生産林と持続可能なサプライチェーンが気候変動問題に取り組むための基礎に

2017年11月17日

ホンジュラスのこの家のように、持続可能な木材を利用することで、炭素の貯蔵や他の再生不能な建材の代替品の役目を果たしながら、一方で環境に優しい仕事を作り出している。写真提供:G. Dieterle/ITTO

生産林、森林景観、そして関連するバリューチェーンは、気候変動の問題に取り組む際の基礎となる可能性を秘めているとITTO事務局長のゲアハート・ ディタレ博士が指摘しています。これはドイツのボンで開催中の、国連気候変動枠組条約第23回締約国会議(UNFCCC COP23)のハイレベル・セグメントでの見解を示したものです。

ディタレ博士は、熱帯地域の森林劣化の問題が軽視されており、以前に考えられていたよりもはるかに多くの二酸化炭素を排出しているということを示す新たな科学的知見を紹介しました。 そして、この 「『驚くべき新しい進展』は、国際レベルでの気候変動の緩和と適応策に向けた中心的な柱として、熱帯林の持つ可能性を実現するために、早急に対応することが求められています」と続けました。

さらに、人口増加はつまり木材や林産物への需要がますます増えていることを意味しているので、木材や林産物を更なる森林劣化を避けるためにも持続的な方法で生産し、森林劣化によって気候変動問題への努力が損なわれないようにすべきです、と述べました。

「食品についてと同様に森林製品を見る必要があります。生産して消費できる代替品はないのです」とディタレ博士。そして、合法的で持続可能な方法で急速に増加する森林製品の需要が満たされなければ、森林破壊と森林劣化、または再生不可能な代替物に取って代わり、「これらは気候変動への取り組みと持続可能な開発促進という努力を多いに損なう可能性があります」と強調しました。

ディタレ博士は、森林生産と森林保護を上手く組み合わせて、生産林と森林景観と関連するバリューチェーンを世界の森林気候と開発の課題にとっての不可欠なものとし、持続可能な木材の需要と供給との間のギャップを埋めるための5つのステップを下記の通り提案しました。
 
1.国内外の公益目的のために、重要な生物多様性と保護林を保護する。
2.劣化した多目的森林景観を復元し、生産的な使用と経済的に実現可能な利益を確保する。
3.熱帯林の適応能力を向上させ、気候変動に対してのレジリエンスを強化する。
4.既存の森林を持続的かつ効率的に管理し使用する。
5.環境にやさしいグリーンサプライチェーンと取引を促進する。

また、合法的で持続可能なサプライチェーンと森林製品とサービスの市場を構築するためのスマートなインセンティブと融資が緊急に必要だということを伝え、プレナリーでの注目を集めました。 そして、これは緑の成長、雇用、外国為替に貢献する一方で、気候変動がもたらす悪影響を防ぐのに役立つので、それに費やされる資金も多いだろうと述べました。
 
最後に、ディタレ博士はITTOには熱帯生産林が提供する役割を活用できるだけの機能を兼ね備えているので、他の森林関連措置を合わせた実質的な代替メリットを上回る可能性があると締めくくりました。
 
ディタレ博士のステートメントは下記よりダウンロードしていただけます。