ITTC-61、パナマで閉幕―340万米ドルの新規資金、新議長の選出、協力への新たな誓約

第61回国際熱帯木材理事会、4つの重要な決議を採択し閉幕。 © ITTO

2025年10月31日、パナマシティ — 国際熱帯木材理事会(ITTC)は、パナマシティで開催された第61回会合最終日において、4つの決議を採択し、2026年に向けた新たなリーダーを選出するとともに、加盟国は熱帯林の持続可能な経営および熱帯木材貿易の推進に向けて改めて協力を誓いました。

一週間の熱心な作業を終え笑顔で閉会を迎えたCEM/CFI会合の代表団。 © ITTO

理事会による主な決議 

理事会は新規プロジェクトおよび活動を複数承認し、加盟国による任意拠出を財源として、総額340万米ドルの資金を承認しました。新たな資金は、トーゴ・サバンナ地域におけるフォス・オ・リオン保護林の持続可能な経営を可能にするプロジェクト第2フェーズおよびペルーの林業における技術的・経営的能力の強化プロジェクトに充てられます。また、ベトナムのアカシアを資源とした森林に基づくバイオエコノミーの支援を目的とした新たなプロジェクトにも資金が提供されました。本会合で新規資金を拠出したドナーは、日本(外務省および林野庁)、マカオ特別行政区、オーストラリア、カナダです。さらに、2026-2027年二カ年事業計画も承認され、生産林における生物多様性の保全と持続可能な利用およびITTOフェローシップ・プログラムのための新規資金が確保されました。

また、ITTO本部の受け入れ国である日本における啓発活動の強化も承認されました。

理事会はさらに、2026-2027年度のITTO管理予算を承認し、二年度を通じて本機関の業務が中断なく継続されることを確保しました。あわせて、CEM/CFI、CRF、CFAが提出した委員会報告書も採択されました。

一週間にわたる具体的な議論を経て、理事会は、2027年に開始予定の正式な国際熱帯木材協定(ITTA)再交渉プロセスに向けて2026年に実施する活動のロードマップを示す決定を採択しました。パナマで採択された本決定は、既存の決定により設立された準備作業部会の活動継続および加盟国間の協議を第62回会合まで継続するよう定めています。次回の第62回会合(2026年11月、横浜)では、同週内に第1回目の対面での準備委員会の会合が開催される予定です。

第61回会合の最終日、理事会は重要な決定を採択し、新議長カサンドラ・プライス氏(オーストラリア)を選出しました。 © ITTO

バリ・パートナーシップ基金サブアカウントBによるフェローシップ資金の承認

The Council adopted the Report of the Panel on Sub-Account B of the Bali Partnership Fund (BPF).

理事会は、バリ・パートナーシップ基金(BPF)サブアカウントBに関するパネル会合の報告書を採択しました。

同パネルは、カサンドラ・プライス氏(オーストラリア)を議長とし、カナダ、コロンビア、日本、マレーシア、パナマの各国代表および事務局長で構成されており、BPFサブアカウントBおよび未指定基金から137,888.50米ドルを拠出し、2026年のITTOフェローシップ・プログラムを支援するよう勧告しました。

事務局からの送別:ポリカルペ・マスパ・カンバレ氏退任

事務局長は、各国代表団を招待し、ITTOプロジェクト・マネージャーのポリカルペ・マスパ・カンバレ氏の退任を称える機会を設けました。オンラインでの挨拶において、同氏はITTOの同僚および加盟国の支援に感謝の意を示し、創設40周年を迎える本機関の今後を祈念しました。

各国代表団は、特にアフリカにおける、プロジェクト開発、人材育成、持続可能な森林経営(SFM)推進に対するマスパ・カンバレ氏の貢献を称えました。コロンビア、ベナン、日本、スウェーデンの代表団は、同氏のITTOプロジェクトおよび持続可能な森林経営への長年の貢献を高く評価しました。事務局長は、マスパ・カンバレ氏のITTOへの献身的な勤務に対し感謝の意を表しました。

新議長が退任する今会合の議長に記念品を手渡しました。 © ITTO

理事会、2026年議長を選出

理事会は、2026年のITTC議長としてカサンドラ・プライス氏(オーストラリア)を選出しました。プライス氏は代表団の信頼に感謝し、オーストラリアのITTOへのコミットメントを表明しました。

 「私はこの職務を非常に真剣に受け止めています…今週示された皆様の献身と熱意に励まされ、感銘を受けました。私たちはそれぞれの課題を抱えていますが、皆がここに集結した理由は共通しています。」

閉会および次回会合に向けて

5日間にわたる議論、協働、意思決定を経て、ITTC61はITTOの使命達成に向けた新たな協力体制を確認して閉幕しました。閉会に際し、議長はパナマ、日本、その他のドナー国の代表団、および通訳者と事務局に感謝の意を表しました。

議長は、熱帯林は単なる木材資源ではなく、生物多様性や社会的価値を有すると強調しました。また、加盟国に対し、ITTA再交渉への積極的かつ建設的な参加をはじめとした、持続可能で合法なサプライチェーンの推進および国際的協力の強化に向けた努力を継続するよう呼びかけました。

エスピノサ・ペーニャ氏は「ITTOの活動は、熱帯林ガバナンスにおいて欠かせないパートナーです。加盟国の皆様には、パナマで始まったこの重要な熱帯林を守るための取組を継続していただきたいと思います。」

オーストラリア、ベナン、ブラジル、カナダ、中国、コロンビア、インド、インドネシア、メキシコ、ニュージーランド、パナマ、ペルー、タイの各国代表は、パナマ政府のITTC61開催協力に謝意を表し、ITTOの使命および新ITTA交渉プロセスへの取組へのコミットメントを再確認しました。

日本は、第62回理事会――ITTA再交渉に関する第1回準備委員会会合も併せて実施――を2026年11月7日から11日に横浜で開催することを発表しました。偶然にもITTOが創設40周年を迎える時期に当たります。

第5日目、CRF会合の閉会 © ITTO

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理事会会合の詳細情報および各発表資料は次のページにてご覧いただけます(本文英語): https://www.itto.int/ittc-61/presentations

IISDレポーティング・サービスによる日次報告はこちら(英語): https://enb.iisd.org/ittc61-international-tropical-timber-council

 

テトラ・ヤヌアリアディ氏(ITTO)とリナ・クリスタンティ氏(インドネシア)。 © ITTO
カサンドラ・プライス氏(オーストラリア)、ゲァハート・ブロイルマン氏(ITTO)、石井香奈子氏(ITTO) 。© ITTO
シャーム・サックル氏(ITTO)とマレーシア代表団。 © ITTO
シャーム・サックルITTO事務局長に記念品を贈呈するパナマ環境省(MiAMBIENTE)。© ITTO
日本代表 © ITTO
中国およびベナン代表団 © ITTO
サイモン・ジャボンズ(英国) © IT
第61回ITTC会合を支えたITTO事務局および通訳者 © ITTO