パナマ、合法かつ持続可能な木材取引を推進するITTOを評価

2025年4月24日, パナマシティ

ITTOのゲァハート・ブロイルマン博士に表彰盾を手渡すパナマ環境省(MiAMBIENTE)のカルロス・エスピノーサ・ペーニャ氏。写真: MiAMBIENTE

パナマ環境省(MiAMBIENTE)は、同省森林局を通じ、国際熱帯木材機関(ITTO)に対して、パナマにおける森林ガバナンスの強化と合法かつ持続可能な木材取引の促進における重要な支援への表彰を行いました。

この表彰は、パナマ環境省が主導する「パナマにおける森林経営の強化と森林トレーサビリティ・モニタリング・システム(STCF)の適用範囲の拡大」と題するITTOの資金提供プロジェクトの枠組みの中で行われました。STCFは、森林から市場までの木材を追跡し、木材サプライチェーン全体の透明性と合法性を確保するために設計された最先端のデジタルプラットフォームです。当初は商業プランテーションや天然更新補助(assisted natural regeneration: ANR)地域に適用されていたが、現在では、エンベラ・ウオナーン自治区などの先住民族地域を含む新たな地域への展開が進められており、ITTOプロジェクトの再現性と拡張性を示しています。

STCFの仕組みを説明するパナマ環境省のスタッフ。写真: MiAMBIENTE

合法木材ネットワーク(Legal Timber Network)の成功におけるITTOの貢献も認められました。この官民プラットフォームは、同様のパートナーシップによって開発されたもので、責任ある森林ガバナンスを促進し、取引の透明性を高め、地域社会の参加を促しています。また、知識の共有、政策立案、林業関係者間の協力を促進する一方、生産者とバイヤー間の透明性の高い取引関係の構築に寄与しています。さらに、この取組は、責任ある取引を支援するプログラムを推進し、違法伐採と闘う組織的取り組みを強化してきました。持続可能な森林経営のためのパナマの能力構築に対するITTOの戦略的貢献は、これらの実績からも明らかです。

授賞式では、カルロス・エスピノーサ・ペーニャ国家森林局長と主要関係者が、ITTO代表のゲァハート・ブロイルマン事務局次長(総務)と川口才文財務・総務担当官に表彰盾を贈呈しました。エスピノーサ・ペーニャ氏は、ITTOの長年にわたる技術協力と、地域協力のモデルとして合法木材ネットワークを設立したそのビジョンを賞賛しました。「私たちはITTOの戦略的支援により、この取組を合法で持続可能な林業のベンチマークとして位置づけることができ、深く感謝しています。」と同氏は述べました。

この表彰を通じて、MiAMBIENTEは、ITTOのような戦略的パートナーと協力し、森林保全とパナマの林業セクターの持続可能な発展を促進することへのコミットメントを再確認しました。

STCFは、パナマの森林ガバナンスを変革し、合法で持続可能な木材生産を促進しています。写真: MiAMBIENTE

STCFの実施: エンベラ・ウオナーンのコミュニティにおける森林ガバナンスの強化

STCFの取組のもと、プロジェクト運営委員会(Project Steering Committee: PSC)の会議がパナマシティで最近開催され、その後トルトゥーガのエンベラ・ウオナーンのコミュニティへの現地視察が行われました。会議では、システム運営、アウトリーチ戦略、財務管理に関する最新情報など、プロジェクトの進捗状況を確認する機会が設けられました。

現地視察も実施され、利害関係者は年間伐採許可証(permiso anual de corta)に基づくSTCFの活動、木材伐採作業、木材置き場の管理、森林収入を財源とした苗床やインフラ整備などのコミュニティ再投資プロジェクトの視察を行いました。

プロジェクト・コーディネーターのクリスティアン・アイスプルア氏は、同システムの拡大、および、地元コミュニティや森林セクターの関係者の関与の向上を強調しました。「このシステムは、合法性と説明責任を確保しながら森林を持続可能なかたちで経営する能力を高めてくれます。」と同氏は指摘しました。

エンベラ・ウオナーンのコミュニティの現地視察でMiAMBIENTEスタッフの案内を受けるITTOのモハメド・ヌルディン・イドゥリス氏。写真: MiAMBIENTE

ITTOを代表してPSC会合に出席したモハメド・ヌルディン・イドゥリス貿易産業部長は、パナマのリーダーシップと、プロジェクトを推進する組織間の協力関係を称えました。「このプロジェクトが、明確なビジョンと責任ある実施により、技術、保全、持続可能な開発をいかに統合しているかを目の当たりにし、感銘を受けました。」と同氏は述べました。「森林のトレーサビリティは、違法伐採と闘うだけでなく、天然資源を責任を持って有益に管理することを可能にし、先住民族のコミュニティをエンパワーします。」

エスピノーサ・ペーニャ氏は、STCFがパナマの森林ガバナンスを変革しつつあると付け加えました。「この技術ツールは、許可証の発行から木材の輸送、販売に至るまで、林業プロセスのあらゆる段階をリアルタイムで監視することを可能にし、バリューチェーン全体の合法性と透明性を保証します。」

このプロジェクトは、森林ガバナンスを強化し、包括的なコミュニティ参加を促進し、国の豊かな森林資源を保護する手段として責任ある木材取引を促進するという、パナマの広範な国家戦略に沿ったものです。また、気候変動の緩和、生物多様性の保全、先住民族の権利の保護など、国際環境協定に対するパナマのコミットメントも支援しています。

ITTOは森林ガバナンスを強化するため、地元および先住民族コミュニティとの協力を推進している。写真: MiAMBIENTE

シャーム・サックルITTO事務局長は、カルロス・エスピノーサ・ペーニャ国家森林局長(2025年開催の国際熱帯木材理事会第61回会合の議長でもある)とパナマ政府の素晴らしい業績を祝福し、この栄誉に感謝の意を表しました。「全国的に拡大し、勢いを増し続けるSTCFは、デジタルイノベーションと関係者の協力が熱帯林国における持続可能な森林経営と地域開発をいかに推進できるかを示す強力な事例となりました。このことが、他のITTO加盟国にとって、熱帯全域で持続可能な森林経営を進める上で、テクノロジーを重要な味方とみなすためのインスピレーションとなるよう祈ります。」と語りました。