林業や土地の再生に携わる女性にさらなる後押しを

エクアドル、チンボラソのITTOプロジェクトで設立されたラス・テレサス苗床で働く地元の女性と男性。このプロジェクトは、チンボ川流域の回復に貢献しながら、地域の女性をエンパワーし、生活を向上させました。写真：R. Idrovo/SENDAS

2023年6月17日、横浜： シャーム・サックルITTO事務局長は、砂漠化と干ばつと闘う国際デーに、女性はしばしば劣化した景観の影響を最も受けているが、社会によっては土地の管理および/または所有のための権利を最も得ていない存在であるため、修復と森林経営の効果的な行動の担い手である女性たちに権限を与える必要があると述べました。

砂漠化と干ばつと闘う国際デー（英語）は、砂漠化の防止や干ばつからの回復への対策の啓発のため、毎年開催されています。今年のテーマ「Her land. Her rights.（彼女の土地。彼女の権利。）」であり、女性の土地や関連資産への平等なアクセスへの投資は、そのまま女性の未来と人類全体の未来への投資であると強調しています。

サックル事務局長は、「森林セクターにおける女性の参加のかたちは非常に多様であり、女性は重要な仕事を担っていますが、収入や認知度、エンパワーメントの面で過小評価されがちです。」と述べました。「女性たちは貢献に見合わない報酬を与えられており、その結果、コミュニティや社会は、森林景観の回復と持続可能な経営のための変革の担い手としての女性の大きな可能性を無駄にしています。」

ITTOは、政策活動とプロジェクト活動において、ジェンダーを主流化し、ジェンダー平等の成果を高めようと取り組んでいます。例えば、2021年に発行されたITTOの「熱帯地域における森林景観再生のためのガイドライン（原題：Guidelines for Forest Landscape Restoration in the Tropics）」（英語）には、「包括的でジェンダーに対応した景観レベルの評価と土地利用計画を行う」という要素が含まれています。

ジェンダーの公平性へのコミットメントは、ITTOの「ジェンダー平等と女性のエンパワーメントに関するITTO政策ガイドライン（原題：Guidelines on Gender Equality and the Empowerment of Women）」（英語）にも明示されています。このガイドラインは、特に、ITTOの政策とプロジェクト活動のあらゆる側面において、ジェンダーへの配慮を効果的に統合し主流化することを目的としています。ITTOが資金を提供するプロジェクトにおいて、女性と男性のニーズと利益（効果的な参加と結果の利益を含む）が平等に考慮され、促進されることを保証するものです。

サックル事務局長は、持続可能な成果を得るためには、ジェンダーへの配慮が不可欠であると語りました。

「私は、ITTOの目標達成は、ジェンダーギャップを解消し、あらゆるレベルの女性に力を与える努力によって加速されると強く信じています。実際、ジェンダーの公平性なくして目的を達成することはできません。」

ITTOのプロジェクトでは、ジェンダー問題を統合し、主流としており、プロジェクトサイクルの全段階において取り組むことになっています。ITTOの現在の戦略的行動計画（英語）には、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントを促進するための横断的な戦略が含まれています。

ITTOのプロジェクトの中には、砂漠化との戦いや荒廃した土地の回復に取り組みながら、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントに特に焦点を当てているものがあります。最近の例としては、トーゴで2つの県の女性が荒廃した土地を再生し、アグロフォレストリーを改善しその恩恵を受けて生活を変えたプロジェクトが挙げられます。またフィジーのプロジェクトでは、女性がマングローブ林の再生を主導しています。エクアドルのチンボ川流域では、地域の女性が劣化した土地の回復に貢献しつつ生活を向上させることができるようエンパワーしました。

「理論と実践のどちらからも、ジェンダーの公平性と女性と少女のエンパワーメントが、砂漠化の緩和と荒廃した土地の再生のための効果的で持続的な行動の前提条件であることがわかります。」とサックル事務局長は言います。「今こそ、女性と少女が土地の再生と気候変動へのレジリエンスを高めるための世界的な取り組みの最前線に立つべきです。」