2023年11月17日、タイ、パタヤ：第59回国際熱帯木材理事会は本日閉幕し、モハメド・ヌルディーン・イドリス議長は「非常に生産的な」会合だったと評価しました。理事会は、7つの新規プロジェクトと1つの新規事前プロジェクトを承認し、5つのプロジェクトと25の活動への資金提供（616万米ドル）を正式に決定するなど、5つの決議を行いました。

その他の決議には、2024-2025年の管理予算（決議2(LIX)）、2024-2025年の二カ年事業計画（決議3(LIX)）、管理予算の運営（決議4(LIX)）、2006年国際熱帯木材協定の延長の可能性に関する事項（決議5(LIX)）などがあります。5つの決議は、2023年12月にITTOのウェブサイトで公開される予定です。

決議4(LIX)では、理事会は、管理予算に対する分担金の滞納によりプロジェクト提案書およびコンセプトノートを提出できない加盟国に対し、滞納2年ごとに1件のプロジェクト提案書またはコンセプトノートを提出できるようにする試行措置を採択しました。

「今回の決議は、この厄介な問題を解決するための良い出発点になると思います。」とイドリス博士は述べました。「提案されたソリューションを試行し、良い結果が出ることを期待しています。」

決議5(LIX)に基づき、理事会は、2006年の国際熱帯木材協定（ITTA 2006）を2029年12月まで3年間延長するかどうかについて、会合を開かずに2024年6月1日までに結論を出します。

理事会の閉会中、次期生産加盟国のスポークスパーソンであるムハンマド・ザハルル・ムッタキン博士が、生産加盟国グループを代表してEUの森林破壊と森林劣化のないサプライチェーンに関する規制（EU Deforestation Regulation: EUDR）について声明を発表しました。

声明文には「私たちは、EUDRの規制はEUの熱帯木材貿易に大きな影響を与え、熱帯木材の生産国にも深刻な影響を与えるという貿易諮問グループの声明に同意します」と記されています。

「私たちはEUに対し、資金調達、アクセス制限、技術、技術支援に関する課題がある中で、持続可能な開発を通じてコミュニティの生活を向上させようとする生産国の努力を尊重するよう求めます。また、EUDR第30条に沿って、”すべての利害関係者の完全な参加”を可能にする熱帯林とのフォレスト・パートナーシップを発展させるために、生産国の国々と小規模農業従事者のニーズを満たすための実践的なアプローチと対策を考慮してEUDRを早急に改訂するよう求めます。」

EUも閉会式で声明を発表しました。

声明では「ここにいる私たち全員が、世界の森林の現状と、それに伴う世界の気候や生物多様性への影響を懸念しています。」と述べられています。「そして私たち全員が行動しなければなりません。木材および木材製品の重要な消費者であるEUは、EUによる消費がEU域内や国境を越えてさらなる減少を引き起こすことのないよう配慮します。」

声明では、新規制の発効に先立ち、EUが行った協議の一部を紹介しています。

「このように、EUはいかなる協力も温かく歓迎し、関係するすべての第三国およびサプライチェーンと関わり、新規則の理解を広げていくことを期待しています。そのため、私たちは双方に対してオープンであり、いかなる質問にも回答する用意があります。」

閉会式では、他に、インド、米国、国連食糧農業機関（FAO）林業局副局長（欠席のためシャーム・サックルITTO事務局長が代読）、国連森林フォーラム（UNFF）事務局長が声明を発表しました。

また理事会は5日目に、経済・統計・市場、林業、財務・管理、森林再生・森林経営の各委員会の報告を受け、採択しました。アン・タイラー氏（ニュージーランド）が次期理事会議長に選出され、拍手と共に決定しました。

閉会の辞で、イドリス博士は、会期2日目に実施された「貿易と市場の日」について言及し、これは「理事会の日程の中で非常に重要な部分」となっていると述べました。同博士は理事会に対し、この日のすべてのプレゼンテーションがITTOのウェブサイトで閲覧可能であることを伝え、代表団に対し、これらのリソースを各国の決定や政策に情報を活用するよう奨励しました。

「ITTOはその長い歴史の中で、このような資料を数多く作成してきていることを、皆様に今一度お伝えします。」とイドリス博士は述べました。「持続可能な森林経営と木材貿易に関する世界的、国内的、地域的な政策の形成に役立ってきた、この膨大な成果とその影響を過小評価すべきではありません。」

イドリス博士は、サックル事務局長の会期中の堅実なガイダンスと、退任する2人の事務局職員、スティーブン・ジョンソン博士とマ・ファンオク博士のキャリアを通じてのITTOへの多大なる貢献に謝意を表し、閉会としました。

第60回国際熱帯木材理事会は、2024年12月1日から6日まで、日本の横浜で開催される予定です。国際熱帯木材理事会は、熱帯林の持続可能な経営と持続可能な方法で生産された熱帯木材の貿易を促進することを目的とした幅広い議題について議論するため、少なくとも年に1度は開催されています。

IISDのレポーティング・サービスによる日々の報道は、以下をご覧ください：  https://enb.iisd.org/ittc59-international-tropical-timber-council