年次報告書

年次報告書2022

2022 年、ITTO は、地球規模の課題に取り組むには持続可能な熱帯林経営と合法的かつ持続可能な木材取引が重要であると世界に向けて啓発する取り組みに、新たなエネルギーを注ぎました。ITTOは、あらゆる機会を通じて、持続可能な熱帯林経営と責任ある熱帯木材貿易が、持続可能な未来に向けた私たちの旅路において果たすべき不可欠かつ中心的な役割を強調しました。本年次報告書に示されているように、ITTOプロジェクトは、多様な化学反応を加速させる触媒のように働き、持続可能な林業が地域社会の変革にもたらす驚くべき可能性を示し続け、その政策活動は世界的な影響を及ぼしました。ITTOは、森林教育、絶滅危惧種の取引、生産と貿易データなど多様なテーマで協力機関と連携し、その専門性、多用途性、広範性を示しました。

年次報告書2021

2021年は、世界中の人々にとって、引き続き困難な年となりました。ITTOの活動分野である熱帯林セクターでは、多くの政府、国民、企業が新型コロナウイルス感染症の大流行やそれに伴う世界各地の移動制限への規制や国境閉鎖による深刻な影響に直面し、サプライチェーンや生活に著しい混乱が生じています。気候変動やその他の課題によって引き起こされる熱帯林への脅威は増え続け、これらの重要な資源を持続的に管理し、保護するための取り組みをより複雑なものにしています。それでもITTOは、この年次報告書にまとめられているように、この1年間に多くのことを達成することができました。

年次報告書2020

2020年は、新型コロナウイルス感染症が世界中で流行したことによって何100万人という人々が犠牲となり、経済も大打撃を受け、世界中の誰にとっても困難な一年となりました。私たちすべてが密接につながっていること、そして国境を超えて一致協力し共通の課題に取組むことの大切さを改めて認識させられました。この年、新型コロナウイルス感染症の拡大は熱帯林セクターに関わる人々、産業及び市場にも非常に大きなインパクトを与えました。この感染症がもたらした危機は森林セクターにも関係することから、ITTOは、市場の透明性の向上、政策ガイダンスの提供、現場でのベストプラクティスの促進を目指して相互補完的な活動を実施し、この難局を乗り越えるための加盟国の取組に協力しました。ITTOもまた、多くの困難に直面しました。国際熱帯木材理事会(ITTC)は初のオンライン開催となりました。しかし、力を合わせることで多くを成し遂げることができたのです。本年次報告書でその成果を綴っています。

年次報告書2019

2019年にITTOは躍進しました。ITTOが掲げる理念に関連した具体的な成果をあげ可視性を高めるとともに持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)や世界森林目標(Global Forest Goals)に寄与しました。特筆すべきは合法かつ持続可能な木材サプライチェーンの強力な推進とこれについての能力強化です。この活動により、サプライチェーンを通じて木が森林で生育している状態から市場の棚に並ぶまで持続可能な森林経営を途切れなく行うという新しいアプローチを打ち立て、一方でバイオサーキュラーエコノミー、気候変動緩和・適応および生物多様性保全に貢献しました。本年次報告書では2019年中のその他の需要な成果や顕著な活動が示されています。

年次報告書2018

ITTOはその使命を遂行するにあたり2018年に多方面で前進しました。 課題は確かに山積みです。森林劣化は特に人々が日々木材・非木材製品へのニーズを充足させなければならない熱帯地域の大規模熱帯雨林の周辺や乾燥地域で急速に進みつつあります。 生産性のある熱帯林が持続可能な経済開発で果たす役割を最大限に広げるため、地域住民の間で日常的に需要のある燃料や木材、林業経営における専門性の不足、投資不足、違法行為、気候変動によって引き起こされる森林生命力の減少といった様々な要素に対処しなければなりません。ITTOは政策業務やプロジェクト実施においてこのような問題に取組んでおり、本年次報告書にてその活動がまとめられています。

年次報告書2017

2017年はゲァハート・ディタレ氏がITTO事務局長に就任し、組織のガバナンスと透明性の強化ならびにドナー各国からの信頼を回復することに一定の成果が見られた一年となりました。ITTOのマンデートである持続的かつ合法的に管理された熱帯木材資源の貿易拡大と多角化を促進するための行動計画として、2018~2019年のITTO二ヵ年事業計画とジェンダー平等と女性のエンパワーメントに関する政策ガイドラインを採用し、ITTOの活動に市民社会と民間セクターからの参加を強化。また、ITTOの財務基盤の包括的な見直しなどにも取り組みました。

