持続可能な林業の進展の加速化のため、女性へのより一層の投資を―ITTO事務局長

ボリビア、サンタ・クルス・デ・ラ・シエラの製材所で木材の認証を行うITTOプロジェクトのスタッフ、テレザ・C・M・パストーレ氏（左）とリズ・F・ソアレス氏。写真：ITTO/LPF

2024年3月8日：持続可能な林業において女性が果たす役割の重要性は認識されつつあるが、女性が潜在能力を十分に発揮するため、および、ジェンダー平等を達成するためには、このセクターへのさらなる投資が必要、とシャーム・サックルITTO事務局長は国際女性デーに述べました。

国際女性デーは毎年3月8日に実施され、女性の権利と生活のあらゆる場面への参加を支援することを目的としています。今年の国際女性デーのテーマは「女性に投資を。さらに進展させよう。（ Invest in women: Accelerate progress）」です。

「ITTOは、熱帯林セクターの、また世界中の、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントに関して、揺るぎないコミットメントを示しています。」とサックル事務局長は述べました。「女性への投資が、林業だけでなく、より広範な持続可能な開発に関する取り組みの進展を加速させるものであるということを、私たちは、すでに理解しています。」

ITTOのジェンダー主流化へのコミットメントは、ITTOの取り組みに確実に根付いており、2018年に発表されたジェンダー平等と女性のエンパワーメントに関するITTOの政策ガイドライン（英語）でも概説されています。同ガイドラインでは、（1）ITTOの政策とプロジェクト活動におけるジェンダーへの総合的な配慮の強化、（2）熱帯林セクターにおけるジェンダー平等を推進するための能力の構築、（3）ITTOのガバナンスと事務局における女性の役割の強化、という3つの目的を明示しています。

サックル事務局長は、女性は常に林業において重要な役割を果たしており、伝統的知識の守り人、林産物の収集者、そして最近では林業の専門家として活躍しているが、資源へのアクセス、意思決定、キャリアの機会において格差が存在している、と述べました。

「重要な役割を担っているにもかかわらず、多くの女性は森林の土地の管理、および、資金・技術・教育・訓練へのアクセス、森林からの恩恵の分配において制限を受けています。」「これは持続可能な林業にとって大きな障害であり、女性の計り知れない潜在能力が未だほとんど活用されていないことを意味します。」とサックル事務局長は指摘しました。

そのためITTOは、熱帯全域での活動において、ジェンダー平等を加速させるための投資、能力開発、意識啓発を優先し、女性の福利を向上させています。

ITTOの組織においても、女性が多様な役割を担ってきました。多くの女性が国際熱帯木材理事会（ITTOの最高意思決定機関）の議長を務めたり、事務局の職員や組織の様々な諮問機関のメンバーとなっています。また、多くの女性がプロジェクト・コーディネーターを務め、ITTOプロジェクトの技術評価や評価に貢献しています。

ITTOによる奨学金プログラム、ITTOフェローシップ・プログラムの授与者であるフェローの中では、女性が全体の30%以上を占めていますが、今も、同プログラムにおけるジェンダー平等を達成するための強力な取り組みが進行中です。

ITTOプロジェクトにも、女性が多く参加しています。例えばブラジルでは、テレサ・パストーレ博士が研究プロジェクトを率い、マホガニー材を識別するためのフィールド技術の先駆者となり、木材の識別プロセスを強化しました。フィジーでは、女性グループがITTOの支援を受けてマングローブ林を復元し、同時に生計向上と気候変動対策を実現しています。トーゴでは、ITTOの介入により、アグロフォレストリーシステムを通じて新たな森林資源を産み出し、生計手段を見出す女性の力が強化されました。

これらのイニシアチブは、持続可能な森林経営における女性の極めて重要な役割に対するITTOの信念を明確に示すものです。

「ITTOは今後もジェンダー平等と女性のエンパワーメントを支持していきます。」とサックル事務局長は語りました。「私たちは、この分野での進歩を加速し、すべての人にとってより包括的で公平な未来を構築するというコミットメントを堅持し続けます。」