小規模農業従事者による高品質なチークの栽培にさらなる支援が必要-ITTOプロジェクトが先導する

2024年10月4日

マイクを持ち、現地の人々と交流を行うヌルディーン・イドリスITTO事務局次長(貿易・産業)。ワークショップの現地視察では、タイ・プレー県のチーク材の製造業者を訪ねました。写真:P.K. Thulasidas

タイ、ランパーン県のチーク丸太置き場にて。写真:Yongyut Trisurat

2024年10月8日: 先月、ITTOプロジェクトの一環としてタイで開催された地域ワークショップで、参加者は、小規模農業従事者がチークや他の経済的価値の高い樹種を栽培し、長期的なローテーションで高品質な木材を持続的に生産する取り組みを支援するため、小規模農業従事者への実行可能な資金スキームを提供するよう提言しました。ワークショップではまた、ITTOプロジェクトがこの取り組みをどのように支援するかについての議論も行われました。

ワークショップ「熱帯地域におけるチークや他の経済的価値の高い樹種の高品質な木材生産とカーボンニュートラルに向けた小規模農業従事者のプランテーション強化」は、ITTOプロジェクトPP-A/54-331Aの運営委員会会合に合わせて開催されました。このプロジェクトは、当初はメコン・サブリージョンでのチーク栽培に焦点を当てていましたが、第2フェーズに入った現在では、メコン内外の6カ国―アジア太平洋地域のカンボジア、インド、インドネシア、タイ、ベトナム、および西アフリカのトーゴ―で実施されます。両フェーズとも、ドイツ政府がドイツ連邦食糧・農業省(BMEL)を通じて資金援助を行っています。インドとインドネシアの2カ国は実施準備中ですが、他の4カ国はプロジェクトを開始しています。

ヌルディーン・イドリスITTO事務局次長(貿易・産業)は「チーク材やその他の貴重な樹種の生産システムにおける木材品質を向上させるため、周辺化された小規模農業従事者を第2フェーズで対象とするのは時宜を得たことであると言えます」と述べました。

また「チークや他の経済的に価値の高い樹種のプランテーションに関する小規模農業従事者のバリューチェーンのマネジメント・モデルを開発し、協力的な資金メカニズムを提供することで、小規模農業従事者がプランテーションの持続可能な経営を計画するよう促すことができます」と指摘しています。

「また、それにより、彼らは高品質な木材を長期ローテーションのもとで生産することができるようになり、効率的な木材加工技術を併用することで、国内および輸出市場向けの付加価値の高い木材製品の生産を可能にします。」

また、BMELのスティーブン・ワグナー氏はワークショップで、プロジェクトの第2フェーズでは、より長期のローテーションを促進するために最適化された資金メカニズムへのアクセス、付加価値の向上と造林技術や施策などの改善、木材加工、サプライチェーン全体における合法性などの小規模農業従事者が直面する懸案事項に取り組む予定であると述べました。

タイ王室林野局のバナラック・サムトーン副局長は、タイの森林被覆を拡大するための最近の取り組みを紹介し、2019年の林業法第19条の改正により、チークの地位が「経済種」に変更され、農業従事者が林野局の許可を得てチークを栽培し、伐採することができるようになったと述べました。この変更は、小規模農業従事者の植林への投資を促しているが、彼らが生産する木材の生産性と品質を向上させるためにはさらなる努力が必要とされています。

ワークショップでは、ナン県、プレー県、ランパン県での現地視察が行われ、参加者は小規模なチーク生産者が直面する課題についてさらに理解を深めました。

ワークショップの写真はこちらをご覧ください。
プレゼンテーションについては下部の添付資料をご覧ください。

ワークショップの概要はこちらからご覧いただけます。

ITTOが支援するチーク・メコン・ニュースレター最新号「熱帯地域における小規模農業従事者と、チークや他の貴重な樹種のコミュニティベースのプランテーションにおける高品質木材生産の促進」をご覧ください。

関連するSDGs

小規模農業従事者によるチーク材の生産は、安定した収入をもたらし、貧困からの脱却を支援します。小規模農業従事者による経営は、植林、維持管理、収穫などの雇用機会を創出し、地域経済を活性化します。種子、道具、トレーニングなどの資源にアクセスできるようにすることで、生産性と経済性が向上します。さらに、付加価値の高い加工を行うことで、小規模農業従事者は収入を増やすことができます。協同組合モデルを推進することで、長期的な生産性と環境の健全性を確保する持続可能な林業を実施しながら、資源の共有と市場アクセスを改善することができるようになります。これらの戦略を組み合わせることで、小規模なチーク生産者をエンパワーし、農村地域の貧困削減に寄与します。

小規模農業従事者によるチーク生産は、農村部での雇用創出、倫理的な労働慣行による公正な賃金と安全な労働条件の確保、課題に即した研修プログラムによる現地の技能向上により、SDG8(働きがいも経済成長も)の達成に大きく貢献することができます。また、代替収入源を提供することで経済の多様化を促進し、木材加工における地域の企業を支援し、合法的で透明性の高いサプライチェーンを確立することで、利益が地域コミュニティに確実に還元されるようにします。こうした努力の積み重ねが、包括的な経済成長と林業に依存する人々の適切な生活を育んでいます。

持続可能なチーク植林を推進していくことは、陸上生態系の回復と持続可能な経営を促進することにもなり、SDG15(陸の豊かさも守ろう)の達成に大きく寄与します。持続可能なチーク材の施業は、生物多様性を強化し、森林破壊を防ぐだけでなく、地域社会に経済的機会を提供します。責任ある栽培と伐採を保証することで、これらの植林地は土壌の健全性を改善し、炭素を吸収し、森林に依存する人々の生活を支えることができ、最終的には、より健全な生態系とより強固な地域社会をもたらします。

また、持続可能な木材生産を促進することで、SDGs17(目標のためのパートナーシップ)を推進することもできます。効果的なガバナンスと持続可能な慣行を確立するためには、政府、企業、地域社会の協力が不可欠です。知識、資源、ベストプラクティスを共有することで、ステークホルダーは、環境の持続可能性を支え、地域経済を活性化し、世界の持続可能性のための目標に向けた前進を促すパートナーシップを育む、強靭なサプライチェーンを構築することができます。