年次報告書2016

2016年はITTOの歴史にとって重要な年となりました。組織の財務欠損の問題に対処することにより、その結果として国際熱帯木材理事会で、ITTOのガバナンスと透明性を強化することを目的とした一連の決議が採択されることになりました。 また、2016年は様々な困難にも関わらず、熱帯林資源の保全、持続可能な経営、利用と貿易を促進するというプロジェクトや活動が成果を挙げました。本書では、熱帯地方での持続可能な林業が改善した例として、アフリカにおける木材識別と追跡への取り組みの進展、東南アジアにおける越境生物多様性の保全地域と生活の改善、そして中南米での木材加工と木材産業の進展や持続可能な森林経営に関する最新のガイドラインの発行などについて取り上げています。

年次報告書2015

2015年にITTOは熱帯林資源の保全と持続可能な経営、利用、貿易を促進するという使命を果たし、的を絞った様々なプロジェクトや活動を実施し、あらゆる組織やステークホルダーとの生産的なパートナーシップの構築に多大な貢献を行い、大きな成果を挙げました。また、この年はITTOにとって非常に困難な年となりました。プロジェクトや活動に対する資金提供が減少傾向にあったことや新事務局長選出ができなかったこと、そしてなにより深刻だったのが2013年と2014年に行った投資で損失を出したことでプロジェクト用の資金を相当額失ったことがその理由にあります。我々の組織は2015年にも引き続き拡大を続け、国際熱帯木材協定(ITTA)2006にクロアチアとタイが加盟し、過去最大の72カ国が加盟国となりました。本書ではまた、熱帯林の保全という目的で実施のフィールドプロジェクト、テーマ別プログラムやその他の活動を通じたITTOの事業についての知見を提供しています。

年次報告書2014

2014年にITTOと加盟国は政策関連事業やフィールドプロジェクトで重要な進歩を遂げ、将来に向けた基盤作りができました。中央アフリカ共和国、スリナム、ベトナムの3カ国が国際熱帯木材協定(ITTA、2006)へ加入したことからも組織は拡大し続けており、加盟国は過去最大の70カ国に達しています。2014年には『天然熱帯林の持続可能な経営のためのITTO自主的ガイドライン』を採択したほか、『サービス提供者への利益還元』と題する政策概要を出版(同年4月に行われた熱帯林の環境サービスへの支払いに関する国際フォーラムの成果文書)しました。さらに、熱帯木材市場における政府調達政策が与える経済的影響や炭素利益の定量化についての研究も完了しています。本書では、この他にもフィールドプロジェクトを通じたITTO事業やテーマ別プログラムなど、熱帯林の保全に向けたあらゆる取組みについてまとめています。

年次報告書2013

2013年はITTA(2006)下で確立した形式でITTOの事業運営を行った最初の年でした。 また、主要出版物である『熱帯林ニュースレター(Tropical Forest Update)』と『熱帯木材市場レポート(Tropical Timber Market Report)』の出版を再開し、持続可能な森林経営と熱帯木材貿易について価値ある情報をステークホルダーに提供しています。同年、ブラジル、コロンビア、コスタリカの3カ国が2006年の国際熱帯木材協定(ITTA 2006)に加入したことで、ITTOの加盟国が過去最大の67カ国に達しました。今後もさらに増加すると予想されています。ITTOは2013年に、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES)事務局、国連食糧農業機関、国際熱帯木材技術協会、独立行政法人国際協力機構(JICA)、生物多様性条約事務局(CBD事務局)、持続可能な森林経営のためのアジア太平洋ネットワーク(APFNet)、SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ及びバードライフ・インターナショナル等の各機関との貴重な協力体制により様々な取組を実施しました。事例として、ITTOのプロジェクトとテーマ別プロジェクトでは以下の主要成果を挙げました。持続可能な森林経営のためのITTO/ATO原則、基準、指標の実施を通じて、アフリカにおける持続可能な森林経営を改善;メキシコとペルーの未利用木材種21種類の特性評価を実施;フィリピンの地域コミュニティーによる非木材産品の持続可能な収穫と加工に関する研修を実施;ペルー北西部の地域コミュニティーにおける竹の管理と使用が改善;ガーナの中小企業が木材追跡システムと加工・流通過程管理を採用。他にも2013年にはITTOでは多くの議題に対して成果を挙げました。一例として、持続可能な森林経営の実施を通じて得られた幅広い経験を活かすためにナレッジマネジメントの改善策を準備しています。このような取組から将来に対してもさらに大きな影響をもたらす基礎を築いた一年となりました。ITTOが実施した上述の事業及びその他の重要な取組に関する内容は本書をご一読下さい。

