災害リスク軽減のための自然に基づく解決策としての森林、国際セミナーで強調

2025年2月6日, 横浜

Ramon Carillo and Paula Sarigumba

2025年2月6日、FFPRIの国際セミナー「自然を活用した解決策としての森林管理:森林の防災・減災機能の発揮に向けて」の講演者たち。写真:FFPRI

台風や季節的な豪雨の影響を頻繁に受ける日本は、長い間、災害という課題に直面してきました。そのため日本は、森林や樹木などの自然の機能を活用して災害リスクを軽減する森林を活用した防災・減災(Forest-based Disaster Risk Reduction: F-DRR)技術を開発し、実践してきました。自然に基づく解決策(nature-based solutions: NbS)への関心が世界的に高まる中、F-DRRは、特に開発途上国で流域上流を管理する上で、効果的で費用対効果の高い気候適応策であるとの認識が高まっています。

国際セミナーで森林に基づく解決策を紹介

2025年2月6日に東京で開催された林野庁と国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所(FFPRI)主催の国際セミナー「自然を活用した解決策としての森林管理:森林の防災・減災機能の発揮に向けて」では、専門家らが、災害リスク軽減と地域開発における森林の重要な役割について議論を行いました。このイベントは、NbSを主流化し、地滑り、洪水、高潮、台風などの自然災害の悪影響を軽減するための持続可能な解決策を促進する世界的な取組に沿うものです。

重要なNbSとしての持続可能な森林経営

国際熱帯木材機関(ITTO)はセミナーに参加し、災害リスク軽減のための費用対効果の高いNbSとして、持続可能な森林経営(SFM)の重要性を強調しました。参加者は、NbSとSFMがもたらす多様な利益に対する認識と理解を促進するため、より一層の努力が必要であると認識しました。

知識交換とベストプラクティス

セミナーでは、災害リスクを軽減する持続可能な森林経営に関する知識やベストプラクティスの共有が行われました。注目すべき事例として、以下が紹介されました:

  • フィリピンにおけるコミュニティ林業と森林再生による回復力と経済的利益の向上.
  • コミュニティ林業を促進するために生態系サービスへの支払いを活用しながら、沿岸生態系を保護する方法を実証したベトナムのマングローブ再生
  • 地滑りリスク軽減のための森林に基づく介入策の有効性を強調する、日本やその他の開発途上国で適用されている山の斜面や浸食防止技術。.
国際セミナーの基調講演を務めたフィリピンの学者フアン・M・プルヒン博士(右から4人目)。プルヒン博士は2010年から2012年まで、コミュニティ林業と企業に関するITTOテーマ別プログラム諮問委員会の委員でした。写真:ITTO


認識の向上と研究の拡大

パネルディスカッションでは、熱帯地方におけるリスク削減手段としてのマングローブ林の利用や、自然に基づく解決策としてのSFMに対するより幅広い認識の必要性についての貴重な洞察が得られました。さらに、この分野における研究の発展に貢献する、森林を活用した災害リスク軽減戦略を紹介するFFPRIの2つの出版物(日本語)がセミナー中に発表されました。

シャーム・サックルITTO事務局長は、「熱帯地域における持続可能な森林経営(SFM)の貢献への理解を深めるには、啓発活動が不可欠です。SFMは環境の回復力を高めるだけでなく、気候変動の緩和と適応、さらには農村地域の持続可能な生計と発展にも貢献します」と強調しました。。

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