ITTOとTeaknet主催のサイドイベント、チークの価値向上のための課題と機会を検討

2023年7月5日

2020年にITTOが主催したワークショップの活動の一部で、ラオス・ルアンパバーン県のチーク農園を訪れたチークの専門家たち。写真:Tetra Yanuariadi/ITTO

2023年7月5日、横浜: 2023年6月4日から8日まで、オーストラリアのケアンズで国際森林研究機関連合(IUFRO)森林製品会議が開催。同会議の会期中に、ITTOと国際チーク情報ネットワーク(Teaknet)が共同で開催したサイドイベントでは、チーク材の製品価値を高めるための手段が検討されました。

チーク(Tectona grandis)は、アフリカ、アジア太平洋、中南米・カリブ海の熱帯地域の木材産業にとって、優先度の高い樹種です。チーク丸太の世界貿易量は、年間約102万立法メートルと推定され、インド、中国、タイが大半を占め、ベトナムが続きます。約70カ国がチーク材の植林を行っており、今後の世界供給の大部分が15年から25年の輪作で栽培される植林によるものと予想されています。

ITTO-チークネット・サイドイベント(英語)では、付加価値製品の開発、合法的で持続可能なチーク材のサプライチェーンを促進するためのインセンティブ制度の確立、チーク材プランテーションへの投資を通じてチーク材のバリューチェーンを向上させる手段について検討しました。その他の論点としては、高品質木材生産のための遺伝子組換え植林材、より良い加工技術の採用と適応、適切な取引政策と基準、持続可能なチーク材製品が気候変動の緩和と持続可能な開発目標(SDGs)の達成へより貢献できるようにするための国際協力やパートナーシップ、ネットワークの拡大などが挙げられます。

「チークを含む熱帯木材についてのグローバルな取引環境は、急速に変化しています。熱帯木材産業の政策決定を効果的なものにするためには、より長期的な視点が必要です。」とヤヌアリアディITTOプロジェクトマネージャーは述べました。ヤヌアリアディによると、合法的で持続可能なチーク材のサプライチェーンを促進するための協調的な努力は、SDGsの達成に貢献し、その他多くの経済的、環境的、社会的な利益をもたらすそうです。

熱帯木材生産国は、持続可能に経営された熱帯木材製品の生産と取引を継続的に維持するために、国際市場における自国製品の競争力を定期的に評価する必要がある、とヤヌアリアディ博士は指摘しました。持続可能な熱帯木材貿易を確保するためには、生産林の利用を最適化し、生産性を向上させる必要があります。

チーク材は、多くの熱帯諸国にとって高品質の木材を生産する最良の機会となるため、各国の林業経済にとって非常に重要である、とトーゴ森林開発・利用室(Office of Forest Development and Exploitation:ODEF)のコムラン・ウエレ氏は語りました。近年、企業セクターはチーク人工林の設立と経営に大規模な投資を行っています。しかし、チーク材が国の経済に大きく貢献しているトーゴでは、チーク材は主に国営企業と小規模農業従事者によって栽培されているとのことです。トーゴ産チーク材の主な輸出先はインドであるとウエレ氏は述べました。

サイドイベントでは、バイオエネルギー産業発展のための森林バイオマスの利用についての議論も行われました。米国ウェストバージニア大学のシンジン・ワン氏は、地域的適合性、施設立地評価、サプライチェーン最適化などの要素を入れ込みつつ、バイオエネルギー用森林バイオマスのサプライチェーン管理のための統合モデリングフレームワークについて報告しました。このモデルにより、森林バイオマスを利用したバイオエネルギー産業発展のための最も優先されるべき用地として、研究地域内の30の産業用地が特定され、これらの用地における森林バイオマスの供給コストが推定されました。

サイドイベントでは、Teaknetを代表するプテンプライル・クマラン・トゥラシダス氏が、ITTO、タイのカセサート大学、Teaknetが協力して「大メコン圏におけるチーク林の保全と持続可能な経営、合法的かつ持続可能な木材サプライチェーンの強化」(英語)プロジェクトを実施し、2022年に完了したことを報告しました。カセサート大学とTeaknetのコラボレーションの第2フェーズとして、2024年6月にスウェーデンのストックホルムで開催されるIUFRO世界大会や、2025年にインドが主催する第5回世界チーク会議でのチーク材のサイドイベントの開催など、高品質なチーク材の生産により焦点を当てた計画が進行中です。

サイドイベントのプレゼンテーションは以下からダウンロードできます。

関連するSDGs

チークやその他の樹種の高付加価値加工は、温室効果ガスの排出を抑えつつエネルギーを生み出す際に利用できる残材を生み出します。

チーク材は世界で最も価値のある広葉樹のひとつであり、物理的かつ審美的に優れた品質を備えています。アフリカ、アジア、ラテンアメリカの熱帯諸国、約70カ国には、チーク材の天然林または植林地があり、チーク材の生産と加工は、森林に関わるコミュニティや小規模農業従事者の収入を増加させる可能性があります。

持続可能な方法で生産されたチーク材は、循環型バイオ経済への移行に貢献できます。

チーク製品は数十年から数百年にわたり炭素を貯蔵することができます。

チークの天然林と植林の持続可能な経営は、生態系の健全性を確保し、多くの環境サービスの提供に貢献します。