熱帯木材の環境への貢献の周知が、持続可能な木材の使用拡大への鍵

2022年5月4日, 韓国、ソウル

熱帯木材と熱帯木材製品に対する適切な管理体制を示し、人々の誤解を解くためには、啓発と明瞭なアウトリーチが不可欠。写真: C. Zacarias/INAB

2022年5月4日、韓国、ソウル: 熱帯木材を含む木材が環境にやさしい素材として認識され、技術の進歩が木材の用途を広げている今、持続可能な木材の使用拡大の機会はかつてないほど増加しています。したがって、熱帯木材産業に対する誤解を払拭するための効果的な啓発が、大いに必要とされています。

このような意見は、第15回世界林業会議の3日目に開催された「木材―私達を未来に向かわせる最古の原材料(Wood the most ancient raw material taking us to the future)」(英語) と題された本会議で反響を呼びました。パネリストたちは、一部の消費者市場で熱帯木材産業が直面している不信感と誤解について考察を行いました。また、セクターのイメージを改善するという課題は、森林セクターに限ったものではないと指摘しました。

「熱帯木材産業に対する消費者の認識と市場の動向を変えるためには、熱帯木材生産国におけるグッド・ガバナンスを示す強力な啓発、事実に基づく広報活動、そしてアウトリーチが強く求められています。」とITTOのシャーム・サックル事務局長は述べました。また、気候変動に関する政府間パネルの最新の報告書では、持続可能な森林経営と木材製品の使用が気候変動の緩和と適応の取り組みの中心となると示されていると続けました。

サックルITTO事務局長はさらに、「森林の破壊と劣化を食い止め、逆転させるためのガバナンスと検証システムの強化(Strengthening governance and verification systems to halt and reverse deforestation and forest degradation)」(英語)に関するセッションにも参加しました。ここでも、登壇者らは熱帯地方の森林ガバナンスに関する強力で明確なアウトリーチの必要性への認識を示しました。サックル氏によると、同セッションの重要なメッセージの要旨は以下のようなものです。

  • 継続的な市場アクセス、消費者需要、リスク軽減に対する信頼性と保証を提供する方法として、法的および制度的ガバナンスの枠組みの開発・改善における国際協力が重要である
  • 検証および認証システムの開発と実施において、システムが包括的で、費用対効果が高く、適応性があり、強靭で、執行可能であることを担保するため、多様な立場の人々の関与を促すマルチステークホルダー・アプローチが必要である。
  • 検証システムは、自発的であれ義務的であれ、商品が合法的かつ持続的に生産されたことを証明するために、信頼性が高く強固なものでなければならない。同時に、木材製品の取引を妨げ、阻害する障壁を市場に構築してはならない。
  • 林業セクターで開発された検証および認証システムから得た教訓は、他の土地利用セクターにも貴重な知見をもたらす。 

会議の3日目には、ITTOは新型コロナウイルス感染症終息後の復興における森林の役割に関する特別イベント、火災管理フォーラム、持続可能な森林経営のためのデータ基盤の構築に関するサイドイベントを含む複数のセッションに参加しました。サイドイベントでは、天然熱帯林の状態を監視・評価するための基準と指標に関するITTOの業績を発表しました。