ITTO出荷相談会 熱帯木材と海上輸送:その脆弱性と対処法

ITTO出荷相談会 熱帯木材と海上輸送:その脆弱性と対処法

日付・会場: 2006年7月11~12日,ロンドン (イギリス)

写真: M. Adams/ITTO

この2日間にわたる相談会は、熱帯木材の海上輸送にまつわる多くの複雑な問題について検討し、ITTOによる木材製品の輸送に関する国際会議の計画能力を向上させるために開催された。この小規模な相談会で得られた情報と知識を利用して、事務局は木材製品の輸送に関する国際会議の準備を進める。最近の森林産業委員会(Committee on Forest Industry)会議で、この小規模な相談会をベースにして、事務局がこの分野の作業を進めるためのTerms of Reference(TOR)草案(木材製品輸送に関する国際会議のためのプログラム草案を含む)を作成し、次のセッションで同委員会の検討に託すことが合意された。

2日間の相談会で行われたプレゼンテーションは、熱帯木材製品の国際海上輸送に焦点を当て、3つの重要な質問に対する答を出す手助けをした。

  1. 熱帯木材を生産者から消費国に出荷する際の複雑な問題とは何か?
  2. 熱帯木材出荷プロセスのどの要素に、丸太や熱帯木材製品の違法取引の余地があるか?
  3. 木材の合法的出荷を確保するための国際的ツールは存在するか、あるいはそのようなツールを作ることはできるか?

議論の一部は、木材製品輸送のコンテナ化、加工木材製品の取引の増加、CoC認証関連事項など、輸送ビジネスおよび熱帯木材貿易の傾向の変化に当てられた。また森林セクターにおける「違法性」の幅広い解釈、いくつかの輸入国には“違法に”生産された木材の輸入を違反とする法的基盤や枠組がないことを認識した。

さらに、出席者は出荷書類と出荷手続きの問題に関する明確化を求めた。特に、出席者はどの当事者(荷主、貿易業者、税関)に出荷書類の正確さ、真正さ、合法性をチェックする責任があるかについて議論した。具体的には、船荷証券、原産地証明書、包装明細書、商品名記載書その他が議論にのぼった。出席者にとって明確でなかったのは、木材出荷プロセスにおいて船荷証券が国際水域に入ったときどうなるか、どの国の法と手続きが適用されるのか、貿易手続きの電子化がどう出荷書類の作成や不正行為の防止に役立つかということであった。出席者はまた、出荷プロセスにおける銀行の役割、どう優良貿易当事者(荷主、貿易業者、生産者…)へのインセンティブを設けるか、その他、ライセンシングやCoC、“自己管理”、責任ある木材購入のための企業行動規範などについて明確化を求めた。

最後に、出席者は能力開発と法的取締りを強化するための認知向上の必要性について議論した。出席者の結論は、この問題は特に国家レベルで扱われるべきで、それによって輸出国と輸入国の政府機関は法の遵守、合法性、出荷書類と手続きの真正性を保証できるようにすべきであるということであった。輸出国の役割にも注意が向けられた。例えば税関が法的書類をチェックすることなどによって、より積極的な役目が果たせるのではないかということが議論された。出席者はまた、CITES、森林法の施行とガバナンス(Forest Law Enforcement and Governance)、自主的二国間協定(Voluntary Partnership Agreement)、公的調達方針など、不正行為と闘うための最近行われている取組みのインパクトと役割を認識した。出席者はITTOに対し、国際会議のTORを作成する際に考慮に入れるべきこととして、いくつかの提言をした。すなわち、国際海事機関(International Maritime Organization)と出荷書類やその他の具体的な事項について協議すること、税関の問題や能力開発など今後の方針策定作業について検討すること、地域的協力を強化すること、密輸を最小化するシステムの確立を検討すること(例、輸出の事前通知などによる)、銀行、船主、輸送会社をより対話に関与させることによって、海上輸送における記録の航跡を明確にすること、熱帯木材出荷に必要な書類に関する情報収集を検討すること、である。これらの提言と相談会の会期中に得られたフィードバックに基づいて、ITTO事務局はTOR草案と会議のアジェンダを作成中である。これはITTO森林産業委員会メンバーに11月のセッション中に提示される予定である。

このワークショップの出席者は以下の組織、機関、政府の代表者であった。

APKINDO – インドネシア木製パネル協会
Ang and Partners、シンガポール
イギリス海運会議所(UK Chamber of Shipping)、BIMCOを代表して
Danzer、イギリス
英国王立国際問題研究所(Chatham House)、イギリス
UK Timber Trade Federation
環境森林省 インド
TRAFFIC International
環境調査機関(Environmental Investigation Agency)、イギリス
HMRC、イギリス
国際海事機関 (International Maritime Organization)、イギリス
国際海事局 (International Maritime Bureau)、イギリス
ITTO貿易諮問グループ (Trade Advisory Group)
ITTO市民社会諮問グループ (Civil Society Advisory Group)
Arpeni Pratama Ocean Line、インドネシア
マレーシア木材委員会 (Malaysian Timber Council)、ロンドン
ブラジル大使館商務部、ロンドン
ITTO事務局

連絡先

ITTO事務局
Forest Industry Division
Email: fi@itto.or.jp