二カ年事業計画の進捗と国際熱帯木材協定交渉の次の段階を審議

国際熱帯木材理事会(ITTC)の第61回会合の3日目が本日開催され、議題は二カ年事業計画の進捗状況、関係機関との協力、そして国際熱帯木材協定(ITTA)の将来に関する議論の進展に集中しました。© ITTO

2025年10月29日、パナマシティ — 本日、国際熱帯木材理事会(ITTC61)の第61回会合の3日目が開催され、2024-2025年二カ年事業計画(BWP)の進捗状況、国際・地域レベルでの関係機関との協力、そして国際熱帯木材協定(ITTA)の将来に関する議論の進展が議論の中心となりました。

シャーム・サックルITTO事務局長は、国際協力および民間セクターの関与の強化に向けた事務局の取組について、報告しました。© ITTO

2024-2025年二カ年事業計画の進捗

ITTO事務局は、現行の二カ年事業計画において着実な進捗が見られると報告しました。この計画には37の活動が含まれており、そのうち21件は任意拠出金またはコア・ファンディングを必要とし、16件は管理上の活動で資金を必要としていません。

ドイツ、米国、日本、カナダ、オーストラリアなどの加盟国、およびマカオ特別行政区のIPIM、日本の創価学会、民間のドナーなどの非加盟者の支援により、これまでに、目標額700万米ドルのうち520万米ドルが任意拠出金として動員されています。

ITTOの2024-2025年度二カ年事業計画に関する進捗レポートを発表するゲァハート・ブロイルマンITTO事務局次長(総務)。© ITTO

現場での活動――合法かつ持続可能なサプライチェーンの強化に関する取組、すなわちグローバル・リーガル&サステナブル・ティンバー・フォーラム(Global Legal and Sustainable Timber Forum: GLSTF)の活動、CITES無害証明に関する研修、持続可能なチーク生産森林火災予防持続可能な森林経営に関する能力開発および統計分野などの取組――は特に顕著な進展を示しています。

シャーム・サックルITTO事務局長は、市民社会諮問グループ(CSAG)および貿易諮問グループ(TAG)Gの最新情報、市場ディスカッション、専門家パネルの報告など、二カ年事業計画のいくつかの要素が他の議題でも取り上げられていると述べました。

財務と管理に関する委員会で発言を行うシャーム・サックルITTO事務局長。© ITTO

フェローシップ・プログラムは能力構築を継続

オーストラリアのカサンドラ・プライス氏がITTOフェローシップ・プログラムの報告を行い、同プログラムは1989年以来1,400人以上の専門家を支援しており、そのうち女性が40%を占めていると述べました。パネルは、2025年に応募90件のうち20件を新たに採択し、総額136,760.82米ドルを助成するよう勧告しました。新規フェローシップの50%は女性応募者に授与されました。

加盟国は同プログラムの継続的な成果を歓迎し、各国の能力強化、ジェンダー平等の促進、熱帯地域における専門的能力開発支援における重要な役割を強調しまいした。

ITTC第61回会合のセッション中にてメモを確認するケネス・タブリガ=アルマリネス氏(右)とクローデット・エンドゾ=スゾン氏(フィリピン)。© ITTO

2026年から2027年を見据えて

事務局は2026-2027年二カ年事業計画案を紹介し、現行計画の活動を基礎に新たな行動は提案しないことを明らかにしました。本計画に含まれる活動には、任意拠出金260万米ドルおよび基幹経費200万米ドル、合計460万米ドルが必要とされます。

テーマ別優先事項は変更されず、現場重視の活動、規範的活動、国連食糧農業機関(FAO)、生物多様性条約(CBD)、森林に関する協調パートナーシップ(CPF)、国連森林フォーラム(UNFF)などとの協力、広報・アウトリーチ活動統計および分析の取組を引き続き含みます。

