら、同サブリージョン内の国々の熱帯木材市場アクセスを拡大することを最終目的としています。このモジュールは、南南協力を強化し、責任ある木材貿易を促進するというITTOのコミットメントを例示するものです。

メコン・チーク・プロジェクトは、メコン・サブリージョンの5カ国、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナムで国を超えて実施されています。同事業では、チーク天然林の保護、森林コミュニティの所得向上、木材加工とマーケティングの改善、チーク人工林の面積拡大のために、サブリージョンでの協力を奨励しています。最近出版された『持続可能な未来のためのメコンのチーク(Teak in the Mekong for a sustainable future)』(英語)は、このプロジェクトの成果を紹介しています(同プロジェクトの第2フェーズが計画中)。

南南協力を促進するITTOの活動例としては、木材追跡システムを開発するラテンアメリカの一連のプロジェクトを挙げることもできます。グアテマラエクアドルパナマでのプロジェクト(すべて英語)は、知識を共有し合うことのパワーを実証しています。つまり、プロジェクトを通じて互いの経験から学び合うことにより、各国の制度が改善されたり、同地域における責任ある森林経営に貢献したりすることが可能になりました。

「南南協力を拡大することにマイナス面はなく、学習と持続可能な開発を加速させる可能性は計り知れないものです。」とサックル事務局長は語りました。「ITTOは、生産国と消費国が対等な立場で加盟しているので、このようなかたちの協力を推進する唯一の立場にあります。そして、国家、コミュニティ、環境にもたらすあらゆる利益のために、私たちは今後も引き続きそのような取り組みを実施していきます。」