年次報告書2012

ITTOは2012年度には、国際熱帯木材協定2006(ITTA 2006)発効後の今後数年の活動方針に焦点を当てました。これに関連して、新戦略的行動計画(2013年~2018年度)が採択され、また、ITTA 2006の下で現在、完全にITTOのプログラムとして組み込まれているITTOテーマ別プログラムの綿密な評価が行われました。2012年には、また、森林法施行の改善と木材追跡技術、効率的な木材加工技術、森林統計及び持続可能な森林経営の基準と指標に関する研修を実施しました。さらに、世界的及び地域的な経済及び財政危機の影響に対する熱帯木材セクターの回復力の向上に関する報告書をテクニカルシリーズの一環として出版しました。年間を通してITTOは熱帯林の持続可能性を促進する他の国際機関、特にJICA、CBD及びCITESと積極的な連携を続けました。2012年の国際熱帯木材理事会では、18件のプロジェクト及び3件の事前プロジェクトが完了したことが報告され、現在行われている68件のプロジェクトと6件の事前プロジェクトの進捗状況が検討されました。また、9件の新規プロジェクト、1件の新規事前プロジェクト、3件の進行中のプロジェクト並びにITTO CITESプログラム、フリーザイラ・フェローシップ基金及び2013-2014年度二ヵ年事業計画の下で実施される活動に資金が提供されました。年次報告書2012では、年間を通じてITTOが実施した上記の活動及びその他の重要な活動についての詳細が報告されています。

年次報告書2011

2011年はITTOにとって重要な年でした。国際森林年として国連で宣言されたこの年に、国際森林フォーラム(UNFF)事務局と共同で一年間に渡り、多くの記念プログラムを実施しました。 また、この年はITTOが創立25周年の節目を迎え、2006年国際熱帯木材協定(ITTA)が発効された年でもありました。6月には熱帯森林経営の現況に関する2冊目の報告書"熱帯林経営状況2011"を出版しました。熱帯林の促進に努める国際機関や団体、とりわけ森林のための共同パートナーシップ(CPF)と様々な活動を行い、国際森林年を盛り立てました。2011年10月28日のITTO創立25周年記念行事は横浜市と外務省の後援、国際森林年国内委員会事務局の協賛で行われ、シンポジウム"ITTOと日本: 熱帯林の未来のための25年"をはじめとするイベントを開催しました。 年次報告書には上記のイベントの詳細やその他の様々な活動について報告しています。

年次報告書2010

2010年はITTOにとって非常に重要な年となりました。プロジェクトや政策関連の通常事業に加えて、2006年国際熱帯木材協定 (ITTA)の発効に向けた取組みが最大の出来事として挙げられます。また、熱帯林の持続可能な経営に関する国際協議の場や国際生物多様性年に係る活動にも積極的に参加し、数々の国際機関と共同でイベントの実施や覚書を締結して、関係の強化に努めました。さらには、製薬企業をはじめとする民間セクターとCITES付属書に記載されている樹種の利用や開発に対する協力関係にも改善が見られました。ITTOのパイロット事業であるテーマ別プログラムには、新たな二つのプログラムが追加されました。それぞれ、”コミュニティーによる森林経営と事業 (CFME)”と”貿易と市場の透明性 (TMT)”プログラムとして運営を開始、また森林破壊・森林劣化の減少及び環境サービスの強化 (REDDES) のプログラムでは2回目の提案書の募集が行われました。本書は、上記に挙げられる2010年度の重要な活動の詳細をまとめています。

年次報告書2009

熱帯林は2009年も大きく国際的な注目を集め、中心的な話題となりました。ITTOは熱帯森林資源の保全や持続可能な経営、利用と貿易を促進するための法的効力を有する世界唯一の政府間機関であり、国際協議の場に積極的に参加してきました。数々の国際機関との継続した協力の中でも、特に森林のためのパートナーシップ(CPF)メンバー機関との連携活動が続きました。国際連合食糧農業機関(FAO)や国連森林フォーラム(UNFF)、国際自然保護連合(IUCN)、生物多様性条約機構(CBD)、ワシントン条約事務局(CITES)との協力が引き続き行われたのです。ITTOは、重要な国際会議や会合への積極的に参加すると共に(詳細は年次報告書2009参照)、熱帯林の持続可能な経営促進のための活動のために現場重視の観点から活動を行いました。

年次報告書2008

2008年はITTOにとって多くの面で非常に重要な年となりました。ITTO発展の岐路とも言えるこの年、幅広く環境と貿易、開発に焦点を当てた新しい合意を形成したことで、ITTO加盟国の期待の高まりと共に、新たな財源確保への望みとなったのです。 1994年から2006年の熱帯木材協定(ITTA)への移行を協議した結果、ITTOでは1994年のITTA下における事業活動の資本を運用することとなり、2006年のITTA下において、今後の事業運用方法について検討しました。これにより、評議会と委員会の開催頻度と期間、委員会の機能について、そしてITTOの行う事業とITTOプロジェクトサイクルへの資金調達についての諸問題に対する議論が再燃することとなりました。