ITTC61で、再造林と森林経営に関する委員会を主宰する議長のビョルン・メルケル氏(スウェーデン)。© ITTO

新たな国際熱帯木材協定に向けて

共同議長ダン・カール氏(米国)が不在のため、ヴァネスカ・ベタンコート氏(パナマ)が、理事会初日にITTA2006年協定第44条に基づき設立された準備作業部会(PWG)の進捗を報告しました。

2025年10月29日、声明文の準備をするカルロス・エスピノサ・ペーニャ議長(パナマ)。© ITTO

PWGは2025年に3回のバーチャル会合と4回の地域協議を開催しました。外部コンサルタントによる比較研究では、ITTOが他の一次産品関連機関と異なり、「熱帯木材の持続可能な利用を支援するとともに、熱帯林の保全を促進する」という独自の二重の使命を有していることが再確認されました。

PWGは、財政支援を条件として2026年までITTOの任務を延長することを勧告しました。今後の地域協議でさらに検討すべき主要課題として、将来の協定の範囲、加盟区分、拠出および投票制度、協定の期間、他の国際機関および民間セクターとの関与が挙げられました。理事会はPWGが勧告した改訂ロードマップの実施方法について、2026年に開催される第62回理事会(ITTC-62)と併せて対面による準備委員会会合を開催する可能性を含め、加盟国の費用効率の観点から検討を行いました。この議題に関する協議は、本会期中、生産国・消費国双方の会合の後に継続されます。

**********

タイのカセサート大学のヨンユット・トライスラット氏は、再造林と森林経営に関する委員会の会合において、ITTO-BMLEHチークプロジェクトの成果を発表しました。© ITTO

各委員会の主な成果

再造林・森林経営に関する委員会では、完了したプロジェクト、進行中の活動、事後評価、実施または資金供与を待つ活動について審議しました。完了が確認された案件として、カンボジアでのコミュニティ林業プログラム、トーゴにおける2件の森林再生プロジェクト(うち1件は女性主導による森林景観再生プロジェクト)、およびフィジー・レワデルタのマングローブ再生プロジェクトが挙げられます。2件の事後評価報告も提示され、重要な知見が提供されました。

経済学・統計・市場に関する委員会、および、林産業に関する委員会では、2026年の議長としてニュージーランドのラタ・ムダ氏、副議長としてグアテマラの代表(後日発表)を選出しました。

財務と管理に関する委員会は、理事会の審議および採択のために報告書と勧告を承認しました。

第61回国際熱帯木材理事会(ITTC-61)は、引き続き、2025年10月31日までパナマシティにて開催されます。

林産業に関する委員会の会合を主宰するフィリピンのケネス・タブリガ=アルマリネス議長と、ニュージーランドのラタ・ムダ副議長。© ITTO

_______________________________________________________________________________________________

理事会会合の詳細情報および各発表資料は次のページにてご覧いただけます(本文英語): https://www.itto.int/ittc-61/presentations

IISDレポーティング・サービスによる日次報告はこちら(英語): https://enb.iisd.org/ittc61-international-tropical-timber-council

ITTC61会合で発言を行う本田知之氏(日本)。© ITTO
2025年10月29日の理事会セッションで発言を行うペルーのロベルト・セミナリオ・ポルトカレロ閣下。© ITTO
2025年10月29日の委員会の会合での議論を注視する代表団。© ITTO
再造林と森林経営の委員会で、コスタリカのディエゴ・カマチョ・コルネホ氏が商業的再植林プロジェクトについて発表を行いました。© ITTO
2025年10月29日に再造林と森林経営の委員会を主宰するビョルン・マルケル議長(スウェーデン)。© ITTO
韓国のイ・ウンソン氏(2025年10月29日)。© ITTO
理事会会合で発言を行うホルヘ・ロドリゲス・スニガ閣下(コスタリカ)。© ITTO
ITTC61での議論を聴くUNFF女性メジャー・グループのフェルナンダ・ロドリゲス氏。© ITTO
ITTOの国際協力に関する議論で発言を行うFAOのタイス・リニャレス=ジュベナル氏。© ITTO
ITTC61におけるマレーシア代表団(2025年10月29日)。© ITTO