森林認証の未来を描く: ITTO、PEFC森林フォーラムで対話をリード
2025年5月8日, ホーチミンシティ

ベトナムのホーチミンで開催されたPEFC森林フォーラム2025で講演するITTO森林経営部長のジェニファー・コンヘ。写真: Tetra Yanuariadi/ITTO
ベトナムで開催された今年のPEFC森林フォーラム(PEFC Forest Forum in Viet Nam)では、国際熱帯木材機関(ITTO)が注目の的になり、ITTOのジェニファー・コンヘ森林経営部長は基調講演を行い、持続可能な林業の未来に関するパネルディスカッションに参加しました。「グローバル貿易を乗り越える:PEFC認証がいかにして森林とビジネスのレジリエンスを強化するか」をテーマに開催された同フォーラムでは、森林セクターの多様なステークホルダーが一堂に会し、進化するグローバルな枠組みが認証制度、国際貿易、そして森林の長期的な持続可能性をどのように再構築しつつあるのかを模索しました。
不確実性: ビジネスと貿易の弱点
コンヘは基調講演で、森林認証と森林を基盤とするビジネスを再定義する、地政学的、環境的、市場的な影響について考察しました。気候変動協定や生物多様性の枠組みから、貿易ショックや企業の持続可能性要件に至るまで、同氏は「PEFC森林認証制度相互承認プログラム」(Programme for the Endorsement of Forest Certification Scheme: PEFC)のような認証制度が企業や政府にとっていかに重要なツールとなり得るかを説明しました。「スーパーマンにとってクリプトナイトが弱点であるのと同様に、ビジネスや貿易環境にとって不確実性がそのような存在となります。ある程度の保証と確実性は、ビジネス(の運営)にとって必要です。」とコンヘは述べました。「PEFCのような認証制度が存在するのは、基本的に、保証のためです。この場合、市場が求める保証は、持続可能性と合法性についてです。」とコンヘは加えました。
コンヘは参加者に対し、現在の複雑な状況を、技術革新、投資、レジリエンスのための課題であり機会であると捉えるよう促しました。また、企業は多様で透明性のある持続可能な調達方法を採用することで、規制の変化や消費者の期待をますます先取りしていかなければならないと強調しました。

コンヘは講演の中で、EUの森林減少防止に関する規則(EU Deforestation Regulation: EUDR)、企業サステナビリティ報告指令(Corporate Sustainability Reporting Directive: CSRD)、そして生物多様性と気候に関する要求事項の進化は、より大きな動きの一部であることを強調しました。
合法で持続可能な熱帯木材貿易を支援するITTOの役割を強調した同氏は、独立した第三者認証に対するITTOの長年の支持を改めて強調する一方、市場や政策の圧力が認証基準にどのような影響を与えるかについて考えるよう、このセクターに求めました。
「認証基準が完全に市場の要求によって定義されるのは、どの時点なのでしょうか。」「それとも、科学的根拠や地域の文脈、持続可能な森林経営の原則に基づいたものとしてとどまるべきなのでしょうか。」とコンヘは聴衆に問いかけました。
森林政策の未来に関する女性パネル
コンヘはまた、「進化する政策の展望をナビゲートする: リスク、報酬、対応」と題された女性のみで構成された刺激あるパネルディスカッションに、国連食糧農業機関(UN Food and Agriculture Organization: FAO)、グローバル・レポーティング・イニシアチブ(Global Reporting Initiative: GRI)、PEFC国際理事会( PEFC International Board)からのスピーカーとともに参加しました。 同セッションでは、パリ協定、昆明・モントリオール生物多様性枠組、新興のESG情報開示基準などの国際的な枠組が、企業戦略、森林政策、農村の生計にどのような影響を与えるかを考察しました。
パネルディスカッションでは、気候変動対策、生物多様性保全、社会的包摂への機運の高まりに応えるために、PEFCや同様の基準がどのように適応できるかについて検討されました。パネリストは、地域社会や生態系に積極的に貢献しつつ、競争力とコンプライアンスを維持するために企業がとるべきバランスのとれた行動について議論を行いました。.

森林の未来
森林を基盤とする産業が、炭素市場からワシントン条約への登録に至るまで、監視の目を強め、複雑さを増す中、ITTOはこのイベントに参加することで、加盟国や利害関係者がこうした変化に対応できるよう支援する姿勢を再確認しました。
ITTOの最近の活動としては、世界的な気候変動と修復の課題の一環として、ワシントン条約の実施強化、生物多様性ガイドラインの更新、持続可能な森林景観の推進がありますが、これらは加盟国を支援するための積極的な取り組みの一例と言えます。
「生物多様性であれ、気候であれ、持続可能な生計であれ、市場アクセスや公正かつ公平な貿易を確保するために、第三者認証は市場によってはこれまで以上に重要な意味を持ちます。」とシャーム・サックルITTO事務局長は語りました。また「私たちは引き続き難しい問題に取り組み、ツールを改良し、すべての利害関係者との関与を強化することで、信頼でき、実施可能で、費用効率の高い解決策を策定し、人々と地球の両方に役立つようにしなければなりません。」と加えました。
ITTOにとって、PEFC森林フォーラムは単なる対話ではなく、ITTOとPEFCの良好な協力関係を反映したものであり、この対話は、熱帯林が持続可能な世界経済の中核であり続けることを保証し、世界的な木材貿易にとっての弱点に対応するために一致団結するよう、繰り返し呼びかけるものです。