国際熱帯デーを記念して―熱帯林の重要性
2022年6月29日

世界の森林を守り、維持するために重要な役割を果たす森林コミュニティ。写真:A. Espada/ITTO Fellow
2022年6月29日、横浜:熱帯地域には、最も大きく複雑な生物学的・文化的多様性を持ち、巨大な炭素貯蔵庫として機能する素晴らしい森林があります。国際熱帯デーを記念して、アマゾン、コンゴ盆地、東南アジアの3つの重要かつ広大な熱帯林の生態系に関するITTOの活動の一部を紹介します。
ITTOフェローシップは、アマゾンで、アナ・ルイザ・ヴィオラート・エスパダ氏による6つの採掘保護区でのコミュニティ交流会の開催と学習機会の促進を支援しました。ヴィオラート氏によると、ラテンアメリカでは、木材供給と森林保全にコミュニティ林業が重要な役割を果たしています。
「コミュニティの土地での伐採をはじめとする様々な用途を含む森林経営は、森林における生産、地域経済、保全課題の重要な要素です。」と、ヴィオラート氏は述べました。
このコミュニティ交流会は、科学的研究の支援のもと、アマゾンのコミュニティ所有地における持続可能な熱帯木材生産について議論、考察することを可能にし、対話とコミュニティエンパワーメントのための場を作り出しました。また、コミュニティメンバーが意思決定プロセスのすべての段階に参加することが、持続可能性の3つの側面(社会、経済、環境)と保全、コミュニティ開発、木材経営にとって不可欠であることを示しました。詳しくはこちらからご覧ください。
コンゴ盆地では、地域規模のITTOプロジェクトが森林教育を後押しし、労働市場と教育カリキュラムの間のギャップを埋める一助となりました。中部アフリカ森林・環境研修機関ネットワーク(RIFFEAC)が実施したこのプロジェクトでは、バランスの良いトレーニングモジュールの開発、約300人のトレーナーへのトレーニングまたは再トレーニング、重要なインフラの開発、フィールド調査のための機器の提供、森林教育を学ぶ学生の学習環境の総合的な改善が行われました。また、各地域単位での森林教育・訓練を改善のためのRIFFEACの活動を継続するため、さらなる資金が用意されました。
「ITTOプロジェクトを通じて提供された支援(教員の能力開発、車両、情報技術、林業機器)により、理論と実践の間のギャップが縮まり、専門性が高まりました。」と、熱帯林管理の専門家育成を目的とした地域大学院のジャン-ピエール・マテ・ムウェウ教授は述べました。
プロジェクトの詳細はこちらをご覧ください。
東南アジアでは、ITTOの越境プロジェクトにより、エメラルド・トライアングル保護林群の保全と経営が改善されました。この保護林群は、インド-ミャンマー間の生物多様性ホットスポットの一部であり、世界で最も重要な生物多様性の中心地の1つとなっています。カンボジア、ラオス、タイが共有する国境沿いの保護地域群に対して、多国籍チームによる共通の越境管理の枠組みが開発されました。このプロジェクトの経験は、ITTOの出版物「ブライト・グリーンホットスポット(The Bright Green Hot Spot)」に記録されています。
熱帯林の重要な役割が国際的に認識されているにもかかわらず、熱帯林への脅威は続いており、農業、エネルギー、鉱業、輸送インフラのための土地を求める動きが森林破壊の主な原因となっています。シャーム・サックルITTO事務局長は、世界は国際熱帯デーを機に、持続可能な熱帯林業が森林の保全と持続可能な利用のための重要な戦略であることを再認識すべきだと述べています。
「森林を基盤とするコミュニティは、世界中の森林の保護と維持に重要な役割を果たしています。」と、サックル事務局長は述べました。「熱帯林業が人類にいかに貢献しているかを正しく認識し、評価するための国際的な共同作業と同様に、意思決定プロセスに地域の人々が参加することが、森林の保全へのコミットメントを引き出すためには不可欠です。」