ITTOと生物多様性条約(CBD)の共同イニシアティブが高い評価を得る

2022年3月3日

インドネシアのチボダス生物圏保存地域(Cibodas Biosphere Reserve)にて、ウスヒメアオヒタキが木の枝に止まっている。ここでは、熱帯林の生物多様性保全のためのITTO/CBD共同イニシアティブ(ITTO–CBD Collaborative Initiative for Tropical Forest Biodiversity)下で実施される16プロジェクトの一つ(PD 777/15)をITTOが行っている。写真撮影:Ida Rohaida

横浜、2022年3月3日:本日発表の最新ポリシーブリーフでは、2011年開始のITTOと生物多様性条約(CBD)の共同イニシアティブにかかる独立レビューについて報告しています。同レビューでは、予算の制約がある中、本イニシアティブ実施による16のプロジェクトは、生計向上や生物多様性保全において「非常に優れた成果」をあげたと評価しています。両機関は本イニシアティブの新規フェーズを計画中です。

シャーム・サックルITTO事務局長は、熱帯林の生物多様性保全のためのITTO/CBD共同イニシアティブ(ITTO–CBD Collaborative Initiative for Tropical Forest Biodiversity)が、愛知目標(Aichi Biodiversity Targets)、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)、世界森林目標(Global Forest Goals)、2006年国際熱帯木材協定(ITTA)へ多大に寄与したことは明らかであるとしつつ、より一層の取組がなされなければならないと述べました。

「生物多様性保全は、持続可能な森林経営にとって極めて重要です。」サックル事務局長は話しました。「今回のレビューで、ITTO加盟国それぞれが擁す貴重な生物多様性の保全及び持続可能な利用を支援するために、ITTOとCBDのパートナーシップは効果的、効率的であることが示されました。この活動を継続し拡大させなければなりません。」

サックル事務局長は、この国連世界野生生物の日(UN World Wildlife Day)に本ポリシーブリーフ「生物多様性と人々のための成果向上(原題:“Improving outcomes for biodiversity and people”)を発表でき、嬉しく思うと述べました。国連世界野生生物の日は、世界の野生動植物を称え、これに関する啓発を行うことを目的としています。

「生物多様性は地球最大の財産です。そして、生物多様性が特に多く宿るのが熱帯林です。」サックル事務局長は言います。「熱帯林の持続可能な利用は、生物多様性を保全し、生計を向上させるために欠かせない手段です。本共同イニシアティブが正の成果を発現させているのは心強い限りです。」と述べました。

2023年に開始予定の本共同イニシアティブの次フェーズでは、ポスト2020生物多様性枠組(Post-2020 Global Biodiversity Framework)の森林関連のターゲット達成のための取組を行う予定です。

サックル事務局長は、「このポリシーブリーフでは、本共同イニシアティブの有効性を一層高めるための教訓が多数あげられています。CBD事務局の仲間やITTO加盟国との協力を続け、現場でさらなる進歩を遂げることに期待を寄せています。」と述べました。

エリザベス・マルマ・ムレマCBD事務局長はこの見解に賛同しました。

「森林が持つ生物多様性の保全と再生によって、第15回締約国会議(COP15)(第二部)で採択予定のポスト2020生物多様性枠組が掲げる複数のターゲットの達成を加速させることができます。このレビューが行った教訓を指針として、CBD事務局は、各国が実施する重要な活動を効果的に支援するため、ITTOとの協力関係の継続・強化に期待しています。」

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関連するSDGs

CBDとITTOの活動は、陸域資源の劣化と生物多様性の減少の抑制の力添えとなっています。両機関とも、特に気候変動緩和と生物多様性保全のため、劣化した景観の再生の必要性を認識する国連生態系回復の10年(2021年~2030年)(United Nations Decade on Ecosystem Restoration 2021–2030)を支援しています。